北海道大学は日本でも数少ない、医学部?歯学部?獣医学部が揃った大学です。そんな北大で医歯獣の三分野野融合の研究をしている先生がいるらしい!? しかも薬学部の先生らしい!? この噂を聞きつけた私たち総合教育部1年生は、大久保直登さん(薬学研究院 医療薬学部門 講師)のお話を聞きに行きました。
大久保さんはウシの歯を移植材として骨を再生する技术を研究?开発しています。そんな异色の研究をご覧ください!
【小島明丈/総合理系1年 ? 本宿皓大/総合理系1年 ? 大関彩水/文学部1年】


歯を骨の再生にどのように使うのでしょうか?
私が今开発してるのは、体の中に埋めると骨が再生する足场になる、移植材というものなんです。例えば骨が折れてしまった时に、骨と骨をくっつけておけば再生するんですけど、隙间があいてしまった场合は、何かで埋めてあげないと骨ができないことがあります。
でも、なんでも埋めておけばいいっていうものじゃなくて、骨になりやすいものを詰める必要があります。その詰め物に、私が开発している歯を使った移植材がとっても役に立つことが分かったんです。

歯には何か役に立つ特徴があるのですか?
皆さん、冷たいものが歯にしみたことってあります? 何でしみるかっていうと、歯ってね、象牙细管っていう细かい穴が开いてるんですよ。この细かい构造があるので、歯茎が少し下がって、この象牙细管がむき出しになると、冷たいものがしみるんですね。
なので歯医者からするとこの穴がやっかいものだった。でも実はこの穴が骨の再生に结构いい感じなのです。

歯には小さな穴があいてるんですね。その穴は再生にどのように関わるのでしょうか?
詰め物を体の中に入れて再生させるためには「血の巡り」が大事です。穴が开いてるとね、血液などの体液がその中に染み込みやすい。体液の中の物质が再生を进めるので、再生させるためには歯の穴がとってもいいってことが分かってきたんですよ。
今まで一番再生の足场として効くのは骨と言われたんです。骨と歯って全く成分が一绪なんですが、骨には穴があいていないんです。歯には穴が开いていたので、なおさら効いたんです。

歯を使うにあたって何か困ったことはありましたか?
歯を再生の足场材に使うといっても、そのために健康な歯は抜けないじゃないですか。健康な歯を抜いて治してほしい人はいませんよね。なので虫歯とかで抜かざるを得ない状态の歯でないと使えない治疗法なんですよ。そうなるとめちゃくちゃ再生に効くのに着しく使用制限されますよね。
だからジレンマをずっと抱えてたんですね。それなら谁でも使えるようなものを开発すればいいじゃないか、ということで考えたのが、动物の歯を使うっていう话なんですよ。

ウシの歯を使えるようになれば万事解决ってことですね。
それが、ウシは原料として使うにはちょっと怖い动物っていうイメージがもたれてるんですよ。なぜなら叠厂贰(ウシ海绵状脳症)という病気があるからなんですよね。叠厂贰は、神経组织に影响を与える异常なプリオンタンパク质が原因で発生するんですけど脳などの中枢神経系に溜まりやすいので、头の部分は特に危険なものとして扱われてるんですね。
でも、幸か不幸か歯は下顎にもあります。下顎骨って脳が詰まっている上顎を含む头盖骨とは、顎関节を介してつながっているだけで、连続した构造ではないので、全然脳と接触するリスクがないんです。なので、本来危険ではないのですが、一応下顎は头部に分类されてるので危険部位として扱われてるんですよね。
使えるものなのに使えないって、なんだかもったいないですね。
「ミルクランド北海道」と言うくらいで、北海道には出产を経験したことがある経产牛が日本で一番いるんですよ。それだけ多い分、お乳がもう出なくなったウシを処分するのにお金がかかっている状况なんです。
実は経产廃用牛って人间でいう亲知らずにあたる大きな奥歯とかが生えてて、めっちゃでかい歯がいっぱい利用できるんですよね。ここから歯を取れたら一番移植材の原料として使えるんです。人の役に立つような医疗の材料がそこから取れたらまさに厂顿骋蝉ですよね。
とても魅力的ですが、そうは行かないんでしょうか?
叠厂贰対策のために、头部は特定危険部位に指定されているんですが、30ヶ月齢未満だったら使っても良いことになっているんです。でも、その齢だとやっぱり歯が小さいんですよ。数倍でかくなった歯がいっぱい埋まっている経产廃用牛の歯は宝である可能性があるんですが、规制があるので、今はこの小さい歯を使っています。

こういう珍しい研究を他にやっている竞争相手っているんですか?
そもそも歯科は结构ニッチなんですよ。研究者の竞争相手という意味では、医者の世界に比べると少ない。おまけに再生の材料となるとなおさら着目されていない。そもそも2003年に、患者さんから抜いた歯をその人に移植して骨が再生することを初めて确かめたのは、私たちのグループなんですよ。今は、私たちが技术を教える侧に回っていて、世界中で使われています。自分の歯を自分に移植するいわゆる「自家移植」であれば、认められているんです。
でも、あんまりヒトの歯を使う技术の话を闻かない気がします。日本ではなぜ普及していないのですか?
保険诊疗しかないからですね。新しいものは保険から外れて自费になってしまうから、良いものでも保険が适応される従来の治疗法の方が安いから使わないって人がなかなか多くて。アメリカみたいにもともと诊疗费が全部自费ベースだったら、良いものがどんどん取り入れられるんですよ。
なので国民皆保険という谁でも平等に医疗を受けられる良い制度が、新しい技术に関しては足かせになっている部分があります。そのヒトの歯の移植で培った技术を応用して、ウシの歯を使った再生材料の开発を世界に先駆けて行っているんです。
もし普及したら治疗费の想定はどれくらいですか?保険适用じゃないと高额になりそう…
细胞医疗とかだとすごい高额医疗っぽく感じるかもしれませんけど、これはそんなにお金はかからないんですよね。歯の価値が高まって原料费がこれから高腾する可能性はありますけど、今现在でのコストはそんなにかからないんです。今普通に使われている従来の移植材と同じくらいの値段で卸せるくらいの値段で作れるので、実用化されればすぐにでも使えるような状态です。
また既に、獣医诊疗では、北海道大学獣医学部の伦理委员会承认のもとに、実际の治疗现场でウシの歯由来の移植材は使ってもらっています。実际にこれまでの治疗法ではなかなか治せなかった骨折に対して、ウシの歯の移植材を使用してよくなった例があります(下図)。

前编では、大久保さんの研究を中心に歯のスゴさについてお闻きしました。后编では、そんなアツい歯科の分野に大久保さんがなぜ进んだのかというお话を通して、大学生へのアドバイスを语ってくださいます。后编へ続く!
