
著者:榎木英介 著
出版社:20101100
刊行年月:2010年11月
定価:1200円
&苍产蝉辫;「末は博士か、大臣か」
最近ではあまり闻かれなくなってしまった言叶ですが、これまでにこの言叶を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。これは、本书の冒头にも出てくる言叶です。この言叶からも分かるように、昔は博士になることが大変难しく、また希少であるため、博士は人々の尊敬の対象でした。しかし、现在、「博士」の一部は「高学歴ワーキングプア」と呼ばれることすらあり、その立场は昔と大きく异なってきています。
本书は、东京大学大学院博士课程を中退し、学部生として医学部に入り直し、现在は医师として働いている着者により执笔されています。东大に入学し大学院博士课程まで进学、という一见华々しい道を歩いていた着者が、何故大学院を中退してしまったのでしょうか。その理由は本书の最初で明らかにされます。着者はその経験も踏まえて、「博士の置かれている状况」に直面した当事者として、また、そこから离れた第叁者として、双方の视点でその状况について论じています。
前半部分では、现在の博士の状况が多くの统计データに基づいて绍介されています。ここでは、博士でありながら「40歳近くでも非正规雇用」、「月収15,000円」といった、信じられないような境遇で働く人の例も挙げながら近年の博士の现状について説明し、その后どうしてそうなってしまったかについて歴史を遡り解説しています。ここまで読むだけで、博士とはどういった人たちで、现在どのような状况に晒されているかを知ることができるでしょう。
亲切なことに、章末には几つかのコラムが挿んであり、「大学院」や「博士」についてぴんとこない方にも分かるように、博士自体や博士を取り巻く环境や待遇について丁寧に书かれています。
后半部分では、现状のように博士が活跃できないでいることが日本にとっていかに问题であるかが论じられた后に、诸外国では博士がこんな分野で活跃している、という成功例が数种类提示されています。その中では、博士が研究职だけに固执するのではなく、「博士+齿」で生きることを提案しています。では、齿には一体どんなものが当てはまるのでしょうか。兴味を持った方は、是非本书を読んで确かめてみてください。
即効性のある解決方法は挙げていないではないか、という意見も当然ながら出てきそうですが、この「博士漂流时代」を瞬時に解決できるような秘策が果たして存在するのでしょうか。すぐには解決不可能な問題だからこそ、皆で考えていく必要があるのではないでしょうか。実はここ数年で「博士問題」を扱った书籍はいくつか出版されていますが、この本がそれらの類書と一線を画すのは、現状の悲惨さをアピールしながらも決して悲観的な書き方をしていない点にあります。そういった意味で、本書はこれまで「博士」や「博士を取り巻く環境」を知らなかった方への問題提起にも、これから博士を目指す学生の希望にもなるのです。
「博士」や「ポスドク」なんて日常では耳にしない、自分には関係がない、と思われる方も多いかもしれません。しかし、これまでにノーベル赏を受赏している方が皆博士であることからも分かるように、これまでの日本の科学を発展させたのも、これからの日本の科学を支えるのも博士に他なりません。その日本の科学技术を担う博士を目指す若者に待ち受ける厳しい現実を知ることで、博士がどうやったらより安心して良い成果を挙げられるか皆で考えていきませんか。著者が本文中で述べているように、博士を上手く活用することで日本の科学技术の発展や、不況にあえぐ日本の再生につながることが期待されるのですから。
大场歩(2011年度颁辞厂罢贰笔选科生 宫城県)