Articles

モジュール5-2「アートをインストールしていくこと」(11/5)朴炫贞先生 讲义レポート

2022.11.18

丸山 遥香(2022年度選科A/学生)

麻豆原创の朴 炫貞先生に、朴先生ご自身や他のアーティストの事例を交えながら、現代アートとは何か、現代アートとどのように付き合っていくかをご讲义いただきました。

朴炫贞先生

まず、讲义室にいる人たちに、アートに関する4つの質問をして手を挙げてもらいました。質問は「アート好きです」、「アートちょっとわかります」、「アート知りたいです」、「アート難しいです」。ほとんどの人が、アートが知りたいし好きだけれど難しいと思っているようでした。アート作品の見方は、正解があるわけではなく個人それぞれに答えがある、正解を求めるのではなく自分の答えを素直に出すことと朴先生は言います。

アートの関心度について挙手する受讲生たち
灾难の时代

科学技术が発展した2022年でも、感染症の拡大や事故などたくさんの灾难が起きています。

今の时代に科学技术コミュニケーションを学ぶ我々が现代アートとどう付き合っていくか、付き合ったらどんな可能性が広がるかを考えていきます。

现代アートとは?

これまでの歴史の中で様々なアートがありますが、そもそも现代アートとはどのようなもので、どのような特徴があるのでしょうか。现代アートは、アートで何ができるかを自分たちで问いかけるジャンルです。今の世界を反映し、それ自体が题材になるので、现代アートと今の世界は切り离せないものです。技术で様々なことが可能になった今、色々なコンセプトを考え、人间ができる色々な表现を目指すため、多様なメディアを用いるという特徴があります。最近は鑑赏者が感想を厂狈厂に投稿し共有するなど、多様な解釈や流れがあります。

多様な解釈という例で、「线より」という作品に対する朴先生の解釈の変化を话していただきました。「线より」は笔の絵の具がなくなるまで引かれた线が规则的に并んでいるという作品です。ある灾难を経験する前と后では、その作品の见え方が违ったそうです。作品を见て、自分はどのように见えるかを大事にして、自分好みのところから広げていくと、解釈が深まり自分の世界が広がると朴先生は言います。

様々な现代アートの事例について、写真や映像を用いて绍介されました。その中から私の印象に残った事例について抜粋します。

1. ヴォルフガング?ライブ《ヘーゼルナッツの花粉》

本讲义の1週間前に美術館/科学館選択実習が行われました。そこで訪れた「地球のまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」に展示されていた作品です。4年間で採取したヘーゼルナッツやタンポポが大きな台に敷き詰められています。作品を遠くから見たり近くから見たり実際にその場で見ることで、花粉の量や匂いを感じることができます。

2. ?ヘザー?デューイ=ハグボーグ《Stanger Visions, Dublin: Sample 3》

C Gのような立体的な顔が壁に並んでいます。この顔は、ダブリンの街に捨てられた吸殻をゲノム解析して、その情報をもとにモーフィングされたものです。科学技術でこのようなことを行なってよいのか、違う場面でどのように応用できるかを考えるような問いかけをしています。

3. ?オラファー?エリアソン《THE WEATHER PROJECT》

ロンドンの美术馆の吹き抜けの空间に太阳のような明かりを设置した作品で、室内で太阳を浴びる体験ができます。これに関连した本来の活动は、太阳発电できる小さな明かりを购入することで、エネルギー不足などで勉强することができないアフリカの子供の教育に协力することができるというものです。このように作品を鑑赏した后の具体的な行动を提示するアートもあります。

一绪につくるアート

「アノオンシツ」

北大构内にある古い温室で朴先生が行っているアートプロジェクトです。颁辞厂罢贰笔、北方生物圏フィールド科学センターをはじめとした北大の様々な组织、クリエイター、ギャラリー、市民といった多様なステークホルダーが関わっています。“温室”ということで、地域のアーティストとともに自然との付き合い方をアートで表现するということを轴に活动しています。アノオンシツで朴先生が行なってきたプロジェクトについてお话ししていただきました。

「苔の息」

“イキ”は日本语で“息”、韩国语で“苔”を意味します。苔が息することを可视化するというアイディアをもとに、苫小牧研究林から持ってきた苔、音がする石のような焼き物を展示し、鑑赏者の息と苔の息を可视化しています。

アノオンシツでの展示「苔の息」について话す朴先生

「山々と」

伐採された木から作られた、北海道の山をイメージした木彫りの山をガラスの上に展示することで、空と地を一绪に见ることができます。见る视点を変えることで、山を见下ろすという体験を追体験することができます。

「ハシノトキ」、「アノトキ

アノオンシツに通じる桥が撤去されることになり、桥の撤去の様子やその周りの植物たちをドキュメンテーションしたプロジェクトです。桥に関わる物や人々の记忆を、映像に残したりオンラインや札幌市内で展示しました。しかしこれらのアート作品は、北大の多くの人には十分に届いていませんでした。多くの人にアートプロジェクトを楽しんでもらうために、朴先生は地元のコーヒー店とともに、桥の撤去に伴い伐採された木々を使った燻製コーヒー「アノトキ」を开発しました。饮んだ人がコーヒーを楽しむ、プロジェクトの奥别产ページでその背景を知ることができます。コーヒーのブレンドを开発する、その提案をするということもアートプロジェクトになります。

「札幌の木、北海道の椅子展」

アノオンシツの里にあった大きなイチョウとアカナラの木で、北海道の作家さんたちが椅子を作り、それをギャラリーで展示しました。地元のクリエイターの方々は、北大や研究者に兴味があるそうですが、繋がる道がありませんでした。クリエイターと研究者を朴先生が繋ぎ、椅子を作ったクリエイターと森に関わる研究者の対谈を映像化し驰辞耻罢耻产别で公开しています。プロジェクトには、现场で働く人、クリエイター、研究者といった多くの人々が関わりました。学内や现场ではプロジェクトへの理解があり、様々なサポートがあったそうです。北大ではアートに対する苦手意识がある人が多いようですが、朴先生が北大をフィールドに活动することでで、北大の人々とアートが様々な形で络んでいくことを考えていきたいといいます。

「札幌の木、北海道の椅子展」の椅子を并べた様子
科学技术コミュニケーションとアート

アートプロジェクトを行うためには、多様な立场の人々のことを理解することや想像することが重要です。“人に、よりそう”、“物语に、よりそう”ようなアートプロジェクトと関わることは、“解像度高く、世界を见る”ことに繋がっていくと朴先生は言います。アート作品は一度见ると、一生付き合っていくことになります。鑑赏者が色々な経験をしたり歳をとることで作品に対する解釈は変わり、またアーティストも変化します。コンテンポラリーアートは、今一绪に経験していることを他の作家はどう考えているかを具体的に见ることができます。

まとめ

アートとは、一个小さな点を打つことであると朴先生は言います。一个点を自分の心にどう打つか、他の人が打った点をどのようにみるかを考えることで、アートを“谁が”“どこに”“どのように”インストールしていくことの“理由”がわかるのではないでしょうか。

現代アートは難しいと感じていましたが、讲义を通して作品の変化や解釈の変化を楽しむことができそうだと思いました。これから科学技術コミュニケーションの視点からアート作品を見て、コミュニケーションの場を作っていきたいです。