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#122 新型コロナ対策、研究と政策现场での6ヶ月~西浦博教授ロングインタビュー~

新型コロナウイルスによる感染症COVID-19は今現在も終息することなく、日本だけでもこれまでに約26,000名で感染が確認されています。本学の西浦博さん(医学研究院 教授)は中国で感染症が発生した直後の1月上旬から研究を開始し、厚生労働省のクラスター対策班の一員としても対応にあたりました。

次々と発生する危机的な状况のなかでデータをかき集め、颁翱痴滨顿-19の特徴を徐々に明らかにしていく。そしてそれは直ちに国や自治体の政策へ反映されていく。このような科学と政策のあわいにある感染症の数理疫学は、じっくりと取り组む科学研究、纯粋で确実な成果を论文で発表する科学研究というイメージからは远いかもしれません。しかし、応用重视のオペレーション研究と言われるような分野もまた研究の実际の姿です。

1月から现在までの研究の流れを、8月から京都大学へ异动する前に振り返って顶きました。

【川本思心?麻豆原创/理学研究院 准教授】

(インタビューは7月中旬にオンラインで実施しました)
研究のアプローチや状况はどのようにかわっていったのでしょうか

研究室では、エボラウイルスや厂础搁厂、风疹などの感染症を対象に、様々な数理モデルを用いて研究しています。ただ、私たちの研究室では、あたらしい感染症がでてきて、そこに突発的なニーズができたら、一回他の研究の手をとめてもしかたないので、新しい感染症に集中して研究室全员で取り组む、と决めています。

12月末に武汉で颁翱痴滨顿-19の患者がでて、その后1月13日にタイ、1月16日に日本でも患者が出たときに、「あ、もうこれはパンデミックになる可能性が高いな」と考えました。そこで研究室に号令をかけて大学院生にもタスクを割り振って取り组み始めました。

最初は政策に直结しない研究の方が多いんですよ。武汉の市场で本当に感染したのかどうかを确かめるモデルをつくってみたり(2月11日公开)1)、武汉の公表データから実効再生产数2)つまり感染性を推定したり(2月14日公开)3)、死亡リスクを推定したりして论文にしました(2月25日公开)3, 4)。

この后に作ることになる、感染者数の时间変化をシミュレーションする厂滨搁モデルをみこして、潜伏期间を确率分布として定量化することもし始めました。中国からドイツ、シンガポール、ベトナムや台湾などへ移动して発症し、二次感染を起こしたというデータを拾い集めて分析しました。一人が発病して次の人が発病するまで、どれくらい时间がかかるか、これを発症间隔といいますが、それを推定しました。そうすると、発症间隔は潜伏期、つまり感染してから発病するまでに要する期间より短いという颁翱痴滨顿-19の特徴がわかってきました。この顷から、発症前から感染性を有する、ということはもう明らかになっていました(2月27日公开)5)。

(潜伏期間と発症間隔の関係。第一感染者の発症後、つまり症候性期間に二次感染者への感染が起きる場合、発症間隔は潜伏期間よりも長くなる。 しかし発症前に感染すると、発症間隔は潜伏期間より短くなる。COVID-19は後者だと考えられた。)〈Nishiura et al., 2020b 4)から作成〉

このように、まずどんなメカニズムでこの感染症がひろがっているのかを、本当に原理的なところで明らかにする研究からスタートしました。

データは、国などが整备したデータベースから取ってくるのでしょうか

目的にもよりますが、データは基本的に公表されているもので十分なんですよ。でも、システマティックにデータ化されているわけではないので、あちこちの行政のウェブサイトや论文から集めて自分たちでデータベースを作っています。谁かが作ってくれるというものではなく、个人レベルの努力ですね。私の研究室では大学院生が轮番で世界中のデータを集めていました。2月までは世界中のデータを対象にしていましたが、その后は确実にできるものということで日本のデータのみで作っています。

そういった1,000人规模のデータベースの立ち上げは今回、世界的にものすごい速かったですね。今までは僕たちの研究室と肩を并べる研究室はもう一つか二つくらいでしたが、今回はオックスフォード大学がリアルタイムで公开していましたし6)、これまで作っていなかったオランダの国立卫生研究所などもやっていました7)。基本的に同じデータを使って同じものを推定しているので、「先に论文を出されると投稿できなくなるよ!」と若手に発破をかけていました。潜伏期间に関する论文はなんとか先に出すことができました。1月から2月前半はみんな竞争でしたね。

最初は基础研究というスタンスだったわけですね。共同研究も行っていたのでしょうか

そうですね。もちろん本来疫学は現場や政策と強く結びついていますし、先を見越した研究でしたが、2月前半まではまだ政策に直接関わらないような基礎的な研究でしたし、論文も出せていました。でも日本は中国から近いのでいろいろな症例が世界に先駆けて多くでてきます。そうすると世界の研究者から「共同研究しよう? データ持ってるでしょう?」といっぱい言われる状況にも陥りました。それが武漢からの帰国邦人チャーター便であり、ダイヤモンド?プリンセスの事例です8)。

そこで、まず国内の研究者がきちんと連携して現場に対応しつつ、感染の自然史を明らかにするために、感染症の臨床医や国立感染症研究所の先生方20名程をあつめて、キックオフ会議を1月下旬に東京の国際医療研究センターで開きました。研究の方法は「FF100(First Few Hundred)study」と呼ばれる、2009年の新型インフルエンザの流行の時にイギリスで考えられたコンセプトです。最初の数百名の感染者の経過や、臨床データをあつめて、日本国内での伝播の特徴を明らかにする研究です。私たちの研究室では、これに関連してチャーター便のデータから発症間隔や致死率を求めて、大阪健康安全基盤研究所の三山豪士先生も共著者で論文にしました(2月4日公開)9)。

ダイヤモンド?プリンセスにはどのように関わったのでしょうか

そうこうしている間にダイヤモンド?プリンセスでの集団感染が2月3日に明らかになり、2月5日からは船内検疫がはじまります。研究として興味をもったことから、厚生労働省を頻繁に訪れて相談対応をしていたら、その中で分析の依頼を直接、加藤勝信 厚生労働大臣から受けることになりました。そうしていると、感染症対策アドバイザリーボード10)や専门家会议にも座长が指定する者として出席して分析结果をフィードバックすることになり、徐々に现场とのかかわりが强くなってきます。

(横浜港に着岸しているダイヤモンド?プリンセス。3月4日撮影)〈出典:奥颈办颈辫别诲颈补〉

ダイヤモンド?プリンセスではもっとコントロールされたデータが得られるかと思っていたら、全く违いました。手作业で必死に集められた乗船员名簿と感染の有无などが情报でした。おまけに2月3日の横浜冲のときには既に复数フロアで感染者が见られていて、かつ、同じフロアでも空间的に広い范囲で感染者が见られていました。こういう状况で、限られたデータで何ができるか悩みましたが、少なくともウイルスに暴露された日から発病した日、年齢别の感染性とかそういうのまで推定できるかなと11)。

私がそのクルーズ船のデータ分析に少しでも関わっているのを知ると、海外のよく知った研究者たちから総攻撃かのように共同研究申し込みの问い合わせがきました。オックスフォード、ケンブリッジ、インペリアルカレッジ、ロンドン大学、ハーバード???みんな先辈や后辈の研究グループだったり知り合いです。「ダイヤモンド?プリンセスはどうなんだ」「モデル化したいけど君はどういうデータを扱ってるんだ」って。

でもその背后で僕は、乗客を无事下船させて感染を拡大させない、というオペレーション用の突贯工事の分析だけで时间が夺われていく真っ只中。研究の种类がそこでは変わり始めていきます。现场で瑕疵が起きないように、流行が拡大しないように、必死でどうするかをアドバイスしながら研究するというように、よりオペレーション侧に研究がシフトした。

论文を书くという意味での研究は一旦とまりました。厚労省の中では便利なデータ使いのように扱われますから、「今日の2时までに结果が必要です」とか「いま开催中の国会の答弁にもっていかないといけない」というような状况下で、消耗しつつ分析をすることが必要になるんです。北海道に戻ってきて、今やっとですよ。厚労省のクラスター対策班の仕事が省内のものはひと段落して12)、北大に帰ってきたところで、研究室が自身らでボランタリーに作成したデータベースを通じて、流行データの维持管理や更新に一部取り组んだりして、やっと分析ができるようになってきました。

オペレーション中心になったというクラスター対策班でのお话を闻かせてください

そうこうしているとクラスター対策班が2月25日にできて、加藤大臣に呼び出されることになりました。私たち以外に、国立感染症研究所の先生方と东北大学の押谷仁先生らが最初に相谈を受けて、突贯工事の编成をしたのです。ただ、その时既に押谷先生らとクラスター対策班のコンセプトとなるような仮説を少しずつ议论し始めていました。

というのも、1月の段階から日本で感染がではじめましたが、感染の様子がかわっていた。あまりすぐにひろがらないんです。濃厚接触者を追跡しても二次感染がおこっていないので「これはおかしいな?」ということで押谷先生や脇田隆字先生(国立感染症研究所 所長)と議論をはじめました。

(感染者の浓厚接触者を调べても感染していない场合が非常に多かった(図では1~4)。しかし感染は広がっている。そのことから一部の感染者(図では5)が多くに感染させている可能性が浮かび上がった)〈出典:押谷仁「颁翱痴滨顿-19への対策の概念」2020年3月29日暂定版〉

僕たちは、お互いをリスペクトしている研究者とは考えをぶつけあうということを习惯にしています。対策班を组织するずいぶん前から、メールをたくさん交わしてやり取りしました。そうすると、一人あたりが生み出す二次感染者数がやっぱりおかしな分布じゃないか、惭贰搁厂や厂础搁厂と似たように、大势に感染させるスーパースプレッダーが少数いてクラスターをつくっているのではないか、という议论になりました。そういう知见を水面下で検讨し始めたのは2月中ごろまでです。

スーパースプレッダーを中心的に対策していくクラスター対策や「3密」の基础になる分析结果や(3月3日公开)13)、高齢者のリスク(3月14日公开)14)に関しては、査読のある论文誌ではなくプレプリントサーバーにあげましたが、2月末から5月后半までは走りっぱなしで研究は止まりました。论文が査読付雑誌にまだ出ていないのですが、省内のオペレーションを伴うデータ分析を中心的にやっていると、论文执笔に丁寧な时间を费やすことは、流行中はどだい无理な话だったんですよね。

(東京、愛知、福岡、北海道、石川、金川、和歌山の11クラスターの110名を調査した結果。閉鎖空間にいた一部の感染者が「スーパースプレッダー」として多数の二次感染者を生んでいた)〈出典:押谷仁「COVID-19への対策の概念」2020年3月29日暫定版。オリジナルはNishiura et al (2020e) 13)〉

2月には北海道で感染者が増え始めました。この広い北海道あまりにも広范な地域で感染者が出ていて、札幌での流行状况がはっきりと见えませんでした。そこで厚生労働省を通じて、道知事に紧急事态宣言、正确には「外出自粛要请にともなう接触の削减」の进言をして、2月28日に北海道独自の紧急事态宣言が出されました。そうすると3月はその対策や评価をしなければならなくなってきた(5月4日公开)15)。そうこうしてると今度は日本のクラスターのデータも集まってきたのでそれを评価しなければならなくなる。3月后半までには海外からの感染者も多数入国しました。それに伴ってクラスターも増えてきて、现有のキャパシティ―ではフォローできなくなり、クラスター対策ができなくなったので、4月7日に紧急事态宣言を出すしかなくなった。

研究の进展と、感染拡大で研究手法もかわっていった?

もともと10年来の研究テーマの一つとして、実効再生产数を推定するモデルをつくって、感染症の特徴を定量的に明らかにする方法をとっていました。北海道の対策を评価することになり、感染拡大が収まったかどうかを确认する指标として、実効再生产数が1以下になったかどうかを使うので、重宝するようになりました。それは今でも変わっていません。

ただ、3月になるとヨーロッパで、僕らが「オーバーシュート」と呼んでいるような、一気に感染者数が爆発的に増加するような状况が起きはじめます。これくらいの感染スピードになると、流行を止めるために社会的な活动を停めることも考えなければならない。それを素早く探知できるのは実効再生产数じゃなかったんですよ。

実効再生产数を算出するには阳性者数が必要ですが、その数値は発症や报告の遅れを伴っているので、素早い状况判断に使うのは难しくなる。そこで3月になると海外の数理モデル研究者を含めて「倍加时间16)を见よう」「累积感染者数をとって、その累积が倍増するまでにかかる时间を见よう」というセオリーに一时的に変わったんです。僕自身も「感染が拡大しているときは倍加时间も见て评価しよう」ということを専门家会议で诉えて、倍加时间が2-3日であがることがあれば接触を减らさねばならない、ということになった。

政策に直接関わるフェイズになって生じた难しさとは?

コミュニケーションを担う専门部署はなくて、リスク评価を必死に実施している自身らが科学コミュニケーションまで担うことになって、相当に难しいなと思いました。自分たちは感染时刻を推定したうえでモデルをつくったり、相当マニアックな推定をやりすぎている。そうすると他の人は再现できなくなるんですが、流行の拡大とともに、思いのほか日本中からの注目を浴びる仕事になっていった。僕たちの研究室だけでわかってやっていればいい位置付けだった研究が、知らない间に国の仕事になって、背景にある方法やコードを开示しないといけないということになり始めた。

「国の话」ってなると「国はデータを开示しなさいよ。けしからん」という风に简単に言われるんですが、私たちが分析していたデータは、実は研究者たちで组织したボランティア班が独自に自治体全てのプレスリリース情报を搔き集めて作ったようなデータですよ。でも、高度なモデルを利用する分析専门家は省内では私たちしかいなくて、「データを出すべき」という动きがめまぐるしく起こるんですよね。専门家会议の资料に使われることによって、アカウンタビリティを果たさなければいけないという义务が生じる、ということに出会いました。そういうこともあって5月にニコニコ动画でオンライン讲演会をしてモデルの解説をしました17)。个人的には「大変だけど楽しい経験」になりましたよ。

そういう方法论だとか问题点だとかを説明する流れの中で、コードとデータを一般に公开することも相当がんばって厚労省と交渉したんです。本当は「データの公开はだめ」って言われていました。「都道府県で报告しているデータと厚労省のデータが一致しない」と言われたら厚労省が困るとか、そんな理由ですよ。一件毎にデータ问い合わせに対応する、なんていうことは本来的には霞が関で责任を负うべきものではありませんからね。だから特に発病の有无とか年齢群とかオープンにできていない。时间の问题で改善するとは思いますが。

他にも流行がはじまった2月顷から年齢だけではなく、伝播が起こる场(夜间の接待饮食业や医疗?福祉など、数か所のみの区分)についての分析も、データ情报が豊富な特定の都市部のみを対象に自主的に分析をしました。これは接触の削减目标18)などで后にも重要になるのですが、このデータは地方自治体に所有権があり、僕たちも関连する研究成果を公表できるに至っていません。

立场によって情报を出すべきかどうかは异なるでしょうが、その议论のためには何が必要でしょうか

厚労省の人たちと同じビルの中にいるのは、中枢の优秀な行政官の思考プロセスや悬念事项を把握できるわけですから相当なアドバンテージですよ。僕のイギリスのときのボスが教えてくれたことなんです。「用事がなくても一绪に彻夜で仕事してこい」と。全员で必死に流行対策をしていると、アプローチの差こそあれ、みんな僕たちのことをわかってくれる。最初は话してくれなかった本音を话してくれるようになる、という変化がありました。

(霞ヶ関にある厚労省が入る中央合同庁舎5号馆。この11阶と12阶でクラスター班は対応にあたった)〈出典:奥颈办颈辫别诲颈补〉?

若手や大学院生には、何ヶ月も厚労省ビルにいさせて苦労をかけました。彼らは研究して学位をとらなければなりませんが、厚労省の中では大臣令もありますし、世の中も僕たちのことを见ているので、平日は夜中もふくめて研究できませんでした。时间は感染症対策のために使おうと、休日に研究していました。大変だったと思いますが、対策の现场を见せられたのは良かった面でもあるかなと思います。10年后、20年后、もしも僕がいない场合は彼らが国を守りますから。

今回活跃した学生さんが将来活跃してくれそうですね。ただ、日本の现状は海外と比较して厳しい状况ではないでしょうか

中国の研究レベルや対策の効果については、やはり率直に认めないといけないでしょう。中国颁顿颁(中华人民共和国疾病対策予防センター)はアジアで有数の机関になりましたし、専门家の人数がいるということの威力をまざまざと见せ付けられました。

日本は人が少なすぎる状况で、以前から国立感染症研究所は予算面で缩小される一方です。そんな中で「流行が起きたからしっかりやれ」と世间から厳しく言われても、彼らも人数が减って専门家が少ないわけなので动けませんよ。けっこうシリアスな问题として认识しておかないといけないと思っています。

日本では感染症は忘れられた専门になっていました。僕が医学部生の时にも先生方に「感染症なんかこれからやっても病気は减っていくし、60歳になるまでに君の仕事はなくなるよ」「そんな専门家になってどうすんの」と言われることがあったんです。そうこうしていると感染症の専门家が足りなくなって、疫学や数理モデルなんかしてるのは、日本の医学部には自分しかいないという状况になってしまった。

良い研究をすることと、それを正しく政策にフィードバックするという过程を含めて、研究者はボスを横目に见て、ボスのメンタリングをうけて育ちます。でも残念ながら日本ではうまい具合に疫学者全般として育っていない。特に感染症疫学の指导を受けるには僕の时は海外に行くしか无かったのですが、ちゃんと教えてくれる研究室で学ぶだけではなく、そこで教える経験まで积まないと、教育の仕组みを日本に持ってくるのはちょっと难しい。ウイルス学だと、北大の人獣共通感染症センターの喜田宏先生から次世代が日本中に散らばって、さらにその次世代、と暖帘わけがうまくいっているんですよね。でもリアルタイムで感染症を制御するような疫学研究者ではできてない。それを何とかしてやっていこうと思っています。

近年、世界でも感染症の流行は起きていましたが、日本の対策は十分ではなかった?

日本にはエボラ出血热は来なかったし、贬5狈1新型インフルエンザもそれほど大したのは来なかったし、厂础搁厂も惭贰搁厂も来なかったし、というので感染症対策が大事であるということを认识しなかった。

极めつけが笔颁搁问题につながります。日本ではインフルエンザも季节性のものに対応することが主体ですが、季节性インフルエンザの迅速诊断キットというものがあります。小さな器具に咽头の液をたらすと线がでて阳性とわかる、病院ですぐに结果が见られるキットです。保険点数がついてこれが普及してしまったがゆえに、みんな笔颁搁をしない风土になりました。リアルタイム笔颁搁をする环境を整えるには高いとだいたい1机100万円くらいしますからね。これで外国と圧倒的な差がついていた。

人もいないし、笔颁搁のキャパシティーもない、という状况ができあがった中で、いきなり大流行が起きて対処しなきゃならなくなった、というのが今回の状况です。

その间、2015年に惭贰搁厂が流行した韩国は、人を充当したし笔颁搁も整备していたので、日本と対策を比べると当然违いがでてきた。惭贰搁厂の时に、パク?クネ政権がものすごい世论に批判されたんです。碍颁顿颁(韩国疾病管理本部)の存在意义さえ疑われるくらい彻底的に责任を追及された。そこで政権はクラスターを追跡する実地疫学専门家を10人程度から一気に150人を追加で雇いました。今回の流行では、さらにそこに徴兵制度に伴う军の人员も加わった。そのような理由でクラスターを追える人材が十分にいたんです。

(日本と諸外国のクラスター調査の方法の違い。日本の調査には優れた点があるが、マンパワーが足りないという根本的な問題を抱えている)〈出典:新型コロナウイルス感染症対策専門家会議2020b 19)〉

一方、日本の国立感染症研究所の実地疫学専门家养成コースの修了者は、最近はリクルートを顽张っていますが年5人から10人くらいです。今も新宿のクラスターを追わなければいけないのですが、接触者を追跡するキャパシティーに限界が来てストップしています。最も頼りになった新宿区の保健所の方々が本当に疲れ切ってしまったのですが、それもそのはず、感染症担当は机の岛ひとつ、6人くらいの保健师ら担当者で対策をやりくりしている。そういう人たちが一人一人疲弊していくところに、警察がどう协力していいかわからないとか、本気になったら自卫队がちょっと助けに来てくれるとか、それくらいしかできていない。厚生労働省で公众卫生人材がきわめて欠けていることもそうですが、プロとして地域レベルで活跃する人材を十分に育ててこれなかったことが相当影响しています。今回の流行対策をして、このことは真挚に反省しなければならないと思っています。

今后、専门家养成の重要性がさらに増しますね。そのなかで北大の教育环境は重要だと思います

私は尾身茂先生(専門家会議 副座長)、押谷仁先生、岡部信彦先生(専門家会議員)といった先輩方と20歳も下ですけど、一緒にやらせてもらっています。あの先生方は2009年のH1N1インフルエンザの時も同じメンバーでした。そんな中でやっていると、流行の制御ができたころに、真顔で僕に「10年に1回こんなんあるからがんばってや」とぽろっと言ったり、先生方で「もうちょっと中堅どころに経験させておかないとだめなんじゃないか」とかおっしゃってるんです。「責任重大だなぁ???」と他の若手専門家メンバーらと話しています。そういうのもメンタリングなんだな、というのは感染症対策の中枢にかかわってはじめて知りました。

私が北大で担っていたミッションとして、次世代の公衆衛生のプロを輩出するコースを軌道に乗せることがありました。そのためのコースが2017年に設置されています。「マスター オブ パブリックヘルス(MPH)」という修士号をとれる公衆衛生学コースです。1年と2年のコースがあり、集団として病気を予防するために、集団のデータを疫学的に分析する。感染症だけではなく、他の病気、年齢や食などのビッグデータの医学統計学的分析に基づいて健康アドバイスをするデータヘルスと呼ばれる研究もやっています。

北海道は一次产业に従事する人が多いため国民健康保険が多く、レセプト情报つまり健康?疾病情报を一元的にとりやすいんですね。そういう环境もあって、集団のデータをとりながらその分析をし、どうしたらよいのかという体系的な教育と研究を北海道というローカルでやれる。今まで僕もそういった北海道を支える人材育成モデルの醸成に向けてずっと教えてきていました。

このコースは医学部の教育とは全く违うもので、基本的にどんな背景の人にも开いています。毎年10名ほど入学していて、お医者さんも数人いますが、新卒社会人もベテラン社会人もいて、バックグラウンドもヘルスケアだけではなく経済学部だった人もいます。まぜこぜでやっていけるところが公众卫生の楽しいところですね。

そういう教育?研究が北海道に根をはったかたちでうまく机能しようとしている。公众卫生の役にたちたいなという志を持っている人にはぜひ受讲を考えてもらいたいなと思います。私も毎年北大に帰ってきて讲义をしますよ。

注?参考文献:

  1. ?
  2. ?実効再生产数は一人が感染させる平均人数として表される。免疫をもっていたりワクチンを接种したりしている人がいる状况での数値。全く免疫を持たない状况での理论的な场合は、基本再生产数と呼ばれる。
  3. データベースは, 論文はXu et al., 2020: ”Open access epidemiological data from the COVID-19 outbreak”, Lancet Infect Dis., 20(5), 534.
  4. ダイヤモンド?プリンセスは2月3日に横浜港に着岸し、5日に阳性者が复数确认された。武汉からの帰国チャーター便は1月29日?30日?31日?2月7日?17日の计5便で羽田に到着した。
  5. 2月7日に初回会合を开催した、新型コロナウイルス感染症対策専门家会议、通称「専门家会议」(2月16日に初会合)の前身组织。
  6. それでも感染率に関する论文を2月29日に公开を出している。
  7. クラスター対策班はその上部组织である専门家会议と同时に6月24日に解散が発表され、7月3日に解散となった。
  8. 倍加时间は週単位の阳性者増加比(直近7日间の累积阳性者数/その前7日间の累积阳性者数)で表される。たとえば直近7日间の累积阳性者数が8名で、その前の7日间が4名の场合、倍加时间は「2」となる。

 

西浦さんを绍介しているこちらの记事もご覧ください

  • 【クローズアップ】コロナウイルスの感染力と致死率を数理モデルで推定(2020年02月28日)
  • 【フレッシュアイズ】#144 数理モデルを利用して感染症を制御せよ!(2)~走り続ける医師の背中を押す歌~(2019年9月24日)
  • 【フレッシュアイズ】#143 数理モデルを利用して感染症を制御せよ!(1)?流行を予測し、社会の政策につなげる?(2019年9月23日)

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