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iPS细胞 世纪の発见が医疗を変える

2010.7.1

著者:八代嘉美 著 著

出版社:20080700

刊行年月:2008年7月

定価:660円


高校生の頃、私がよく読んでいた萩尾望都さんのコミック「11人いる!」(1975年)は大好きな作品のひとつだ。宇宙大学の受験生が漂流宇宙船で最終テストに臨むのだが、10人一組のはずが11人いるところから物語は波乱の幕を開ける。その中の一人、ガンガが大怪我をして手術を受ける。緑赤色の血、身体の细胞も緑色! 実は、風土病で短命な種族であるため、子どものころにクロレラの培養を受けたサイボーグだった…。

 

 

具合の悪いところを新しい臓器に替える、そんな夢物語が実現に向けて着実に進んでいて、それを可能にするのがiPS细胞だという。一体どういうものかと思い、手にしたのが、新書で分かりやすいイラスト入りの本書である。生命の起源から研究の進展を辿りながらES细胞について解説し、無理なくiPS细胞を理解できるような構成になっている。 ES细胞のEは〈胚(embryo)〉、Sは〈幹细胞(stem cell)〉の頭文字。胚芽米を聞いたことがあるだろう。芽が出る部分〈胚〉を残した米のことである。動物では受精卵が细胞分裂し胎児(仔)になるまでのごく初期の〈胚〉から取り出して培養した细胞のことだ。この段階では、まだ何ものにでもなれる未分化な状態であるが、やがて、発生の過程が進むと特定の機能や特徴的な形の细胞に変化していく、このことを〈分化〉という。 〈幹细胞〉は细胞分裂によって自分自身を増やしながら、分化した细胞をつくっていく。私たちの身体は、イモリが尻尾を再生するような再生はできないものの、新陳代謝という再生を行い、髪の毛、爪、血液の中の细胞など常に新しい细胞が供給されている。その供給源として〈幹细胞〉は働いているのだ。 1981年にマウスES细胞が発見される。〈発生〉という現象に着目し、どうしてES细胞はさまざまな细胞になれるのか、〈分化〉した细胞はどのような仕組みで「先祖がえり」を妨げられているのか、つまりなぜ他の细胞になることができないのか?という研究が進められていた。もう必要がなくなった遺伝子にはカギをかけるというシステムが働いていることがわかった。

 

 

そして、1984年には体细胞クローンといわれる、あのクローン羊ドリーが誕生する。大人のヒツジの乳腺细胞にしかなれないはずの细胞が再び発生の過程をたどり、ドリーは生まれた。つまり、遺伝子のカギが外されたのだ。 さらに研究は進み、ES细胞が未分化な状態を維持しながら増殖するという性質は、ES细胞だけがもっているタンパク質の働きによって起こると考えられるようになった。ES细胞で働いている遺伝子が調べられ、多分化能と増殖能力は別のシステムによって起こる働きであることが確かめられたのだ。

 

 

そして、 2007年にはヒトiPS细胞ができた。iPS细胞は〈人工多能性幹细胞〉と呼ばれ、人間の大人の细胞を原料につくられた。私たちの身体を構成するいろいろな性質をもった、あらゆる種類の细胞になることができる细胞をつくることができたのだ。ES细胞は胚を壊してつくるものであり、生命の萌芽に対する倫理的な問題が障壁となっていた。そのためiPS细胞を用いた再生医療の実現化に向けて期待が高まる一方で、その問題についても触れられている。

 

 

実を言うと、私自身は学生時代に納豆菌の仲間を使って细胞の分化の現象を調べていたが、あれから20数年、生化学分野の研究を新聞などで目にする程度だった。本書は、最近の研究の歩みを、年を追って解説しているので分かりやすく、実験手法も示されているので興味深く読み進めることができた。 冒頭の「11人いる!」のガンガは言う。「まだ実験段階だが、オレが長生きして成功すれば他の人にも培養できる。もちろん最初は数が限られる。金がかかるからね。」誰もがiPS细胞の恩恵を享受できるようになってほしいものだ。

 

 

大藤升美(2009年度颁辞厂罢贰笔选科生、京都市)