2014年11月30日(日)に北海道大学情報教育館で、3回目となる『科学技术コミュニケーション』の合評会が开催されました。遠くは帯広から来場した2名を含めて、参加者は11名。2時間半にわたって議論を繰り広げました。
主催は有志による「JJSCを読む会」実行委員会です。麻豆原创も开催に協力したため、こちらにて報告させていただきます。
今回取り上げた論考は、『科学技术コミュニケーション』第15号(2014年6月発行)に掲载された、です。
着者の沼崎さんは现在、北海道大学大学院理学院博士课程で、障害者支援と博物馆のあり方をテーマに研究しています。対する评者は风间恵美子さん。临床心理学が専门で、札幌市教育员会の特别支援教育巡回相谈员として小中学校を日々まわり、さまざまな子どもたちの支援に奔走しています。
まず風間さんから、沼崎さんたちの论文へのコメントがありました。この论文の目的は、「成人ASD当事者の博物館の利用実態と障害特性ゆえ支援となりえる要因を検討すること、科学コミュニケーションの場としての博物館のユニバーサルデザインおよび新たな機能の開発に寄与すること」であるという確認がなされました。風間さんは、ASD当事者と直接関わってきた経験を踏まえて、ASDの種類や特徴についても解説してくれました。「ASDの診断はどのように行うのか」という参加者からの质问に対しては、「社会生活する上でどのくらい困っていると本人が感じているかなどを医師が診察し、生育歴を考慮し診断する」といった説明がありました。
评者の风间さん
風間さんはコメントの中で、沼崎さんらの論考に対して、知的発達の遅れが伴わないタイプの発達障害について「当事者の支援についての困難が見過されていないか? 他の障害にはない彼ら独自の『困り感』が、他の障害の中に埋もれているのでは?」という疑問を投げかけました。
沼崎さんは、今回础厂顿に焦点を当てた理由として、「マイノリティ集団としての当事者视点の提供」をするためであるとしたうえで、以下のように回答しました。「さまざまな立场の视线を重ねると、博物馆侧には见えない『利用における不便』の穴が小さくなっていく。他の利用者にも共通する困难を明确化し、优先的に取り组むべき课题候补が浮かび上がる。困难の対立事项そして妥协点を明らかにして、博物馆において『できること』をすり合わせることができる」。今回、対象を限定しているように见えますが、结果的に「谁もが利用しやすい博物馆」につながる考察になっているといいます。
风间さんからは「础厂顿当事者により感じ方の违いが大きい」という指摘もありましたが、これに対して沼崎さんは、「音が大きい方がいい?小さい方がいいといった、ニーズが対立している场合、妥协点を模索し、可能なところから改善していくとよいのではないか」と答えました。
着者の沼崎さん
また、「今回示された困難はADSに特有なのか? 当事者の現状を調査するためには、全ての項目について、一般の博物館利用者の現状調査の結果が必要ではないか?」という風間さんの疑問に対しては、沼崎さんは、非当事者との比較は実際にはなかなか難しく、今後の課題としたい、とのことでした。
沼崎さんは现在、就労支援分野との関连テーマで论文を作成しているそうです。これは、当事者と一般利用者が博物馆活动を共に行うことで、ビジネススキル?ソーシャルスキルを共に学ぶ就労支援プログラムの开発につながる研究でもあります。仕事に役立つスキルをただ身につけるだけではなく、当事者が博物馆と関わることにより、当事者さらには一般の来馆者に対して、利用しやすい博物馆に改善していくことも、プログラムの目标の一つです。例えば、プログラム内で行う活动として展示解説や展示制作、イベントの企画?运営などが考えられますが、当事者と一般利用者の両者が意见交换することを通じて、プログラム参加者は博物馆に协力することができます。そのためのプログラムをいま模索しているとのことでした。
その后、他の参加者を含めて、活発な意见交换がありました。特に2人の视点の违いについて议论が続きました。沼崎さんは、さまざまな人々が困っている部分についてまずは対策を行うことの必要性を主张するのに対して、风间さんは、発达障害の人たちには多様な性质や感じ方があるので、个别に対応する具体策の必要性を诉えました。
前者のアプローチは、できるだけ多くの人々がより快适に博物馆を楽しむために必要なハード面?ソフト面について有効なデザインを工夫するためになくてはならないし、后者のアプローチは、现场でいかに个别の来馆者が博物馆の展示などを楽しめるか、具体的な対処方法を求めます。见方を変えると、両者は対立する视点というよりは、むしろ相补うアプローチであり、博物馆におけるよりよい科学コミュニケーションに関して互いに追求していくべきものだと感じられました。
雑誌『科学技术コミュニケーション』は、成果を発信する媒体にとどまらず、交流の場を生み出し、議論を発展させていく媒体となるよう、今後も継続的に开催する予定です。


