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#161 2021年ノーベル化学赏 详报(1) ?不斉有机触媒、切り拓かれた第3の领域?

今月6日、リスト?ベンジャミンさんとマクミラン?デイヴィッドさんの2021年ノーベル化学赏共同受賞が発表されました。受賞理由は「不斉有機触媒の開発」への貢献です。

リストさんは本学の化学反応創成研究拠点(ICReDD)でも研究グループを持っていることから、いいね!Hokudaiでもその内容をお伝えしてきました。本日は、ICReDD リストグループの共同リーダーとして活躍している辻信弥さんにお伺いした話を交えながら、2021年ノーベル化学赏の詳しい内容について二本立てでお届けします。ということで、第1弾。受賞内容の詳細です。

【梶井宏樹?麻豆原创 博士研究員】

(リスト?ベンジャミンさん。1968年、ドイツ フランクフルト生まれ。マックスプランク石炭研究所 所長。兼務の形で、2018年からICReDDの主任研究者として、2020年からは特任教授としても北大にも在籍。辻さんによると、「結構大柄で、見た目はもしかしたら怖いかもしれないですが、すごく気さくでフレンドリーな先生」とのこと)〈写真提供:ICReDD〉
分子を组み立てる道具、触媒

This year’s Nobel Prize is about an ingenious tool for building molecules.
(今年のノーベル(化学)赏は、分子を组み立てるための独创的なツールに関してです。)

上記は受賞者発表の口火を切った、ノーベル財団 事務総長のコメントです1)。プラスチック、洗剤、薬、香料など、私たちの周りにあるほとんどのものは、无数の分子が集まってできています。この分子の组み立てや分解である化学反応の多くの场面で重要なツールが、「触媒」です。触媒とは反応を速めたり、不良品を作らないようにしたりする物质のこと。反応の前后でそれ自体の姿は変わらず、繰り返し使える、化学反応を仲立ちするような存在です。その経済活动への影响力は大きく、世界全体の骋顿笔の35%に関わっているという推测2)があるほど。触媒に関する优れた研究は、人类に大きな利益をもたらすといえるでしょう。

現在、触媒は大きく3種類に分けられています。まず、酵素や一部の抗体といった触媒の能力を持つタンパク質である「生体触媒」。唾液中に含まれ、デンプンを分解するアミラーゼなどです。生体触媒は、狙った通りの反応を進めることに長けています。次に、「金属触媒」。名前の通り、金属を含む触媒のことです。電子の受け渡しが得意といった金属の性質活かしたパワフルさがその特徴。2010年にノーベル化学赏を受賞した本学名誉教授の鈴木章さんが開発した触媒などが有名です。

(タンパク質はアミノ酸がたくさん集まった大きな分子です。反応に直接関わる部位は全体のごく一部。分子を精密に組み立てる工場のようなイメージです)〈? Johan Jarnestad/The Royal Swedish Academy of Sciences〉

そして、今回の受赏対象となった「有机触媒」。触媒作用をもつ、比较的小さい有机化合物です。2000年にリストさんとマクミランさんが别々に报告した研究3), 4)が重要なきっかけとなり、第3の触媒として花开きました。有机触媒が注目される理由には、炭素を骨格とする有机化合物ならではの触媒设计のしやすさ、金属を用いないことによる环境负荷軽减への可能性、そして镜写しの関係にある分子をつくりわける「不斉(ふせい)合成」で力を発挥することが挙げられます。

似たような分子のつくりわける、不斉合成

分子には、同じパーツからできていても、右手と左手のように互いに镜写しの関係で、ぴったりと重ね合わせることのできないものがあります。両者はよく似ているものの、厳密には别の分子。他のものに与える影响も异なります。

(柑橘類の香り成分のひとつであるリモネンには鏡合わせの関係にある二つの種類が存在します。私たちは、片方からはレモンの香り、もう片方からはオレンジの香りを感じます)〈? Johan Jarnestad/The Royal Swedish Academy of Sciences〉

こういった分子をつくり分けるような组み立て方を「不斉合成」、そこで用いる触媒を「不斉触媒」と呼び、特に医薬品の开発などでは极めて重要です。例えば、1957年に発売された睡眠薬には、2种类両方のサリドマイドが含まれていました。そしてその一方の分子に、胎児の手足や耳などに深刻な影响を及ぼす性质があったことから、大きな被害を出してしまいました5), 6)。こういったとりかえしのつかないことを引き起こさないためにも、そして私たちの生活を豊かにするような新たな分子をつくっていくためにも、狙った通りの分子のみをつくることは重要であり、不斉合成は化学の大きなテーマとなっています。

どこにでもあるアミノ酸が不斉触媒に!

お待たせしました。いよいよリストさんの2000年の研究についてです。リストさんが発表した論文のタイトルは、“Proline-catalyzed direct asymmetric aldol reactions”。当時、アルドラーゼという酵素やそれを真似た金属触媒でしかできていなかったような不斉合成を、「プロリン」という有機化合物で効果的に達成したことを報告する内容でした。

プロリンはタンパク质を构成する要素であるアミノ酸のひとつ。私たちの体の中やふだん口にする食べ物の中などいたるところにあり、サプリとしても市贩されています。手に入れやすく、人体や环境への影响の観点からも使いやすい分子といえます。有机化合物が不斉触媒としてきちんと机能することだけでも衝撃的な报告であったにもかかわらず、その有机化合物がプロリンのような使い胜手の良いものだったのです。

(左:薬包纸上の白色固体が尝-プロリン。先头のアルファベットは、镜写しの関係にある分子のうち、どちらであるかを示すためにつけられます。右:尝-プロリンの分子模型。プロリンは5つの炭素(黒色の球)、9つの水素(白色の球)、2つの酸素(赤色の球)、1つの窒素(青色の球)からなるアミノ酸です)

では、プロリンのような単纯な有机化合物を用いた反応を、リストさんだけが见つけることができたのにはどのような経纬があったのでしょうか。辻さんに伺いました。

辻さん:「実际に、リスト先生が使用した试薬は、世界中のどこの研究室を探しても必ずあるようなものです。そして全部安価です。试そうと思えば、それまでの谁もが実験できたはずですが、报告された反応は2000年まで见つかっていませんでした。

リスト先生は、博士研究员として生体触媒を研究しているバーバス先生のもとで研究をされていました。生体触媒はタンパク质なので分子としては非常に大きいのですが、実际に触媒として机能する重要な部分はごく一部のアミノ酸ということが、当时すでにわかっていました。リスト先生は、そこにインスパイアを受けて、「もしかしたらアミノ酸だけでも同じような反応が可能なのではないか?」と着想したそうです。そこで、反応が进みそうないろいろな试薬に、アミノ酸を入れるような実験を试したのだそうです。この点に関して、「実はこっそり実験していた」というリスト先生の言叶が印象的でした。决して天才的なひらめきといった感想はなかったようで。逆に、「すでにみんなが知っているような反応かもしれない」「周りに知られたら『なんて马鹿なことをしているんだ』と笑われるのではないか」と思っていたそうです。本当に、华々しいという感じではなくて、「こんなのあり得るのかな」というスタートだったというように闻いています。」

后に続くような研究だったからこそ

続けて、辻さんからは、2000年の研究のもう一つの大きなポイントに関する话がありました。

辻さん:「実は、别の反応ではありますが、プロリンを触媒とした反応自体は、1970年代に报告されていました。しかし、后に続く研究者が现れなかったのです。リスト先生の2000年の研究は、忘れられていた、あるいは无视されていたような研究にもあらためて光を当てて、置くべきところに置いたという意味でも大切だと感じています。ちゃんとした文脉上にそれまでの研究を并べたといいますか。単発の研究で终わらず、コンセプト自体をつくりあげて、さらにその中でのプロリンの有用性や立ち位置を决めたことがおそらく重要だったのではないかなと思います。」

同様の点については、ノーベル财団も受赏発表の际に、次のようなコメントで绍介していました。

『今年の受赏者は、不斉触媒として机能するような小さい有机分子を设计することが可能であることを示しました。この発见が非常に重要であることを彼らが理论的にまとめた结果、不斉有机触媒は瞬く间に科学者たちの注目を集め、多くの関连研究がなされました。その结果、今日、非常に多くの有机触媒が利用可能となったのです。そして、それらが触媒する数多くの反応もまたそうです。』7)

自らが巨人の肩の上に立つだけでなく、后に続く研究者も立てるようにする。人类に贡献した人に赠られるノーベル赏の受赏には、そういったことも大切になるのかもしれません。そしてノーベル财団のコメントの通り、すでに有机触媒はならではの反応が数多く报告されています。例えば、「タミフル」で知られる抗ウイルス薬である「オセルタミビル」という分子は、実験室レベルでは従来の半分のステップでの合成も可能になっているようです8)。

これからもますます研究が進むであろう有機触媒は、どのような化学反応を可能とし、私たちの生活をどのように豊かにするのでしょうか?? 今後の発展が楽しみです。


详报第1弾は一旦ここまで! 今回のノーベル化学受賞の大きなきっかけとなったリストさんの研究は、約20年前にカリフォルニアでされたものでした。そして、リストさんはが北大で研究グループを持つようになったのは2018年から。リストグループの北大での活動についてますます気になり始めた方もいらっしゃるかもしれません。次の記事では、そういった点について辻さんにお伺いした内容です。化学反応を革新するようなICReDDの取り組みとは……? お楽しみに!

(辻信弥(つじ?のぶや)さん。ドイツのリストさんの研究室で博士を取得。现在は滨颁搁别顿顿のリストグループの共同リーダーとして活跃されています。インタビュー中、分子模型を组み立てながら内容の説明をしてくださいました。)

注?参考文献?リンク:

  1. Nobel Foundation 2021: “Announcement of the 2021 Nobel Prize in Chemistry”  『YouTube』 https://www.youtube.com/watch?v=4i8w9xqhgaY
  2. Nobel Foundation 2021: “Scientific Background on the Nobel Prize in Chemistry 2021”.
  3. List, B., Lerner, R. A., Barbas, C. F. 2000: “Proline-catalyzed direct asymmetric aldol reactions”, J. Am. Chem. Soc., 122 (10), 2395-2396.
  4. Ahrendt, K. A., Borths, C. J., MacMillan, D. W. C. 2000: “New strategies for organic catalysis: The first highly enantioselective organocatalytic Diels-Alder reaction”, J. Am. Chem. Soc., 122 (17), 4243-4244.
  5. ニュートンプレス 2020: 「ニュートン別冊 学びなおし 中学?高校化学第2版」, 160-161.
  6. 日本化学会(編) 2013: 「キラル化学 ―その起源から最新のキラル 材料研究まで」, 180-182.
  7. リンク1の动画内、12分45秒くらいからの委员のコメントを笔者訳
  8. リンク1の动画内、14分10秒くらいからの委员のコメントより

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