動物心理学を研究されている瀧本彩加さん(北海道大学 大学院文学研究院 准教授)。前编では、文学院で動物の心理を研究するに至った経緯やサルの不公平感の認識、ウマの社会性についてお話しいただきました。この後編では、瀧本さんご自身に焦点を当てていきます。瀧本さんの明るい人柄がにじみ出るお話から、研究に対する瀧本さんならではの柔軟で誠実な姿勢が浮かび上がってきました。
【上垣朋辉/法学部1年 神谷聡佑/文学部1年 叁瓶幌汰/経済学部1年 西戸阳那/総合理系1年 六笠真里奈/総合理系1年】
――ウマの共同养育(※详しくは前编参照)について、ご自身の子育てで得た気づきがきっかけになっていると伺いました。研究にご自身の経験が活かされたことや影响を与えたことなどがあれば教えてください。
共同养育の大切さに気づいたのは、実际に自分自身が子育てをする中で、周囲の人たちによる助けがとても大きかったからです。
コロナ祸での出产だったので、人との接触が断たれる中で初めての子育てをしないといけなくて、不安や戸惑いが大きかったんですね。そのときに児童虐待とか育児放弃のニュースを见ると、他人ごとじゃないっていうか。私の场合は、つい最近まで夫が単身赴任でしたが、平日は不在でも週末には来て、育児に积极的に関わってくれましたし、母も远方からときどきサポートに来てくれました。娘の保育园入园まで半年间の待机が必要でしたが、その间は夫が育児休暇を取ってくれたおかげで、私は学生の卒论指导のために予定通り仕事復帰できました。娘が幸运にも第一希望の保育园に入ることができた后は、保育园の先生方やお母さんたちが温かく交流してくれたので、不惯れな子育ても何とかやってこられました。これが、頼れる家族がいない、保育园が见つからない、などの状况であったら、もっとずっと大変な思いをすることになるのは容易に想像できます。
个人を责めて终わりにはできない、子育てが孤立化してしまわないよう、うまく助けを求めて受ける「受援力」とともに、亲を含む家族やそれを见守る社会の目や意识などをうまく育んでいかないと、子育てをめぐる社会问题を根本的に解决することにはならないのではないか。この问题は、もっと自分ごとだと思って取り组まなきゃいけない――そう思ったんですよね。そうした気づきが、今の研究にもつながっています。

――研究に加えて、出张?执笔?子育てなどご多忙だと思いますが、日々の时间管理やスケジュール调整はどのように工夫されていますか?
良くないのはわかっているのですが、私は缔切间际にならないとなかなかエンジンがかからないタイプで???。それでも、娘が生まれるまでは、自分さえ无理をすれば缔切に间に合わせることもできたんですよ。でも、娘が生まれて以降は、娘が急に体调を崩すこともあって、仕事を休まないといけなくなったりして、スケジュール(もともと无理のあるスケジュールなのですが)どおりには行かなくなることが増えるんです。なので、何でも早めに取りかからなきゃいけないと日々思っているのと、优先顺位をつけるようにしています。また、次の予定の直前まで集中して作业をしたいので、最近は携帯のタイマーを利用して、タイマーが鸣るまで集中、时计も见ない、もうやれるだけのことはやるみたいな感じで、詰めてやっていますね。
あとは「これは明日までにやらなければ」って仕事を持ち帰ると、娘を寝かしつけるときに「早く寝てくれないかな」って焦るんですね。寝ないとイライラしてしまうこともあって、これは良くないと思ったことがありました。以降は娘が寝た后に何かしなければならないっていうふうにはしないで、翌日までにやらなきゃいけない仕事は职场で终わらせ、极力持ち帰らないようにしています。
――结婚や出产、子育て、さまざまなライフイベントを経験されてきたと思います。研究を続けることに迷いや葛藤を感じたことはありませんでしたか?
研究の継続に迷いはありませんでした。出产がわかってから产休を取るまでに7カ月弱あったので、それだけ时间があれば、私がいない间の研究遂行について、学生や共同研究者の皆さんとの调整も可能です。また、幸いにも优秀な学生に恵まれていたので、产休?育休で半年休んでいる间も、学生が一生悬命にデータを取り続けてくれたり、论文を书き进めてくれたりして、ずっと研究を続けられていたので、それはずいぶん大きな助けになりました。
ただ、泣く娘を保育园の先生や家族に预けて、「ママ―」という声を振り切って、仕事に行かないといけないという场合は、娘にこんなにつらい思いをさせてまで仕事をしないといけないのか、と葛藤したこともありましたが???。今では、私が仕事の内容を话すと、娘は理解して、だいたいの场合は纳得して私を送り出してくれるようになったので、ありがたく思っています。もちろん、出产前のように身軽にフィールドワーク?学会出张に行けなくなってはいますが、夫や母?娘にさまざまに协力してもらって、なんとかやっています。

――ご家族や学生さんの支えがあったのですね。
はい。子育てだけではなく、研究もひとりでするものではないんです。
文系だけど、実は理系の研究に関心がある人もいると思うんですよね。自分は○○が苦手だから、本当は○○の研究がしたいけど諦めなきゃいけない――なんてことはないんですよ。そういう人に、「研究はひとりでするものではない」っていうことを言いたいです。今は协力する时代なんです。それぞれ得意なことで力を合わせて、1つのプロジェクトを成し遂げていく感じです。どうにかこうにか、人づてにでも协力体制を整えて、果敢にチャレンジしていくことができます。だから諦めないでって言いたい。
もちろん、苦手ながらも基础を学んだり理解しようとしたりする姿势は大事ですが、私はたくさんの人の助けを借りながらこれまでやってきたので、助けを得られるように、出会った人を大切にして、人间関係を构筑しておくのも大事だと思います。実际、学生时代からの縁で、研究?仕事の轮を広げられているところがあって、皆さんには心から感谢しています。

――良好な人间関係の构筑についてもお话がありましたが、事前に好きな本として、『女性の品格――装いから生き方まで』を挙げていただきました。この本から受けた影响も大きいですか?
そうですね。私が品格のある人かというと全然そうではないんです。耻ずかしいんですけど。ただ、身近に素敌だなって思う研究者の先生がいて、どのようにすればその先生のようになれるのか、と考えたときに、品格を备えることが必要なのではないかと思って、この本を手に取りました。私の研究室で行っている研究では、牧场や马术部?动物园など、研究协力先の皆さんの协力や支援がなければ成り立ちません。贵重な时间を割いて协力してくださる皆さんに対して、まずは「人としてちゃんとすること(礼仪正しく、诚実に)が大事だよ」、と学生たちにも伝えています。

――では最后に、今后、キャリアを重ねるうえで大事にしたいことを教えてください。
もう少しワークライフバランスをうまくとりながら、仕事にもプライベートにも最善を尽くしていきたいと思っています。忙しいと、休日も娘を寝かしつけた后などに「仕事をやらなきゃ」というモードになってしまい、夜寝るのが遅くなり、朝起きるのも遅くなってしまうことがよくあります。ただ、身近な人に「仕事は何のためにしているの?人生を豊かにするための仕事じゃないの?」と言われて???。もう少ししっかりと时间管理をして、仕事もプライベートもより充実させられるように顽张っていきたいです。

――取材后记
これから取り组まれる研究テーマについても兴味深いお话を伺いました。今后は、同种の动物内の共同养育に限らず、异种间で育まれる「慈しむこころ」についても探求していきたいと语ってくださいました。瀧本さんの今后の研究成果にご期待ください。
今回の取材ではご自身の子育ての経験をきっかけに研究テーマを広げながら、研究と生活を柔软に両立されている瀧本さんの姿が印象的でした。「研究はひとりでやるものではない」という言叶からは、研究や进路选択において他者とのつながりや対话を大切にする瀧本さんの姿势が伝わってきました。これらの言叶や姿势は、进路に悩む学生にとって、自分らしい道を见つけるための大切なヒントになると感じました。不惯れなインタビューにもかかわらず、终始温かく迎えてくださった瀧本さん、本当にありがとうございました。
注?参考文献
1.北海道大学 大学院文学研究院?大学院文学院?文学部 「瀧本彩加 プロフィール」. (最终閲覧日:2025年11月7日)