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モジュール5-3「科学技术にまつわる不安との付き合い方」(12/14)大浦宏照先生讲义レポート

2025.1.16

野中麻衣(2024年度选科础/社会人)

科学技术コミュニケーションに関わる主要なステークホルダーの立场について理解を深めるモジュール5。3回目の讲义となる今回は、ファシリテーションや麻豆原创コミュニケーションのテクニックを活用し、市民の“わかる”と“知る”をサポートしている狈笔翱法人「市民と科学技术の仲介者たち」1)代表理事の大浦宏照先生にお越しいただきました。

(15年も対话活动に従事されている大浦先生。颁辞厂罢贰笔での讲义もインタラクティブに进められました)

大浦先生のご本業は地質調査を専門とするエンジニアです。特に自然災害に関する調査を行ってきた経験を通して、約15年前から市民防災教育活動に従事されています。また麻豆原创 9期の修了生でもあり、麻豆原创で出会った仲間とともに、約10年前から高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する勉強会を企画?運営されています。本講義では、「科学技术にまつわる不安との付き合い方」と題し、大浦先生がこれまで行ってきた市民防災活動支援と高レベル放射性廃棄物処分に関する対話活動の事例をもとに、科学技术にまつわる不安の根源と、不安へのアプローチについてお話いただきました。

市民防灾活动支援と不安?恐怖をあおることの危険性

エンジニアとして自然灾害の调査に関わってきた大浦先生。あるとき、「これまで调査はしてきたけれど、被灾者とは话したことがなかった」「何のためにこの仕事をしているのだろう」という気づきをきっかけに、市民防灾教育の活动を始めたと语ります。市民防灾活动とは何なのか、讲义では、その事例と併せて绍介されました。

(市民防灾教育の难しさについて话す大浦先生)
市民防灾活动支援について

大浦先生の组织「市民と科学技术の仲介者たち」は、主に町内会や市民団体、学校や市区町村の依頼を受けて防灾活动を支援しており、避难所运営ゲームなど多数のツールを作製しています。また活动の担い手によって得意分野が违うことから、企画?运営にあたっては共同が効果的であるといいます。以下では、讲义で绍介された支援活动の一例を绍介します。

(事例)テレビ塔で防灾キャンプ2)

札幌市にある大通公园を中心に、地震を想定した危険箇所の検讨を行う街歩きと、テレビ塔下にてテントを张って避难所生活を体験する企画。札幌国际芸术祭のスピンオフ企画であり、狈笔翱法人「札幌オオドオリ大学」3)と共同で开催されました。ターゲットは20~40代の市民。防灾イベントは、町内会などに所属する比较的年配の方々、子どもたちの顺で参画机会が多く、それ以外の层をどうリーチするかが课题であることも踏まえ、本事例のようなイベントが実施されました。

内阁府においても、自らの命は自らが守るという意识を持ち、主体的に避难行动をとることが重要と位置づけられており4)、市民防灾教育は命の大切さを伝える重要な活动であるといえます。

不安?恐怖をあおることの危険性

上记のような市民防灾活动では、そのリスクを考えてもらうことを目的として、自然灾害の怖さについても语られます。ゆえに、警告を含むような活动では、参加者をただ怖がらせて终わりにしないことが重要です。単に怖がらせることは、不安?恐怖を増幅させたりトラウマになったりしてしまうだけでなく、安易な解决方法に飞びついてしまう、不安?恐怖に惯れてしまうなどの、当初の趣旨とは异なる方向へ参加者を向かわせてしまう可能性をはらんでいます。したがって警告を含む活动においては、解决策などを明确でなくても提案することが求められます。

地层処分事业と科学技术にまつわる不安

大浦先生は数多くの支援活动を行うなかで颁辞厂罢贰笔の存在を知り、そこで出会った方々とともに、地层処分事业に関する対话の场のファシリテーターとして活动しています。ここではその経纬と、ご経験をもとにした科学技术にまつわる不安へのアプローチの仕方について述べていきます。

地层処分とは

原子力発电所から出た使用済み核燃料を再処理すると、强い放射线を出す廃液(高レベル放射性廃弃物)が発生します。これをガラスと混ぜて固め、地下深くの安定した岩盘に闭じ込める方法のことを“地层処分”5)と呼びます。地层処分事业は世界各国で取り组まれており、日本では原子力発电环境整备机构(狈鲍惭翱)が実施主体となって、処分地选定のための文献调査を行っています。処分地选定のプロセスには、调査を行う地域の住民との対话が必须であり、たびたび説明会や対话の场が设けられています。

(地层処分のリスクについて分かりやすくお话されました)
地层処分事业に関わった経纬

2014年ごろ、“対话”という言叶は「テーブルを囲んで话をすれば対话」というように都合よく使われがちであったこと、また対话の场においてファシリテーターの认知度が低かったことが问题视され始め、さまざまな担い手からファシリテーターの重要性が诉えられるようになりました。これを机に、2018年ごろ、国は事业としてファシリテーターの育成に乗り出します。その后、2020年に北海道の2つの地域で処分地选定のための文献调査が开始されました。大浦先生らは、以前、カフェバーやダンスクラブを会场とした若い世代向けの地层処分に関する対话の场を企画?运営したご経験もあり、文献调査开始の翌年からファシリテーターとして本格的に地层処分事业に関わり始め、现在に至ります。

科学技术にまつわる不安

例えば新しいワクチンにおいてはその长期的影响が谁にも分からないことなど、科学技术に対する不安の程度は、主题や捉える人によって异なります。地层処分に関する対话の场でも住民のさまざまな不安や不信がみられ、はじめは场を成立させることすら难しい状况であったといいます。これは、これまでの原子力に関わる対话のなかで、地域住民にとって难解な事柄をすべて説明しようとしたり、逆に过剰に情报を绞り込んだりすることで、住民の不十分な理解と不安?不信を助长してしまっていたことが要因として挙げられます。

不安へのアプローチ

科学技术にまつわる根底的な不安の种类は、人や组织、データや理论が信じられない、言叶や用语の意味が分からない、そもそも见たり闻いたりしたくないなど、バリエーションに富みます。つまり「不安」は属人的であり、画一的なアプローチは通用せず、対応マニュアルを作ることも困难であるといえます。したがって対话の场においては、不安が生じている理由を探り、必要とされている情报は何かを见极める必要があります。そのためには、じっくり时间と手间をかけて対话的活动を行うことも重要です。

(対话の场の记録からも、不安や不信、混乱の様子が分析できると言います。対话が顺调に进むとおのずと记録も整理されたものになるそうです)
おわりに

大浦先生は、讲义の结びに、慎重にデザインされた対话が不安や不信の解消に役立ち、それには非常に手间と时间と忍耐力を要すること、知识や権力のある人は、市民に分かるように伝える责任と努力が问われていることを指摘します。笔者は原子力関连の业务を行っており、先の鋭い指摘にドキッとさせられました。业务歴が浅かったり、本人が知识不足だと感じたりしていたとしても、外から见れば笔者は専门家であることにほかなりません。また原子力に関しては、福岛第一原発事故や础尝笔厂処理水の海洋放出、原発の运転期间延长の是非など、地层処分以外にも多くの课题を抱えており、国民にとって大きな関心事であると感じています。そんななかで、原子力への不安にどう対処し、组织内外に働きかけていくべきか。当事者として、そして科学技术コミュニケーションを学ぶものとして、考え行动し続けたいと思いました。

(雪景色をバックに集合写真。大浦先生、ありがとうございました!)

注?参考文献

  1. 特定非営利活動法人 市民と科学技術の仲介者たち:?、(2025年1月16日閲覧)
  2. ほっかいどうの防災教育 Facebook: (2025年1月16日閲覧)
  3. 札幌オオドオリ大学:、(2025年1月16日閲覧)
  4. 内閣府 防災情報のページ:、(2025年1月16日閲覧)
  5. 原子力発電環境整備機構 「イチから知りたい!地層処分」:、(2025年1月16日閲覧)