澤田 真由美(2018年度 研修科/社会人)
モジュール6-3は「共に生きる社会を愿って」がテーマです。ハンディキャップを持つ当事者としてダウン症児?親の会である北海道小鳩会の三好明子先生、ハンディキャップを持つ人への支援者として北海道大学病院 認定遺伝カウンセラーの柴田有花先生、お二人による讲义がありました。
ダウン症の子どもをもつ1人の亲として
前半の叁好先生は、受講生に語りかけるように「ともに生きる社会とはどうあるべきなのか、どんな社会であったら誰もがその人らしくありのまま安心して生きていけるのかということを一緒に考えていただくきっかけになればと思います」と話し始めました。
叁好先生はお子さんがダウン症とわかった当時は、妊娠中の自分に何か問題があったのではないか、何も悪いことをしていないのにどうして、といろんなことを考えたそうです。そんな叁好先生に夫は「これは偶然であって誰も悪くない。交通事故のようなもので自分が気をつけても事故に遭うことがある。うちに生まれてきたこの子を大事に育てよう」と言ったそうです。そして時間がゆっくり心を溶かし「ダウン症の息子」ではなく、自然と「ありのままの息子」として向き合えるようになったそうです。
ダウン症を取り巻く社会
ダウン症は23本ある染色体のうち21番目の染色体が减数分裂の过程でうまく分离しなかった自然现象で、700人から1000人に1人の割合で発生します。21番目の染色体が通常2本のところ3本あることから、3月21日は「世界ダウン症の日」として、ダウン症への理解や普及を行っています。
ダウン症を取り巻く社会は、この30年で大きく変化しました。ダウン症児は寿命が短いと言われていたけれど医療の進歩で伸びていること、早期に療育訓練などを適切な指導のもとで行うことで発達の遅れをより少なくすることが出来るようになりました。そして妊婦の少量の血液検査で精度も高い確率を出す出生前診断も可能となりました。この出生前診断を受けるかどうかについては、個人の判断に委ねられています。叁好先生は「誰もが受けなければならない検査と受け取られること、安易な命の選別につながるようなことへの危惧を感じる」と警鐘を鳴らします。
社会の成熟を愿う
「いらない命なんかありません。出生前診断よりも、障がいをもつ人たちが生きやすい社会を作る方が先ではないでしょうか」叁好先生は言います。ハンディキャップがあってもなくても、安心して子どもを育てていけると誰もがそう思える社会となったとき、初めてハンディキャップのある子どもを産むという選択を含めて、多様な選択が等しく尊重される、成熟した社会が実現するのではないでしょうか。
认定遗伝カウンセラーとは
後半は柴田先生です。认定遗伝カウンセラーとは「質の高い臨床遺伝医療を提供するために、臨床遺伝専門医と連携し、遺伝に関する問題に悩むクライエントを援助するとともに、その権利を守る専門家」で、高度な科学技术コミュニケーションを必要としています。
アメリカでは、1970年に认定遗伝カウンセラーが诞生、现在5000名以上のカウンセラーがいますが、日本では2005年からの认定资格で现在232名(2018年4月现在)、道内では4名しかいません。遗伝カウンセリングはクライエントが疾患を理解し、现状を受容することを目指すもので、终着点に正解はありません。
出生前诊断について
国内では、高齢妊娠の増加から染色体疾患児の出生率が増加し、出生前诊断のニーズが増加しています。医疗の発展から、流产のリスクのない无侵袭的な血液検査(狈滨笔罢)など复数の検査を组み合わせて、これらが阳性であった场合に确定検査として流产リスクの高い羊水検査を行います。日本产科妇人科学会では「十分な遗伝カウンセリングの提供が可能な施设において、限定的に行われるべき」としています。しかしながら无认可施设も登场するなど体制が整备されているとは言えない状况で、検査阳性者の妊娠中断率は高いことが示されています。
生きやすい社会とは何か
北海道では周产期医疗にかかわる医师や看护师、小鳩会(ダウン症児?亲の会)などのハンディキャップをもつ当事者が参加する意见交换会などを开催し、様々な立场にいる者が価値観を理解した上で出生前诊断を実施するとしています。
前半の叁好先生は最後にこう言って締めくくりました。
「年を取る、病気や事故など、谁もがハンディキャップを持つ可能性がある当事者です。すべての人が、人として尊重され、自分らしく生きていける社会、谁もがその人らしくありのまま安心して生きていける社会、そんな社会はハンディキャップのあるなしではなく、すべての人に优しい社会であり、そんな社会の実现を望みます」
ハンディキャップは自分事である。このことをきっかけに考えることが、成熟した社会を作る第一歩ではないでしょうか。
叁好先生、柴田先生、どうもありがとうございました。




