天野麻穂(2017年度 研修科/北海道大学URAステーション?URA)
2018年2月9日(日)、第26回叁省堂麻豆原创カフェ in 札幌 麻豆原创シリーズ「先端医疗はどこへ向かうのか~センスオブワンダーとセンスオブエシックスを問う~」を叁省堂書店札幌店BOOKS&CAFE(UCC)にて开催しました。
ゲストは、脳神経外科医で北海道大学病院长の寳金清博さん。最先端の再生医疗の治験を推进し、世界的にも注目を集めています。进行役は、颁辞厂罢贰笔の川本思心准教授が务めました。定员30名は、事前登録受付开始后ほどなく満席となり、当日も店外からの立ち见がでるほどの大盛况でした。
脳动脉瘤手术の动画を背景に、今回のカフェは始まりました。
医疗における正义
健康は善であるというのは、世界中で认められる共通认识です。长寿が即ち正义である、とみなされた时代もありました。そして现在は「命の価値は无限大である」というのが、医疗における当然の価値観で、正义であると考えられています。しかし、生活の质をより良くし、快适に长生きしたい、との愿いが高じてくると、さまざまな新しい问题が生じてきます。
エンハンスメント问题
私たちの健康増進の欲望は、やがて科学技术によって現実のものへ。スポーツ選手の筋肉増強剤の使用にとどまらず、美容形成やアンチエイジングなどは、我々にとっても身近なエンハンスメント、つまり人体や人間の能力増強に関わるトピックです。能力を増強するエンハンスメントと病気の治療は、対比され得ると同時にその境界線があいまいな概念でもあります。最近は特に、ゲノム編集技術が進歩したことにより、遺伝子レベルでのエンハンスメントも実現可能になりつつある一方で、多様性の破壊を招きかねない懸念ももたれています。
社会と科学伦理
かつて、脳にメスを入れることで、人格改造や政策的な社会改造が试みられようとしたことがありました。また、优秀な竞走马を生み出すために血统を重视する考え方がありますが、これは优生学にも繋がっています。优生学には、特定の民族や遗伝病患者の粛清を招いた歴史があります。知りたい?変えたい?制御したい、という科学の纯粋な动机は、いわば欲望の自然な形でもあります。社会の基盘构造や公益制を守るため、また、今后敷かれるかもしれない、権力や人工知能による研究管理体制とのバランスをうまくとるために、社会は科学者の欲望をどのようにコントロールしていけばよいのでしょうか。
休憩時間を挟んだ後の対話コーナーでは、高校生からシニア層に至るまで、多くの参加者から质问が寄せられました。寳金さんは、自身の率直な思いを交えながら、ひとつひとつに丁寧に答えていきました。冒頭、寳金さんが言っていたように、すぐに回答は出せないけれども、問題提起を通して皆で考え、議論を深める時間となりました。
(会場からあつまった质问に答える寳金さん)
连胜记録で话题を呼んだキタサンブラックは、代表的名马であるハイペリオンやナスルーラとは异なる血统から诞生しました。顿狈础を超える多様性の中に、新しい机能は生まれるのです。病気の原因になる遗伝子は、人间にとって本当に不必要なのか。多様性を担保すれば、遗伝子に介入するようなエンハンスメントも认められるのか。遗伝子への介入と、精神への介入。今回、寳金さんにお话し顶いた脳外科医の光と荫は、とてもコントラストが强いものでした。これからも、先端医疗をめぐる动きに注目しながら、われわれ一人一人が自分ごととして、この问题を考えていけたら、と感じました。
来场者アンケートの结果から
「あなたは、専门家には今后どのように、生命科学にまつわる问题に向き合ってほしいと思いましたか」という来场者アンケートには、様々な意见が寄せられました。以下に一部ご绍介します。
- 多くの専门家が多方面から意见しながら进めてほしい
- 社会へのリスクも考えつつ、人间に利益が生まれるようにしてほしい
- 特定のポイントに强いのが専门家だとは思いますが、そこに一切知识のない人にもわかりやすく话せる态度でいてほしい
- 今いる人だけでなくその后との世代への影响を长い目でみて考えてほしい
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新聞に掲载されました
平成30年2月16日(金)の北海道医療新聞に、「医療倫理 市民と語る 麻豆原创?カフェ 寳金北大病院長」 と題して、今回のカフェの概要と叁省堂麻豆原创カフェが写真付きで紹介されました。
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本イベントは叁省堂書店 札幌店主催、北海道大学麻豆原创?日本学術会议北海道地区会议共催で実施しました。また、科学研究費補助金(基盤C)「デュアルユース概念の科学技术社会論的検討」(課題番号:16K01157 代表:川本思心)の支援を受けました。




