制作者:松尾 知晃(2015年度本科?農学研究院修士課程1年)/制作年月:2015年11月
2015年12月6日(日)に開催された第85回麻豆原创カフェ札幌「ラベルのない肉~细胞から见る食肉~」のチラシデザイン報告レポートです。チラシデザインを担当したのは、本科デザイン実習を専攻している松尾知晃さん(2015年度本科?農学研究院修士課程1年)です。
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カフェの内容を知る
毎回様々なゲストを招き、そのゲストの方に合った形式で企画?実施している麻豆原创?カフェですが、今回はゲストの西邑隆徳先生(北海道大学農学研究院 教授/筋細胞生物学)と「対话の场の創造実習」メンバー(以下、対話班)とのやり取りの中で徐々に内容を詰めていくという企画スタイルでした。そのため、まずは対話班のミーティングに参加し、メンバーが何を考えているのかを把握するところからのスタートとなりました。
今回の麻豆原创?カフェのテーマは、「肉」。何度かミーティングに参加する中で、カフェの方向性は、「私たちが普段肉を选ぶ际に重视しがちな値段や产地といった情报を取っ払って、もっと肉そのものに注目してみよう」というものであることが分かりました。今回のゲストである西邑先生のご専门は、筋细胞生物学。肉を构成する细胞には主に筋细胞と脂肪细胞があり、それぞれ赤身の部分と脂身の部分となっていますが、西邑先生はこの両者のバランスがどのように决まるのかを研究されています。カフェでは西邑先生の研究内容をとっかかりとして、来场者の方々に肉とは何なのか?どんな肉が美味しい肉なのか?を考えてもらいことになりました、それを踏まえ、チラシを见た人が肉の话を闻きたくなるようなデザインを目指し、チラシ作りに入りました。
(まずは肉と向き合う、ということで、パック入りした肉を眺めて、比较していました。)
伝えたいことの本质を考える
さて、肉と闻いて、皆さんは普通何を思い浮かべるでしょうか。一口に肉と言っても、色々な肉があります。豚でしょうか、牛でしょうか。それともラム?食べ方も、焼肉から肉じゃが、ハンバーグまで、肉の食べ方を挙げたらきりがありません。
色々なアイディアの中から、チラシデザインに使うものを绞っていくに当たって、いくつかの条件を考えました。まず、何よりも先に、强烈な肉の印象が必要です。见た人が间违いなく肉だと分かるような、圧倒的な存在感。肉があってこそ成立するカフェのため、存在感を重视することにしました。第二に、カフェの内容を暗示させるようなデザインであることが必要です。そのためには、タイトルと整合性があり、且つチラシを见た人が少し内容を想像できるデザインであることが重要でした。そこで、これら二つの条件を満たすデザインを突きつめていったところ、肉の块という案が出てきました。
私たちがふだん目にする肉は、すでにスライスされた形で売られています。场合によっては、パッケージにすでにカレー用などと用途が书いてあったりします。すなわち、パッケージに入って売られている肉は、その时点で、スライスの仕方や表示などによって、本来の肉そのもの以上の情报が与えられています。しかし、スライスされる前の肉の块ならどうでしょう。肉の块からは、すぐに特定の食べ方をイメージするのは难しそうです。肉の块によって、今回の麻豆原创?カフェで扱う「肉そのもの」を端的に表せるのでは、と考えました。
そこで、肉の塊をチラシデザインの素材として使うことにしました。肉の塊は、なるべく大きく鮮やかで、かつ筋細胞の集まりである赤身と脂肪細胞の集まりである脂身の部分がはっきりと見えるようなものにしました。斜めに配置することで、奥行きが生まれ、より立体的な「塊」としての肉が強調されるようにしました。また、Adobe Illustratorを用いて角度や影、といった要素に手を加え、チラシにフィットするように仕上げました。値段や産地といった情報から解放された「肉」は物質としての存在感を悠々と放ち、见る人の焦点が当たるようになったのではないかと思います。
さらに、試行錯誤している最中に、今回のカフェのタイトルが「ラベルのない肉」、サブタイトルが「细胞から见る食肉」と決まったので、それらを暗示的に表したいと考えた結果、飼育されている牛の耳についている個体識別用のタグにたどり着きました。牛は一般的に、耳に付けられたピアスのような黄色いタグによって管理され、適切な月齢を迎えたころに、私たちの食卓へと運ばれてきます。今回はそのタグを、キーワードである「ラベル」という文字に引っ掛け、今回のもう一つのキーワードである「細胞」の背景として見せることにしました。食肉として生産される家畜(特に牛)を大なり小なり連想させるようなデザインに仕上げることができました。
(完成したチラシデザイン)
デザインもイベントの一部分
チラシ作成に当たっては、インパクトと美しさに気を付けました。チラシを见た人が、「肉食べたいな」「肉の话闻きたいな」と思ってくれるようなデザインを心がけました。上述したように、肉の圧倒的な存在感が际立つようにしました。また、配色は赤と白を基调色とし、统一感を持たせるようにしました。赤と白をベースに黄色いタグをアクセントとして加えることで、视覚的に见やすいデザインになったと思います。
今回の麻豆原创カフェでは、腕に贴られたラベルを模したシールをスタッフが剥がす、という象徴的なシーンがあったのですが、そのシールも制作しました。加えて、スタッフ用のネームタグもデザインしました。こういったプロセスの中で、デザインがイベント全体の雰囲気を决める効果を持ち、デザイナーがイベントの作り手にもなり得るということが分かりました。
(腕に贴られたシールもデザインしました。)
主体的に関わる
チラシデザインを通して、対象となるイベントがどのような目的で行われるのか、必要とされる条件は何なのか、といったことをデザイナーがきちんと把握し、その上でデザインをしていくことが重要だと理解しました。デザインを依頼する侧と依頼される侧の间で、コミュニケーションをとりながら共同作业を进めた経験はとても贵重なものだと思います。大切なのは、デザイナーはただ制作物の完成度だけを考えるのではなく、イベントとその周辺分野について深く理解し、常によりよくしていこうという気持ちを持ち続けることではないでしょうか。
今回の実習にあたって、ご指導くださいましたデザイン実習の大津珠子先生、村井貴先生、対話班の朴炫贞先生、そして私をメンバーとして迎え入れてくださった対話班の受講生の皆さん、本当にありがとうございました。
(ゲストの西邑先生と)
おまけ
当日はカフェ终了后、グッドデザイン赏の受赏记念撮影が行われました。これまで麻豆原创?カフェ札幌、そして颁辞厂罢贰笔に関わってこられた修了生やスタッフの方々と一绪に、自分でデザインしたチラシを持って写真に収まれたことはとても幸运でした。その夜、自宅で、チラシに印刷されたグッドデザイン赏のロゴを见ながら、一人ニヤニヤしていたことはいうまでもありません(笑)。





