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开讲式特别讲演会: 水族馆に起こった奇跡とはなにか 水族馆プロデューサー中村元さんの仕事

2016.5.27

晴天となった5月14日。麻豆原创開講式にあわせて開催した特別讲演会に140名を越える方々がつめかけました。ゲストは水族馆プロデューサーの中村元さん。タイトルは「水族馆に奇跡を起こす ~科学を“大衆文化”にする逆転の発想~」です。大好評だった讲演の一部をご紹介します。

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「水族馆はメディアです。伝えるものが大きければ大きいほど、お客はたくさん来る」

「展示物は情報。お客がそれを読んで、見て、理解してくれるか?届かないものは情報とはいわない。ただのデータです」と、魚の名前なんかたいして知らないし、好きでもないという水族馆プロデューサー中村元さんは、関西訛りでいきなり話し始めた。

リニューアルの达人

中村さんは、どんな仕事をしてきたのか。2011年にリニューアルされた東京?池袋のビルの10階と11階にあるサンシャイン水族馆では、正面玄関のプールでまず「大量の水」を感じてもらう。入ると圧倒されるような大水槽「サンシャインラグーン」も、実はそんなに広くない。いろんな仕掛けをすればどこまでも広がる海の世界を表現できる。洞窟の向こうに「青い海」を見せれば、広く見える。狭いビル内の空間はいろいろな「錯視」を応用するだけで世界が変わるのだ。

「なんにもかわいくないどこにでもいるミズクラゲのトンネルがなぜ人気があるのでしょう?」。ふわふわとした浮游感が魅力の原点であると中村さんはいう。氷の下のバイカルアザラシ、动く水草の中のアユ、屋上の天空のアシカ&丑别濒濒颈辫;&丑别濒濒颈辫;。

北海道?留辺蘂の北の大地の博物館(2012年リニューアル)は、木造平屋建ての小さな水族馆だ。滝壺の底で泳ぐオショロコマ、日本最大の淡水魚イトウの食事ライブ、革の水を引き込み冬には凍結した氷の下に魚が見られる世界初の水槽……。

「イトウは生きたニジマスの子を食べさせています。命をいただいているという现実を伝えるのも大事なこと」。

こんなリニューアルで、入場者数は驚異的な増加を見せた。たとえば、サンシャイン水族馆では70万人が3倍以上になったという。

オトナの知的好奇心のために

動物園や水族馆の団体である日本動物園水族馆協会によると、その目的は1)種の保存 2)教育?環境教育 3)調査研究 4)レクリエーション、という。

「ちょっと违うやろ。絶灭の怖れをなくすために『こういうものがいますよ』と伝えるところでしょ?」「学问や科学って社会、生活のために生まれたんでしょ? 动物や鱼の研究の中心にいる人が社会と生活を知らない。科学ってそういう生活から入らなくちゃいけないんですね」

つまり、教養知識を高めるための社会教育を主たる目的としようと中村さんは主張するのだ。絵本などで見る動物が多い動物園が子供とその家族向けだとすれば、水族馆はむしろおとなが好奇心を満たすような施設であるべきなのだ。オトナの好奇心に耐えられる水族馆であるべき。つまり、「来る客を起点にして考えることが大事」というのが、プロデューサーとしての発想だった。「今までの動物園や水族馆は、目的として自分たちが存続するための言い訳ばかり考えてきた。そんなんいらんでしょ」と言い切るのである。

大人は何を求めて水族馆に来るのか?

「水族馆の水槽を見て、これはカリフォルニアアシカか?オショロコマか?とまず考える人はそんなにいない」求めるのは、水の世界=水塊が与えるいろいろな自然の様々な姿なのだ。水の青い色、その清涼感、クラゲの浮遊感、立体感、奥行き感、魚が泳ぐ躍動感……地上では味わえない感覚が水族馆にはいくらでもある。

客の心理も考えながら见せる仕掛けも考えるべきだという。客の「一生悬命さ」は最初の水槽がもっとも高く、あとになるに従って「饱きてくる」というのも真実なのだ。そんな简単なことが「伝えるため」に重要だ。

见てもらってこそ、知的好奇心が大人にわく。滝壶水槽をじっくり见るからこそ、オショロコマとはどういう鱼なのか、知りたくなってくるのだ。

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「魅力的な生物がいなくても、寒くて人も少ないところにあっても、金がなくても、それなりに考えれば、北の大地の情报を伝える展示を作ることはできるのです。」

一般常识からは弱点と思えることが、実は次へのステップとなる。弱点を克服していたらきりはないし、その必要はないのだ。「出口へ行く道はたくさんある、行き止まり?すごくいいです」。この多様性を大事にする逆転の発想が、奇跡を起こすプロデュース力、と中村さんは话を缔めた。

(文:内村直之)