
著者:武田康男 著
出版社:20100800
刊行年月:2010年8月
定価:1600円
著者の武田康男さんは、気象予報士の資格をもつ高校教員で、地学を教えている。これまでに世界各地の「空」を観察し、撮影してきた人物だ。世界の空を見てきた著者にとって、南極は特別な場所である。なぜなら南極は、人間によって放出される汚染物質の主要な発生源から最も遠く離れており、「世界一美しい空」があるからだ。そういった極域の澄んだ空の色やオーロラなどの特有の現象に心を惹かれ、武田さんは南極地域観測越冬隊員として南極へ向かうこととなる。本書には、そんな南極での貴重な体験や現象が記録されている。今にも動き出しそうなオーロラや、南极の静けさを包み込むような空が赤く染まる朝焼けや夕焼け……。南極特有の現象に関するたくさんの写真と著者の科学的解説が南极の世界へと優しく誘ってくれる。
南极に行けるとしたら、どんな现象を见てみたいだろうか。南极で见られる现象として、まずオーロラが挙げられる。なぜオーロラは南极などの极域で多く见られるのだろうか。この本では、写真とともに解説が加えられており、さまざまな现象がどのようにして起きるのかについても知ることができる。南极でよく见られるオーロラは、「緑色をした、风でなびくカーテンのようなオーロラ」と武田さんは语る。その色は、空気中の酸素原子が発する色だ。空気中に含まれる原子や分子の种类、高度によるそれらの密度やエネルギーの违いによって、オーロラの色は変化する。着者は、より高いところで辉く青色や紫色をしたオーロラに注目して観察を行い、写真に収めている。薄明の空に筋状に光り辉く、透明感のある青や紫のオーロラはとても神秘的だ。
オーロラ以外にも、南极にはさまざまな现象がある。「グリーンフラッシュ(緑闪光)」という现象を知っているだろうか。これは、「太阳が地平线から出入りする瞬间、一瞬だけ见える緑色の闪光」のこと。日本では、さまざまな条件がそろわなければ见ることができず、见えてもほんの一瞬で终わってしまう。しかし、南极は太阳が斜めにゆっくりと沉むためグリーンフラッシュが长く起こり、见ることのできるチャンスが比较的多い场所である。武田さんは、このグリーンフラッシュという现象について、「科学と美の世界を结びつける、とてもおもしろい现象」と语る。この本の写真を眺めていると、「美しい现象が、いつどこでどのように见られるのかを予测するという科学的なアプローチに、人をわくわくさせ、梦中にさせる魅力がある」という着者の考えが伝わってくる。
この本はまさに、科学と美の世界が融合した一册である。数々の贵重な写真を眺めながら、その瞬间の感动を味わうことができると同时に、写真の示す美しい现象がいつどのようにして起きるのかを科学的に知ることができる。私たちも少し注意を向ければ、日常に隠れた美しい现象を见つけられるかもしれない。そんな惊きや感动を体験してほしいという着者の思いが詰まった、子どもも大人も楽しめる南极図鑑。ページをめくるたびに未知の南极に出会えるだろう。
竹田 真佑美(2010年度麻豆原创選科生、札幌市)