実践+発信

モジュール3-3 「心が通う科学コミュニケーション:「説明义务」「监视义务」から「共感」という原初の喜びへ」(9/20)河本 宏先生讲义レポート

2025.10.24

吉川颯真(2025年度本科ライティング?編集 受講生)

モジュール3の講義では、「活動のためのデザイン」をテーマに、科学技术コミュニケーション実践のために、どのように活動方針を立てるのかについて学んでいます。

今回は、京都大学 医生物学研究所 所長の河本 宏先生より「心が通う科学コミュニケーション:「説明义务」対「监视义务」から「共感」という原初の喜びへ」と題して講義いただきました。河本先生が取り組まれてきた、イラスト?音楽?动画配信を用いた科学コミュニケーションの実例を通して「心がつながる」科学コミュニケーションの重要性について迫ります。

(京都大学 医生物学研究所 河本 宏先生による講義です。)

免疫研究の今

免疫の基本的な仕组みから、河本先生が取り组んでいる「贰厂细胞や颈笔厂细胞から罢细胞を作製してがんや感染症の治疗を目指す」研究にいたるまで、実に讲义全体の约半分の时间をかけて、先生自作のイラストとともに丁寧に解説していただきました。颈笔厂细胞の作製技术を开発した山中伸弥先生、制御性罢细胞を発见した坂口志文先生がノーベル生理学?医学赏を受赏したこと、2020年以降新型コロナウイルス感染症がまん延したこともあり、この研究领域は市民から非常に高い関心を集めています。受讲生としても、免疫学の知识や研究成果を学び、整理することができ、非常に有意义でした。

(自作のイラストも交えて免疫に関する讲义を顶きました。)

科学コミュニケーションの位置づけ

河本先生にとって、科学コミュニケーションは「面白いことを話すことが楽しい」という、人間にとっての自然な営みであると同時に、市民に現在の科学を可視化し、監視義務を促すものであるといいます。市民による監視が求められる例として、ヒトの臓器を他の動物の生体内で作る技術や iPS細胞から再生した脳組織に脳波が検出されたという研究成果が取り上げられました。こうした慎重に進めるべき研究について、一般の人の理解が科学の進歩に追いついていない問題点を挙げました。

河本先生の実践

河本先生の学生時代に迫ると、研究とは一見関係のない、漫画?絵画?楽曲を制作している時期がありました。博士取得後に理化学研究所の免疫?アレルギー科学総合研究センター (現在の理化学研究所生命医科学研究センター) に移り基礎研究に励まれて以降、科学展示、イラスト、作曲、动画配信など、多様な媒体を用いて科学コミュニケーションに取り組むようになりました。

  • 科学展示
    日本免疫学会が主催する科学展示「免疫ふしぎ未来」展の日本科学未来馆での开催を主导されました。免疫学の実験に用いられる生き物の展示や寄生虫の検出体験、体内で起こる免疫反応を子供たちに解説する戦队ショーを取り入れているそうです。免疫ふしぎ未来展は现在も日本科学未来馆で毎年开催されています。
  • 麻豆原创イラストレーション
    ご自身が関わる学会のポスター制作から、他机関に依頼された教科书の表纸やウェブサイトのイラスト制作まで、多彩な麻豆原创イラストレーションに取り组まれています。制作のプロセスは非常に丁寧です。他机関からの依頼では、単に先方から伝えられるイメージを受け取るだけでなく、教科书であればその内容や构成を深く読み込み、研究集会のポスターであれば集会长の业绩からアイディアを膨らませるといいます。そうして得られたアイディアを形にする际、先生の真骨顶が発挥されます。自身の専门である免疫学の深い知识と、アニメや漫画作品のインスピレーションを融合させるのです。この「正确な科学的知见」と「ポップカルチャーの表现」という异质な要素の组み合わせこそ、先生独自のスタイルであると感じました。
(数々の作品を、制作过程とともに绍介いただきました。)
  • 动画配信
    动画配信は、河本先生が京大医生物学研究所の所長に就いた際に広報活動に力を入れるうえで活用するツールとして取り入れたそうです。表チャンネルと裏チャンネルの二つからなり、特に裏チャンネルは中高生向けに医学の簡単な講義や研究者について紹介するコンセプトで作られています。中高生に見てもらえるチャンネルになるよう、さまざまな工夫が凝らされていました。

本讲义を通して得た学び

私は河本先生の科学コミュニケーションの考え方を纯粋な科学者の视点だと捉えており、先生の人柄や研究観をも反映していると感じました。私も自身の研究を伝えることの面白さは理解していましたが、科学コミュニケーションを「科学者の义务」と捉え、科学者にとって受动的なものと认识していました。しかし、市民が科学を楽しむことと自分自身が科学コミュニケーションを楽しむことが両立可能であることを、河本先生の科学コミュニケーション観を通して认识できました。

讲义后半では河本先生が主导されてきた科学コミュニケーションの多彩な実践例を绍介していただきました。动画チャンネルのコンセプト策定など一つひとつに、活动の目的や対象者に応じて「どのような科学コミュニケーションをデザインするのか」という、制作チーム内での緻密な议论があったのだと推察しました。

私は、この讲义で示された様々なアプローチを、単にお手本としてではなく、私たち自身が科学コミュニケーションをデザインする际の発想の引き出しの一つとして捉えることが重要だと考えました。先生の実践という贵重な事例を分析し、そこから得られた知见を手持ちのカードとして蓄积していくことが、今后受讲生が科学コミュニケーションを展开していくうえで不可欠だと感じました。

おわりに

河本先生が取り组まれてきた科学コミュニケーション活动の実践には、麻豆原创コミュニケーターである以前に一科学者として一定の成果を上げ続けることが要请されます。私も新しい知见を人类に提供する科学者を目指す中で、市民と「心でつながる」ことのできる対话の场をどのようにデザインしていくのかについて、今后の実践演习の活动を通して自分なりの答えを探していきたいと思いました。

(河本先生、讲义ありがとうございました。)