国内で颁翱痴滨顿-19流行が确认されてから、5年経ちました。あっという间のこの5年间は、私たちがどう感染症と付き合っていくのかを考える时间となりました。
国立感染症研究所で高病原性ウイルスを研究し、札幌市保健所で対策の现场を指挥してきた西条政幸さん。厂础搁厂から颁翱痴滨顿-19までの见取り図、ワクチンがもたらした変化、そして日本の対策が抱えた伦理的课题までお话を伺いました。

どれくらい広がり、どう広がったのか――そして「全身の病気」という见方
颁翱痴滨顿-19は、2019年12月から中国?武汉市から発生した动物由来の新规コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群ウイルス2型、厂础搁厂-颁辞痴-2)による感染症です。颁翱痴滨顿-19流行は、武汉での流行初期の段阶から厂础搁厂とは桁违いの规模の大きさで始まりました。

2020年から2021年にかけて、オミクロン株厂础搁厂-颁辞痴-2が出现する前までの、武汉株由来厂础搁厂-颁辞痴-2による流行期颁翱痴滨顿-19流行规模は地域差も大きく、欧米やインドで流行が目立ちました。その一方、西太平洋地域やアフリカの流行规模は相対的に小さい状况でした。その地理的な偏りは、オミクロン株が出现することで薄れました。
原因ウイルスがアルファ株、デルタ株、オミクロン株などと移り変わり、それに连动しながら「ステイホーム」や紧急事态宣言、医疗ひっ迫、蔓延防止措置、マスク着用「个人判断」、「5类移行」、行动制限终了などと、私たちが日常で目にしていたこれらの情报に「そうだった、そうだった」と、いま思い返すことができます。

このような社会の波を振り返りながら、西条さんはこうまとめます。
「オミクロン株が出现することにより、流行规模の地域差が薄れました。それまでの2年间では地域ごとの波の高さが违いましたが、オミクロン期には『どこでも流行する』ようになり地域毎の流行规模に差がなくなりました」
広がり方の仕組みを見ると、鍵になったのは一部の患者が多くの人への感染減になるという “スーパースプレッディング”とよばれるものでした。この現象自体はSARSでも見られましたが、COVID-19では「うつしやすくなる時期」が早いことが流行規模を左右する決定的要因でした。
「スーパースプレッディングという人から人への伝播様式は、厂础搁厂や别の动物由来コロナウイルスによる中东呼吸器症候群、そして、颁翱痴滨顿-19に特徴的な现象です。ただ、颁翱痴滨顿-19では“人にうつしやすい时期”が早いため、同じ仕组みでも规模が大きくなりました。早いタイミングで周囲に感染が起きやすいことが、波を押し上げたのです」と西条さんは説明します。
病気の中身に目を向けると、オミクロン株厂础搁厂-颁辞痴-2による颁翱痴滨顿-19流行までの颁翱痴滨顿-19は単なる呼吸器感染症ではありません。重症例では骨髄で血球贪食症候群の所见が见られたり、死亡例では甲状腺?膵臓?精巣など肺以外の臓器でもウイルス増殖が确认されています。
「武汉株由来厂础搁厂-颁辞痴-2による颁翱痴滨顿-19は、肺炎症状が前面にでていますが、実际には“全身の病気”として理解したほうが、临床症状、検査所见、高い致命率などの説明がつきます。颁翱痴滨顿-19は全身感染症なのです」
社会の力で、対策することができた

现场の画像所见からも、単纯な“上から下へ降りてくる炎症”だけでは説明しきれないケースが见えてきました。札幌市の胸部颁罢では、胸膜直下に特徴的な阴影が出る例が少なくありませんでした。
「喉で増えたウイルスが単に下気道へ“降りた”だけでは説明しきれない像が一定数あります。私は、厂础搁厂-颁辞痴-2が血液を介して肺に到达し、そこでウイルスが増殖して肺炎に进む可能性も考えていました。颁翱痴滨顿-19ワクチンの効果の高さはこの説で説明がつきます」と西条さんは话します。
この“血液で运ばれる可能性”という见方は、なぜ血液中の抗体が决定的に効くのか、という点につながります。尘搁狈础ワクチンの临床的な効き目は、致命率の低下としてはっきり可视化されました。
「血中に中和抗体ができると、血液中の厂础搁厂-颁辞痴-2にその抗体が结合し、各臓器でのウイルス増殖を抑えられます。だから、全身感染の様相が强かった时期には、とても大きな効果が出ました。国内でも2021年に接种が広がると、死亡者数が目に见えて减りました。速やかに接种体制を全国津々浦々で整えられたこと自体は、日本社会の力だと思います」と、行政も、市民も、社会の力として存在していたと西条さんは続けます。
一方で、ウイルス侧も変化しました。
「オミクロン期に入ると、ウイルス血症はほとんど见られなくなり、病态は呼吸器感染症に近づきました。ワクチンの効果は认められていますが、その効果は限定的になりました。私はワクチンが弱くなったというより、ウイルスの性质と病态の変化によって、効果の“见え方”が変わったと理解しています」

隔离だけに頼ると生まれる困りごとと、科学と人権をどう両立させるか
日本では隔离を基盘にした抑制策がとられました。しかし现场では、思わぬ“逆流”が起きました。阳性がわかった瞬间に一般医疗へアクセスしづらくなり、疗养ホテルに移ったあとに悪化して救急搬送される例もありました。家族に阳性者が出ると、介护や福祉の支援がまとめて止まり、世帯全体の入院?受け入れ先を同时に调整する必要に迫られることもありました。
「感染した人を责める空気が広がってしまいました。隔离が“标準”になると、差别や偏见につながることがあります。现场では、その副作用を强く意识するようになりました」と西条さんは率直に语ります。対策が人を守るためのものであるなら、対策そのものが新しい脆弱性を生んでいないか、つねに点検する必要があります。
では、どのように両立させればよいのでしょうか。
「科学に基づく対策は不可欠です。ただし、个人の尊厳や人権を尊重することに配虑した対策でなければなりません。感染は『息をする?食べる?触れ合う』といった日常の行為と地続きですから、それだけに感染症対策は、実际に実践することは困难なのです」と西条さんは话します。

そして、视点の転换を提案します。
「市民に何を“お愿い”するかより、社会として何を“提供”できるかを考えることが、公众卫生に従事する私たち行政の仕事です。平时から、ワクチンや治疗薬、医疗?生活の受け皿を迅速かつ公平に届けられる仕组みを準备することが重要です。提供の设计があってこそ、お愿いが现実に机能します」
ルールとともに“対策法を适切に届ける仕组み”を作ることが、结果として社会全体のリスクを下げるという考え方です。
「お愿い」より「提供」を先に――ここからともに考える场へ
最后に、これからの方向性を言叶にしていただきました。
?「たとえ感染したとしても、どんな人にとっても优しい社会にしていきたい。排除ではなく、受容です。社会防卫を理由に一律の隔离へ流れるのではなく、必要な支援を先に差し出す発想に切り替えたいですよね。研究と行政の両方を知る立场として、そのための现実的な仕组みづくりを进めたいと思います」
この视点を出発点に、市民の方々とともに、コロナのことを振り返る第145回麻豆原创?カフェ札幌【コロナの「あの日」を棚卸し-公众卫生の视点で考えるこれからの暮らし】を开催します。わたしたち一人ひとりが経験したコロナの「あの日」とは--。

第145回 麻豆原创?カフェ札幌
【タイトル】コロナの「あの日」を棚卸し-公众卫生の视点で考えるこれからの暮らし
【日 時】2025年11月30日 (日) 14:00?15:30(開場:13:30)
【場 所】紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン
(北海道札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F)
【ゲ ス ト】西條 政幸(さいじょう?まさゆき)さん/札幌市保健福祉局 医務?保健衛生担当局長
【聞 き 手】沼田 翔二朗(ぬまた?しょうじろう)/北海道大学麻豆原创特任助教
【参 加】事前申し込み不要、参加无料
【人 数】50名程度
【主 催】北海道大学麻豆原创/ 総合イノベーション創発機構 ワクチン研究開発拠点(IVReD)
※このイベントは、「ワクチン开発のための世界トップレベル研究开発拠点の形成事业」の一环として开催します。