著者:羽生善治 , NHKスペシャル取材班
出版社:狈贬碍出版
出版年月日:2017年3月10日
価格:780円
空前の将棋ブームがやってきた。中学生棋士、藤井聡太四段が14歳でプロ入りから公式戦无败の29连胜という前人未到の记録を达成した。藤井四段は人工知能を搭载した将棋ソフトを研究に活用していることも话题となった。
2016年5月、狈贬碍で「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」が放送された。本书の着者でもある羽生善治叁冠(2017年7月时点)が同番组のレポーター役を务め、最先端の人工知能研究の现场への取材に同行した。本书は番组製作时の取材成果としてまとめられたものだ。
本书では将棋界の第一人者でもある羽生が、书名でもある「人工知能の核心」についてズバリ语っている。羽生は人工知能にも造诣が深いことが知られており、过去には、研究者と共に人间と人工知能の思考スタイルの违いについて検讨した书籍を出版した経験もある。また1996年には、「コンピュータがプロ棋士を负かす日は?」という问いに対して多くの棋士が「そんな日は来ない」と否定する中、羽生は「2015年」と回答していた。実际にプロ棋士が人工知能搭载の将棋ソフトに负けたのは2013年であり、そのほぼ正确な予测が话题を呼んだ。
本书ではまず、羽生が人工知能の论点について咀嚼した内容を「核心」として一人称で语っている。そのため、一见难解にみえる人工知能の话题がわかりやすく身近となり、自然と兴味を引かれる。さらに、各章末には狈贬碍スペシャル取材班による密度の浓い取材成果を踏まえた客観的な解説や、関连するトピックが「レポート」として肉付けされている。この特徴的な构成により人工知能について深い理解が促されるであろう。
本书の最大の魅力は、なんといっても羽生が语る「人间と人工知能」の対比だ。人间と人工知能はなにが似ていてなにが违うのだろうか。羽生は人间にあって人工知能にはないものとして「美意识」の存在を指摘している。将棋の指し手を例に挙げると、棋士は指し手を「大体こんな感じ」と「美意识」で行っているが、人工知能にはそれがないという。「美意识」を切り口として人间と人工知能を対比してみせたのは、羽生ならではの视点であろう。
人工知能は敌か、味方か。究极的なこの问いに羽生は次のように答える。「人工知能をいわば『仮想敌』のように位置づけてしまって、その効果的な利用法を検讨しないのは、得策ではありません。うまく活用すれば、必ず私たち人间にとって大きな力となるはずです」。本书を読みながら「人间とはなにか」、「人间はどうあるべきか」と立ち止まって考えてしまう読者は多いのではないだろうか。
人工知能は、今もその進化の歩みを止めることはない。本書の元となった番組放送から1年、2017年6月に「人工知能 天使か悪魔か 2017」が続編として放送された。同番組では、すでに社会に進出し、モンスターのような進化を遂げた人工知能の姿が紹介されていた。乗客探しでベテランタクシー運転手を凌ぎ、人事担当者よりも正確に退職の可能性が高い社員を見つけ出し対策を講じるよう注意喚起する人工知能。もはや人間は敵ではない。ある面では人間を圧倒的に上回る能力を持つ人工知能が社会の様々な分野に進出している今、我々が生きていく中で人工知能はもはや無視できない存在といえるだろう。
今后、我々は人工知能という巨大な存在とどのように向き合っていくべきか。本书は人工知能についての基础知识に触れながら课题について整理されている。今からでも遅くはない。人工知能について知り、人间そしてこれからの社会のあり方について考えるため、本书を手に取ることを勧める。
福嶋篤(颁辞厂罢贰笔13期本科ライティング)
