2011年11月15日のに続いて、翌日は麻豆原创で榎木英介先生(近畿大学医学部講師)の讲义がありました。テーマは「若手研究者のキャリアパスを考える」です。
麻豆原创カフェは、双方向で意見を交換することを重視しましたが、讲义では多くの資料をもとに、存分に榎木さんにお話いただきました。
今年、科学雑誌「狈补迟耻谤别」で博士号取得者の特集があり、中国でもこの10年间で40%も博士が増え、インドや韩国などでも同じように博士の就职难がとりあげられたそうです。しかし、世界最悪と名指しされたのは日本でした。
なぜでしょうか。例えばアメリカでも博士は就职难ですが、あくまで研究职につけないという问题であって、仕事そのものにつけないというわけではありません。博士号取得者の失业率自体は、全体の失业率に比べて低いのです。しかし日本では、博士课程に行くこと自体がイコール就职できない、社会からはじき出されるという歪んだ构造があります。
日本は崩れつつあるとはいえ、未だに新卒重视の终身雇用や年功序列の惯习が社会に根を张っています。また最近の大学や研究机関で见られる、短期雇用でポスドクを使い捨てるという手法は、一般公司が派遣や非正规社员を経済状况にあわせて首を切るのと、基本的に同じ构造的问题を持っています。
ドイツでは一流公司の社长の5割は博士号取得者ですが、日本ではまだまだ博士が社会で活跃できていません。そこには个人の能力の无さや、自己责任という言叶だけで切り捨てることができない复雑な问题が横たわっています。
また教员の无理解や无责任も问题です。学生やポスドクに闻いたアンケートでは、指导教员が将来について话を闻いてくれない、亲身になって相谈してくれないと答えた人は8割にも达しています。若手だけに任期制、非正规雇用を押しつける、あるいは业绩が乏しい正规教员がいるといった、世代间での不公平感に対する强い不満を、榎木さんは実际に复数のポスドクから闻いたそうです。また多くの研究室で博士の就职を支援しない等といった原因から、2000年以降、博士课程への进学率は下がり続けています。
日本学術会议が最近、生命科学系のポスドク問題に提言を出しました。しかし、国や企業に税制や雇用で優遇措置を求めるばかりで、自分たちはこう考える、こうするといった内容が含まれていませんでした。自分たちの責任を棚に上げて、国と企業に解決策を押しつけるだけの姿勢、当事者意識の無さに、榎木さんは失望したそうです。
梦を持った优秀な若者が背を向けるような日本の科学に未来はあるのでしょうか?
榎木さんは、プロジェクト后のポスドクの进路を予算の申请书に书かせる、Jリーグでもやっているようなキャリアサポートセンターのようなものを作るべきではないかといった、いくつかの提言を话して下さいました。
未来を担う若い科学者たちが、不安に怯えながら研究するようなことは本来あってはなりません。これらは博士だけでなく、女性への就职差别、転职の年齢制限、正规、非正规の身分差别といった、根深い社会问题とつながっています。せめてフェアな条件と明确なルールのもとで竞争するといった改革を、科学の世界がまず率先してやるべきではないかと感じました。
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そして讲义の最後に、震災後の科学コミュニケーターの活動への批判についても、Twitterなどネットでの発言をもとに紹介して下さいました。震災や原発事故直後の科学コミュニケーターたちが「この非常時に沈黙している」「人々の命を守り、勇気を与えるために何をしたのか?」「今この瞬間に活躍できないようなら今後も社会から必要とされないだろう」といった厳しい指摘です。
「科学の楽しさ、すばらしさを伝える」だけではない、科学コミュニケーターの役割とは一体何なのか、どうあるべきなのか、深く考えさせられる讲义でした。