小林知恵(2020年度选科/学生)
今年度の麻豆原创モジュール4のテーマは「トランス麻豆原创」。科学技术と社会の接点で生じる問題を知り、トランス麻豆原创の複雑な構造を理解する力を養うことを目標として講義が提供されています。本モジュール第3回の講義では、国際基督教大学教授の山口富子先生に「社会の中のエマージング?テクノロジー」と題して先端科学技术と社会の関係性についてレクチャーいただきました。
エマージング?テクノロジーと固有の问题
そもそも「エマージング?テクノロジー」とはどのような技術を指すのでしょうか。この語には「先端科学技术」「萌芽的科学技术」など様々な訳語が付されていますが、現在開発途上の技術、つまりまだ社会の中で利用されていない技術や利用され始めたばかりの技術と定義されています。山口先生は「科学技术と社会は共生成する」とする社会構築主義的立場を足がかりとして、エマージング?テクノロジー固有の問題の存在を指摘します。つまり、科学技术と社会を相互に影響を及ぼし合うものと関係づけることで顕在化する課題があるのです。具体的には、
課題1:先端科学技术の研究開発が急速に進展している一方で、それらをコントロールする制度の整備が研究開発のスピードに追いついていない。
課題2:先端科学技术に対する漠とした不安が社会に広がることによって軋轢が生じることがある。
課題3:先端科学技术について、市民は明確な意見を述べることが難しい。
といった问题が挙げられました。遗伝子组み替え作物を事例として见てみると、1996年の商业化后、日本では2001年に安全性审査の体制整备が本格化し、2019年にようやくゲノム编集技术応用食品卫生取扱の方针が公表に至るなど、开発に対してリスク管理施策の整备が后追いで进められている状况にあります(问题1)。また、报道资料や意识调査の结果からもこの技术に対して市民が持つ相反するイメージと结びつく形で轧轢が存在することがうかがえます(问题2)。他方で、研究开発に着手する段阶から市民の意见を聴取すれば万事解决かというとそうではありません。エマージング?テクノロジー全般の问题として、実用化のプロセスが进むにつれて素人の意见が明确になる一方で、その段阶では人々の価値観や既存の社会システムとの轧轢を轨道修正することが难しいという「コントロールジレンマ」の问题が立ちはだかるのです(问题3)。山口先生によれば、エマージング?テクノロジー固有の问题群が社会制度や社会の価値観と深く関わることを认识した上で、それらを社会実装する际の検讨事项とすることが重要なのです。
利害関係者の意见や利害の调整をどのように行うのか?
講義の後半では、エマージング?テクノロジー固有の課題を踏まえた上で、欧州と米国の事例を中心に、人々の意見?利害調整に向けた取り組みが紹介されました。市民や消費者のニーズを掴み、技術について工夫を凝らして伝え、利害関係者がつながりながら社会的合意形成を目指す。こうした複合的なプロセスにあって、日本では伝える活動が盛んな一方、つながる活動については諸外国と温度差がある状況です。講義で紹介された、証拠に基づく科学的判断の支援プログラムである「Ask for Evidence」、市民が制度?行政上の問題解決に参画する「Code for America(CfA)」など、科学技术をめぐる意思決定の場に市民をつなげる諸外国の事例は、受講生である私たちが自ら双方向的な科学技术コミュニケーション活動をデザインしていく上でも重要な参照点となるのはないでしょうか。さらに大きな枠組みとして、EU Horizen 2020では「責任ある研究イノベーション」を旗印に社会合意を踏まえた開発に向けた多様なプログラムが展開されています。科学技术と社会の関係性そのものが変化する中で、多様な規模?形態が併走することで、私たちはエマージング?テクノロジーの問題に対してより予見的?能動的に対応できるようになるのかもしれません。
山口先生は、讲义で取りあげた诸外国の活动を「共生成」の考え方と関连づけてその意义を强调します。そして国内の状况を反省的に捉え、自分の立场や専门性を踏まえた上で、つながる活动を推进するために自分には何ができるのかを考えてほしいというメッセージと共に讲义を缔め括られました。
山口先生ありがとうございました。


