岡田 知(2016年度 選科B/学生)
東日本大震災による福島原発事故から5年が経ち、福島の食と農の現状はどうなっているのでしょうか。いわゆる「フクシマ問題」は誰にとってのどんな問題なのか、小山良太先生(福島大学経済経営学類、うつくしまふくしま未来支援センター?産業復興支援部門 教授?部門長)にお話いただきました。
リスクコミュニケーションとは
小山先生の讲义を通じて、リスクコミュニケーションとは、「リスク(危険度)に対してどのような態度を取るのか選択するために、国、専門家、市民など社会を構成する人々が情報を共有し相互理解すること。またそのための活動」だと考えました。本レポートではそのように定義します。
福岛の食と农が受けた被害
福岛原発事故后、福岛県产のコシヒカリは他地域产の米と市场顺位が逆転しました。全量全袋検査によって安全が証明された现在も、市场顺位の低いまま固定されています。米と同様に通年流通する肉においても、取引数量、取引価格、市场顺位の全てで国内平均を下回っています。一方、季节性作物の野菜や果物は旬の时期に代替するものがなく、以前の取引価格に戻りつつあります。しかし、同じ时期に他地域产の作物がある场合、福岛県产の作物は取引されにくくなってしまいます。
福岛の食と农が受けた本当の被害は风评被害ではなく、この市场顺位の低下でした。风评被害対策を行ってもそれは本质的な解决にはつながりません。福岛県产の米や肉が復兴するためには、新しい市场を开拓するような発想が必要だと小山先生は言います。
入口と出口の対策~検査に対するリスクコミュニケーション~
福岛県では、放射线汚染を入口と出口で防ぐための対策が行われています。放射线を吸収させない入口対策としての「土壌検査」「吸収抑制対策」、放射线量基準値を超える作物を出荷させない出口対策としての「农畜产物の测定」、そして「消费者への情报提供」です。福岛県の生产者たちはこれらの対策から得たデータを用いて农业に适した地域を検讨しました。その结果、福岛県产の作物から放射线はほとんど検出できないもしくは低减しています。
このように県内では彻底した検査に対するリスクコミュニケーションを行っているにもかかわらず、県外には入口対策の情报が伝わっていません。そのため消费者の「なぜ放射线が検出されないのか」という疑问は解决されず、「问题を隠しているのではないか」という不信感を生んでいます。また小山先生らの行った调査から、有名人等を起用したイメージ戦略よりも「安全の根拠」を示すことが消费者の购买意欲を刺激することがわかっています。これまで行ってきた「安心」のアピールだけでなく、全国や世界に向けた入口対策の広报という検査に対するリスクコミュニケーションが必要です。
6年目以降の课题
福岛原発事故直后から现在も続く放射线に関する问题は、どうして「フクシマ问题」と呼ばれるのでしょうか。いくら福岛県が体系立った放射线対策を行い作物の安全性を証明しても、入口対策を行わない周辺地域から基準値を超えた作物が见つかることでその信用を失ってしまいます。また、福岛県だけが高レベルな対策をしてきたことで、「福岛県だけが危険」というイメージが定着しました。それらのイメージを払拭し、「フクシマ问题」は福岛県の问题ではなく放射线の问题だと理解することが福岛の食と农の復兴につながるのではないでしょうか。そのために国が原発事故后の状况、どのような検査を行いどのような结果が出たのかを総括した报告书を出すべきだと小山先生は强调します。
「もう安全だ」と言い続けて原発事故の记忆を风化させることは、なぜ安全なのか理解する机会を失うことかもしれません。検査に対するリスクコミュニケーションを通じて现状を把握し、安全の根拠を明确に伝えていくことが今后の课题だと思いました。
小山先生ありがとうございました。



