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安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学

2012.4.10

著者:中谷内一也 著

出版社:20081000

刊行年月:2008年10月

定価:700円


 「安全である、と言われても、とても安心できない」―本书は、市民や消费者の気持ちを社会心理学の面から解き明かそうとしたものである。福岛第一原発事故以前の着作だが、むしろ今だからこそ読む必要のある本ではないだろうか。

本书のテーマは、「なぜ、安全がそのまま安心につながらないのか」を明らかにし、「安全と安心の関係はどうなっているのか」を探ることである。安全と安心をつなぐカギとなるのは「信頼」だ。

私たちは日常生活で、衣食住、交通、通信、エネルギー供给等、ほとんど全てを外部に依存して毎日を送っている。これらを担う公司や行政が信頼に足ると判断できた时に「安心」は生まれる。

では、「信頼」はどのように得られるのだろうか?

着者によると、『问题となることがらについての専门的知识や技术に长けていること、すなわち「能力がある」とみなされること』、そして『まじめに、一生悬命に问题に取り组むこと、すなわち、「高い动机づけをもつ」とみなされること』、この二点が必要と述べている。「安全」を提供するためのプロセスが见えて「信頼」が生じ、人びとはようやく「安心」に至るのだ。

さらにもう一点、人びとが望むリスク管理の方向性が、安全を提供する公司?行政等と一致していることが、信頼へ至る重要なポイントとして挙げられている。例えば、ある食品メーカーが安全な製品を提供するために保存料添加を强化する方策を立てたとしたら、私たちはその方向性に同调できるだろうか。そこにズレがあれば、「信頼」は生まれないのである。

原発事故后の今、私たちはどうしたら安心できるのだろう?

一度信頼を失った公司や行政は、どうやったら信頼を回復できるのか?

信頼の回復は難しい。ネガティブな評価の方が、肯定的な情報よりも信頼への影響力ははるかに大きいという。 しかし一方で、人はいったん誰かを信頼すれば、その信頼感を保つ傾向があるというのが救いだ。つまり、もともと信頼が低くても、肯定的な事実の積み重ねが人びとに伝わり、肯定的な評価が確立すれば、そこで信頼を獲得?回復することができる。

信頼回復への道はあるのだが、大きなリスクを国全体で抱えている现在、电力会社?行政が考えるリスク管理の方向性が见えないことも、私たちを「安心」から远ざけているように思われる。

同时に、「安心」をただ待つばかりではなく、私たちが、「不安」を感じるメカニズム―直感的に不快と判断し、ネガティブな感情が自动的に唤起されていること―を理解することも必要だ。リスクに振り回されて判断や行动を误らないように。その上で理性を発挥させれば、状况を客観的に判断して适正に行动することができる。

电力会社や行政は、リスク管理の方向性をわかりやすく示すことも重要だが、未知の胁威に不安を感じてしまう人びとの声を闻き、同じ人间として不安やおそれの感情を共有することが、信頼回復の第一歩となるだろう。それこそが、本书の「别々の立场に立つ人の间でいかに信頼を结ぶか」の実践となるのだ。

 

 

(2011年度颁辞厂罢贰笔选科生?小川容子)

2012.04.08