
著者:「植物の軸と情報」 特定領域研究班編 著
出版社:20070500
刊行年月:2007年5月
定価:1200円
senryaku.jpg 植物の生存戦略 「植物の軸と情報」 特定領域研究班編 朝日新聞出版 2007年5月刊 1200円
季节ごとに花を咲かせては散らせ、叶を落とす植物は「儚さ」を持つ一方で、したたかでしなやかな「强さ」を持っていることを、私たちは知っています。种から芽が出てすくすく育っていく植物の姿に、私たちはなぜか魅せられます。その「强さ」は、一体どんなしくみから生まれてくるのでしょうか。
本书ではそれぞれ独自の観点や手法で植物を研究している10人の科学者たちが、それぞれの研究を语ります。研究対象はみな违いますが、「植物のかたちがどのような遗伝子のはたらきで作られるのか」を明らかにするという目标は共通しています。また、彼らが自分の研究テーマといかに出会い、どんな困难に出会いながら研究を进めてきたのかも、兴味深いところです。研究者が惊きを持って発见を受け止め、好奇心と夸りをもって研究に取り组んでいる姿が、生き生きと浮かび上がってきます。
近年の遗伝子研究の进展は目覚しく、様々な分野で発见がなされていますが、植物の分野も例外ではありません。植物のかたち作りのしくみが遗伝子を足がかりにして解明されつつあり、しかもそれが惊くほど精緻で周到であることが、本书には记されています。そしてそのしくみこそが、植物の「强さ」を支えているということを実感できます。なぜなら、动けない植物にとってはかたちを作ることこそが、环境に适応して生きていく最大の手段であるからです。
さらに、これらのような遗伝子を足がかりにした研究には、解読した遗伝子の配列を他の生物と比べることができるというおもしろさもあります。同じはたらきをする遗伝子同士を比较すると、思いも寄らない生物同士が同じ遗伝子を持っていたり、逆に似ている生物同士が违う遗伝子に制御されていたりします。そういった情报を集めることは、それぞれの生物がどのような进化を経てきたのかを解明できる手がかりになります。植物の、かたちを确実に作るための复雑に组み合わされたしくみは、地球の长い歴史の中で生き延びてきた証なのです。
同じ地球で生き延びてきた仲间である私たち人间にも、「强さ」はあります。しかし植物の持つ「强さ」は、私たち人间とは违うしくみである事が、科学的に解明され始めました。种が落ちた所がどんな场所であろうと芽を出し,光のある方へ叶を広げる植物は、静かに置かれた环境を受け入れているだけのように见えて,実は「かたち作り」という武器を手に,必死で戦っていたのです。私たち人间は、自分とは违う植物の「强さ」に憧れ続けてきたのかもしれません。
本书を読んだ后、あなたの身近な植物をもう一度じっくり见てみて下さい。长い年月に培われたしくみによって、今かたち作られている、そしてこれからも作られ続けていくであろう植物の机能的な美しさに、きっと感动できます。
清水华子(2009年度颁辞厂罢贰笔选科生,滋贺県)