佐生 愛(2018年度 選科B / 社会人)
今回は、渡邉文隆先生(iPS細胞研究所 所長室 基金グループ長)に「新たな研究资金获得を担うファンドレイザーの取り组み」というタイトルで讲义をして頂きました。
(讲义をしている渡邉先生)
ファンドレイジングとはなにか?
ファンドレイジングとは、NPOやNGO、学校、病院などの非営利団体が活動資金を集める行為のことを指します。本讲义では主に募金によって活動資金を集める行為のことをファンドレイジングと呼びます。社会へ研究や科学一般を知って貰うための科学技术コミュニケーションとは少し異なり、ファンドレイジングは金銭的支援を獲得するためにコミュニケーションを行います。
職業としての「科学技术コミュニケーター」
今后、国の研究予算は削减されていくと予想されるため、国立大学を含む非営利组织では自主财源がますます必要となります。その际に「ファンドレイジング」は研究资金获得のための重要な活动となりうるため、「ファンドレイジングが分かる人材」は今后重宝される人材であると言えます。
つまり、もし私達が「十分な寄付金を募ることができる科学技术コミュニケーター」になることが出来れば、コミュニケーション活動が研究機関にとって「コスト」から「利益」となり、私達のやりたい研究活动も自由に行う事が可能である、と渡邉先生は言います。
(受讲生も兴味深く闻いていました)
日本の寄付市场
寄付は一見頼りない財源のように思われますが、日本の寄付市场は年間1.4兆円、日本国民の40%以上が寄付をしていることになります。米国での市場規模約30兆円である事を考えると、日本では寄付市場は今後成長余地のある財源であると言えます。また、寄付は法学的、経営学的にも未開拓であるため、開拓の余地がある財源であるとのことです。
募金活动からファンドレイジングの仕事に至るまで
渡邉先生は中学3年生のときに父亲を食道がんで亡くし、あしなが育英会の奨学金で京都大学の総合人间学部に进学しました。学业の傍らあしなが学生ボランティア活动を势力的に行い、また学生时代にブラジルやウガンダへ渡航し、インターンや狈笔翱法人でのボランティア活动の経験を経たことで、学术的な知识をマーケティングなどの実务に応用する面白さを知ったと渡邉先生は语ります。渡邉先生は大学卒业后、一般公司で环境ベンチャーでのマーケティング事业や実务に携わりました。
公司で働き顺调な生活を送っていた渡邉先生ですが、転机が访れます。それは长男が先天性食道闭锁症という难病を持って生まれたことです。非常に难しい手术でありましたが、现代医学の进歩のお阴で无事に助かり、手术费用の500万円はほとんどが高额疗养费制度でカバーされ、渡邉先生はこの时に日本の医学に感铭を受けたそうです。この出来事がきっかけで、渡邉先生は医学研究やヘルスケアの支援に兴味を持ち、颈笔厂细胞研究所にて颈笔厂细胞研究基金の运営に携わることになりました。
颈笔厂细胞研究基金とは
iPS細胞とはinduced Pluripotent Stem cellの略で、人工多能性幹細胞と呼ばれます。iPS細胞は血液や皮膚の細胞から作られ、神経細胞や心臓細胞などの他のあらゆる細胞に変化させることができるので、再生医療や薬の開発への応用が期待されます。iPS細胞研究の研究環境や支援体制の整備のためには、研究員や事務のみならず、知財や広報、規制など様々な専門家の雇用が必要ですが、現在の国立大学の制度では期限付きの契約職員として雇用するしかありません。しかし、再生医療や創薬の研究開発には数十年かかる事があるため、このような人材を長期雇用するためには自主財源が必要です。そこで京都大学基金の中に設立されたのがiPS細胞研究基金です。この基金の目的は教職員の長期雇用のほか、特許の確保や維持、研究環境の整備などです。
(颈笔厂细胞研究基金のフリーダイヤルの説明。高齢者の方にも分かりやすくて覚えやすい数字を选んだそうです)
颈笔厂细胞研究基金での取り组み
颈笔厂细胞研究基金では既に山中伸弥所长のノーベル赏受赏によって目标额を达成しましたが、ノーベル赏効果は长く続かず、寄付金额が落ち込み始めた时期に渡邉先生は着任しました。
颈笔厂细胞研究所では、渡邉先生が着任したとき既に山中伸弥先生がマラソンを走って寄付を募り、寄付者に感谢状と収支报告をするなどの活动が行われていましたが、月间の新规寄付者人数がノーベル赏受赏时よりも减少しており、寄付募集の再现性が取れていない状态でした。そこでまず既に寄付をしてくれた人达に対して、寄付者感谢の集いという集会を东京で行うなど既存寄付者への返礼を手厚くしました。これによって寄付者の属性と动机、または寄付一件当たりの単価などが分かり、新规寄付者をどのくらい募れば良いかを见积もることができました。
次に、新规寄付者を募るため、研究に共感してくださる方々(医师や経営者など)への広报活动や、フリーダイヤルを设置することで対応能力を拡充させました。また、ポイント寄付やネット募金、カタログ寄付などを利用して少额寄付にも対応し、认知度を上げることで寄付件数を大幅に増加させました。更に、寄付者への御礼と报告を充実させることで、次への寄付にも繋がるということでした。
このような様々な寄付金募集体制の整备により、颈笔厂细胞研究所では、今年4月から10人余りの职员の无期限雇用が実现しました。
渡邉文隆先生、ありがとうございました。




