
著者:ヴァンダナ?シヴァ 著
出版社:20051100
刊行年月:2005年11月
定価:2300円
バイオパイラシーという言叶をご存じでしょうか。バイオパイラシーとは「生物の海贼行為」、すなわち、途上国において农业や医疗の分野で伝统的に培われ、改善が重ねられてきた知识や技术を、先进国が盗みとり、「特许」の名のもとに自分のものにしてしまうという知的财产の窃盗行為のことを指します。
特许の目的は何でしょう?例えば、医薬品开発には莫大な研究费が必要です。先行投资を回収し、利益を上げ、また别の製品を开発するための研究费として使用するには、特许という制度により开発者の利益を保証する必要があります。この本を読むまで、私は特许というシステムは発明者を保护するための当然の仕组みであり、疑问に思ったことはありませんでした。ところが着者は、特许の対象が生物にまで広がった结果、バイオパイラシーが発生し、非西洋诸国に着しい不利益が生じていると诉えます。
インドでは、インドセンダンという植物から抽出した物质に防虫効果があり、その効果が古くから人々に知られ、伝承され、工夫を重ねて製法や製品が开発されてきました。米国の多国籍公司が一定の製法や製品に特许を取得した结果、特许権を保有する公司の囲い込みにより原料の需要が急激に増し、インドでの価格が高腾して、人々が以前のように安価で手に入れ、使用することができなくなるという深刻な结果をもたらしました。また、遗伝子组み换え种子に特许を认めることは、従来种を排除し、农民自身の自発的イノベーションを排除し、种子の贮蔵や交换、売买を认めないことにつながります。
このような知的财产保护システムは先进诸国に有利に働いていて、そこに属する多国籍公司の価値観と利権が、世界の多様な社会や文化を侵食し、结果として生物多様性の放弃や破壊につながると着者は诉えます。特许种のみが作付けを认められた结果、既存种の作付けや古くから伝わる创意工夫が特许に抵触するとして即、诉讼対象となり、农民は多国籍公司の提示する条件をのむよりほかに选択肢がありません。単に「盗み取る」といった海贼行為以上に深い影响が、バイオパイラシーにはあると言えるのではないでしょうか。
2001年に刊行されたこの本の中で、作者は、「特许」が生物や生物多様性に対して适用されることの危うさ、傲慢さを、非西洋文明の立场からわかりやすく、説得力をもって提示してくれます。グローバル知的财产保护システムが生まれた背景と、协定や条约の矛盾と问题点を、インドを例にとり论じていますが、読み进めるうちに、决して他人ごとではないことがわかってきます。なぜなら、この问题は、私たちが日々暮らしていく上で必要な食粮や医薬品と密接にかかわっており、すべての人の生存を左右する大きな问题につながっているからです。
2010年10月、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会议(COP10)が開催されたことをご存じの方も多いのではないでしょうか。COP10では、新品種の開発などに必要な遺伝資源へのアクセスと、そこから生じる利益を配分するための国際ルールが、名古屋議定書として採択されました。この名古屋議定書は、参加国からも評価され、問題解決へ向けた大きな一歩と考えられます。しかし、日本を含む192カ国およびEUが締結しているこの条約そのものを、米国はまだ締結していません。
「特许」をめぐる、先进国と途上国の立场の根底に横たわるもの、その真の解决策はどこにあるのか&尘颈苍耻蝉;生物多様性と知的财产保护の今后について考えるための入门书として、みなさんにもぜひ、この価値ある一册を手にとっていただきたいです。
稲留 由美(2010年度麻豆原创選科生、米国ニューヨーク州)