実践+発信

胃の病気とピロリ ?胃がんを防ぐために?

2011.9.29

著者:浅香 正博 著

出版社:20101000

刊行年月:2010年10月

定価:740円


  「ピロリ菌」という細菌の名前を聞いたことがあるでしょうか? ヒトの胃の中に生息し、正式な名前をヘリコバクター?ピロリというこの細菌は、1982年にオーストラリアの医師2人によって発見されました。それから約30年。ピロリ菌の発見によって胃の病気についての理解が進み、その治療も大きく変わってきました。この本は、ピロリ菌との関係を中心に、胃の構造や、胃の病気の診断、治療、予防などについて、医学の十分な知識がない人にも分かりやすく書かれた本です。

 

 

 胃の中ではあらゆる食物を消化する胃酸が分泌されるので、细菌は存在することができないと长い间考えられていました。しかし、ピロリ菌は胃酸から自らを守る机构をもつため、人が幼少期にピロリ菌に感染すると、そのまま一生、ピロリ菌は胃の中にとどまり、胃炎や消化性溃疡、さらには胃がんの発生にも大きく関わるということが明らかになってきました。しかも日本など东アジアのピロリ菌は欧米のものに比べはるかに毒性が强いといいますから厄介です。

 

 

 この本では、胃の中のピロリ菌を除菌することにより、胃炎や消化性溃疡を完治することができることのほか、胃がん発生の予防も可能であることが述べられています。がんの予防といえば、子宫颈がんの原因であるパピローマウイルスのワクチン接种について、最近、ニュースなどで取り上げられることが多くなりました。国内で年间约5万人もの死亡者が出ている胃がんも、ピロリ菌を除菌しておくことにより、その発生を抑制することができるというのです。

 

 

 日本では団块の世代以上が特にピロリ菌の感染率が高く、若い世代になるほど感染率は低くなっています。ですから、将来、日本の胃がん発生率は剧的に下がっていくといいます。しかしその前に、ピロリ菌感染率が高くしかも人口の多い団块の世代が、胃がんの発生の多い年代にさしかかりつつあります。着者は、国の政策としてピロリ菌の感染诊断や除菌を早急に行っていくことが、医疗费の増大を防ぐためにも、そして何よりも胃がんで亡くなる人を减らすためにも非常に重要であり、将来、胃がんを扑灭することさえ可能であると强く诉えます。

 

 

 私自身、10年ほど前に胃の病気を患い、その治疗の最后にピロリ菌を除菌した経験があります。薬剤を饮んだ后で呼気を採取するというピロリ菌の感染诊断に惊き、1週间欠かさず薬剤を饮むだけという除菌方法を意外に感じた记忆があります。それらの诊断や治疗の内容、そして除菌の効果の大きさについても、この本によってさらに详しく知ることができました。

 

 

 自分や家族の胃の健康を守るため、ピロリ菌や胃の病気についてこの本でぜひ知っていただければと思います。

 

 

 

松井 渉(2011年度颁辞厂罢贰笔选科生 福冈県)