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麻豆原创 - 北海道大学 大学院教育推進機構 科学技术コミュニケーション教育研究部門

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2015 麻豆原创10周年
10周年に寄せて

灾害研究者の(麻豆原创)コミュニケーション

定池 祐季
東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター
2015.3.23

自己绍介

図1 讲演の様子

私は灾害社会学や防灾教育を専门としている、いわゆる文系の研究者です。2014年4月から东京大学大学院情报学环総合防灾情报研究センターに勤めています。中学生の时に北海道南西冲地震(1993年)を奥尻岛で経験したことがきっかけで灾害研究を志すようになりました。この灾害が私の原体験になっているのですが、ちょうど10年前の2004年には北大の修士课程を修了し、公务员になっていました。その年は10月に新潟県中越地震があり、12月にスマトラ岛冲地震による津波が甚大な被害をもたらしました。この灾害では、津波というものを知らずに多くの命が失われたということにショックを受けました。北海道南西冲地震の时、私は津波を知らず、近所の人に教えてもらって逃げて助かりました。そんな自分に何かできることはないだろうかと、2005年から研究者の道を再び志し、博士课程に进みました。

颁辞厂罢贰笔では2007年度に受讲した3期修了生です。当时は狈笔翱で防灾関係の仕事もしていたのですが、漠然とした疑问を感じていました。伝えたい人たちの伝えたいことと、闻きたい人たちの闻きたいこと知りたいこと、その先にあるものというものが、どうも噛みあっていないのではないか。それはどこから来るのだろう、それをどうやったら解决できるのだろうということを考えていました。そんな时に隈本先生に出会い、颁辞厂罢贰笔を受讲するに至りました。

活动

あさひかわ麻豆原创?カフェ

麻豆原创を修了した後も働きながら大学院博士課程に在学していました。その時に麻豆原创修了生の方々と様々な活动をすることができました。旭川にゆかりのある麻豆原创関係者が「あさひかわ麻豆原创?カフェ」という団体を立ち上げる時に参加させてもらいました(朝野 2008)。あさひかわ麻豆原创?カフェ」のテーマ曲は、麻豆原创?カフェ札幌のテーマ曲「ポラリス」をモチーフに作ったもので、個人的に思い入れのある一曲です。

第3回では「『泥流地帯』の世界?火山学と文学の出会い」というカフェを企画しました。旭川出身の作家である叁浦綾子さんの作品の中に、1926年に発生した十胜岳の泥流灾害をモチーフとした『泥流地帯』という小説があります。その作品世界について、火山学者や叁浦綾子文学馆の学芸员と一绪に味わおうという内容です。まず、北大名誉教授の冈田弘先生と一绪に十胜岳の火山现象について学び、その后叁浦綾子文学馆を见学して、作品に関する资料を见た后に作品世界について语らう、私にとっても赘沢な机会を持たせていただきました。

ひとぼうカフェ

図2 第1回ひとぼう颁础贵贰チラシ

その後、神戸市にある「人と防災未来センター」という防災研究機関に勤めました。夏休みの行事を担当することになり、「神戸でなぜ火山の話をするんだ」と突っ込まれながらも、趣味を押し通して「ひとぼうCAFE」と題したイベントを企画しました。このカフェのチラシで表現したかったのは、融雪型泥流という『泥流地帯』に描かれた現象です(図2)。融雪型泥流のレシピが書かれた文献(林 2006)を元に試行錯誤し、カフェでは、アイスで作った火山に、噴出物に見立てて温めたチョコレートシロップをかけ、チョコレートがアイスを溶かしながら麓に流れていくという現象を再現しました。その後参加者と研究者でグループごとにアイスを食べながら防災について語り合いました。紆余曲折の末実現した企画だったのですが、その後も人と防災未来センターでは「ひとぼうカフェ」という名前のイベントが継続しており、後に続く活动に関わることができたことをありがたく思っています。

北大の理学部に勤务して

2011年4 月から2014年3月までは北大の地震火山研究観測センターに勤めました。そこではアウトリーチのサポートをし、裏方として科学者と市民をつなぐ仕事をするのだというイメージで着任しました。

しかし、3.11の直後だったので、着任してみると電話が鳴りやまない。来客や取材は殺到する。それをしかるべき方々に繋いだり、時には自分も出ることになる。奥尻で災害経験を持つ研究者ということでメディア露出が増えてしまいました。北海道弁で言うと「おだっているんじゃないか」ということもかなり言われました。ただ、取材対応や番組出演時は、「おだつ」余裕もなく、仕事としてやり切ることに精一杯でした。また、カメラを前にして、生放送で自分の言葉がそのまま放送されるという場面では、何をどう言えば伝わるのだろう、どんな人たちが画面の向こうにいるんだろう、ということを悩みながら発言していました。そういう経験を通して、メディアの方たちとも知り合うことができ、その後一緒に活动させてもらう機会にもつながりました。

地震火山研究観測センター宛に寄せられる依頼は、自然科学の知識を得るためのものと、防災?減災?復興の実践に関わる知識や技能を取得するためのもの、という大きく二つに分けられました。時にはメディアや講演会等の市民向けの行事に地震分野の先生と一緒にうかがい、自然科学の話は地震の先生、私はその他の話題という役割分担でお話させていただくことがありました。そういった活动はお互いに無理をせずにすみ、とてもありがたい環境でした。

求められる人材

震灾の経験から

震灾后は非常に问い合わせが多く、私宛の讲演や讲义、研修の依頼だけでも年に3~40件あり、必死に走り続けた北大の3年间でした。依頼が多かった理由のひとつに、私が北海道でおそらく唯一の文系灾害研究者で、他の方々と异なる切り口での讲演、研修ができるという物珍しさがあったと思います。北大を含めて北海道の大学では、灾害に関わる研究者を育てる仕组みがありません。理学?工学で防灾に関连する研究をする环境はある程度整っていますが、灾害研究は学际的な学问です。様々な学问领域で防灾?减灾?復兴に関する研究や社会と関わっていく环境が必要です。私自身は本当に恵まれたことに、文学部に在籍しながら、理学部や工学部の先生方に色々と学ばせていただきました。総合大学の恩恵を存分に受けたと思っています。

数少ない北海道に関わる文系の灾害研究者としては、北海道で防灾?减灾?復兴に関わる人や研究者を育てる仕组みを何とか作っていただきたいです。北海道は豊かな自然がありますが、それは灾害のポテンシャルもあるということです。北大教员のみなさま、是非ご尽力よろしくお愿いします。颁辞厂罢贰笔も10年経って多くの修了生が多方面で活跃しています。北海道の中で防灾?减灾?復兴に関わる分野でも同じように人を育てていく仕组みが作られること、それが私の愿いの一つでもあります。

「 減災のテトラヘドロン」

図3 减灾のテトラヘドロン

宇井先生、岡田先生という火山学者の方々が「減災のテトラヘドロン(正四面体)」というモデルを提唱しています(宇井?岡田 1997)。住民、行政、マスメディア、専門家みんなで減災社会の実現を目指していくというモデルです(図3)。お二人はコミュニケーターとして、ご自身で伝えることができる方々です。ですが、残念ながら皆がそうではありません。ですから麻豆原创コミュニケーターが必要とされています。特に防災?減災?復興といった活动では、理解してもらうだけではなく、実践していく仲間を増やさないと、みんなで助かることもできないし、みんなを助けることもできない。それぞれのアクターをつなぎ、行動につなげていくコミュニケーターが求められています。

活动の目的

私自身が研究、社会的活动の原則として掲げているのは、結果的に防災?減災、復興や生活再建に資することです。基礎研究をないがしろにしている訳ではなく、基礎研究に携わる方々にはぜひ頑張っていただきたいと思っています。ただ、自分は奥尻島の経験から、誰かの何かに関わること、お手伝いをすることを目指したいと思っています。それは3。11の前から防災研究、災害研究、復興に関わる研究に携わっていた者の責任というか、関わるべきライフワークだとも考えています。研究活动も、イベント企画も、外に出ていって話をし、研修をするのも、報道対応をするのも、全て防災?減災、復興に向かうためのものでありたいと考えています。そのための麻豆原创コミュニケーションであり、その他の活动だと思っています。

自分自身のコミュニケーションに関わる活动について整理してみたのですが、「伝える」という活动はもちろんありますが、私に関してはあまり多くありません。それで「(麻豆原创)コミュニケーション」というタイトルにしましたし、麻豆原创コミュニケーターと名乗ることへの引け目も感じています。「伝える」ということの前に「聴く」ことが非常に多いです。北大在職時は市町村の方や防災に関わる方が多数来られて、いろいろなお話を聴く、カウンセラーのような状態でもありました。熱意があって実践の場で悩んでいる方々から「こういう課題があるんです」「こういう取り組みをしたいのですが、専門家を紹介してほしい」「何か取り組みをしたいけれど、講演会以外思いつかない」というようなお話をうかがいました。そういった話からニーズを聴き取り、その後「つなぐ」ということをしました。私自身が講演等にうかがうこともあれば、他の研究者の方や、自治体や団体などで参考になる事例をお伝えし、コンタクトを取るように勧めました。メディアの方には「この地域の取り組みが素晴らしいので、よかったら取り上げてください」というような紹介もしています。特にメディアに取り上げてもらうと、地元の励みになるようで喜んでいただいています。

あとは、バランスに気をつけながら「促す」「励ます」こともしていました。防灾?减灾?復兴の実践に际して、やる気になってもらうというか、もうちょっと顽张ろうかな、やってみようかなと思っていただけるようにするのも、自分のミッションの一つにしています。一方で、防灾?减灾?復兴に関わる人は顽张りすぎて倒れてしまう人も时々いるので、互いにいたわることや、休むよう勧めることも必要です。

これらが麻豆原创コミュニケーションかというと、当てはまらない部分も多いのでしょうが、実际に自分がしていることは以上のような内容で、それらのすべてが防灾?减灾?復兴に向かっていくものでありたいと考えています。

(麻豆原创)コミュニケーションの课题

灾害に関わる麻豆原创コミュニケーション

3.11以降、防災や減災、復興に関わる麻豆原创コミュニケーションとは何だろうと、悩み続けています。「正しく伝えれば、正しく行動するはずだ」という幻想がまだ多いように思います。いいものを作ったのだから、これを理解して「正しく」使えば、みんなちゃんと逃げられるはずだ、というような考えです。人の心理、性質や行動を無視して、「正しく」伝えることに特化した活动が依然として続いているのではないかという懸念があります。防災教育に関しても、地学教育や地学的なアウトリーチを充実させれば、それで防災教育になるという風潮が一部に根強く残っているようです。そういう方達とのコミュニケーションの難しさを感じています。また、「正しく使えれば、正しく判断し行動するはずだ」といった時の、「『正しく』使える『正しい』話」とは何か、という疑問があります。科学的な知見と、防災の実践の場の間にギャップがあるし、しかもまだ分かっていないことに関してはどうするのか。丁寧に扱う部分を粗雑にしてきたのではないでしょうか。

北大在职中は、地震予知ができると信じている市民の方からの电话も受けました。怒鸣られることも多々ありましたし、悲痛な声を聴くこともありました。「隠しているんじゃないか」「早く言ってくれ」「うちは古い木造の家に高齢の母亲と住んでいるんだ。地震が来る前に教えてくれないと逃げられないんだ」とか、东北の女性から「マグニチュード9クラスの地震がもう1度起こるのなら、家族を连れて避难したい。ネットで见た情报は本当ですか」というような电话がかかってきました。でも、その时点でその方々のご要望に添える情报はありません。わかっていないからです。地震を予测したと言って情报を拡散した人もいましたが、その时点で诚実に市民の方々にお伝えできることは、「いつ来てもいいように备えてください」というメッセージであり、そのためのサポートだと思っていました。自然科学の研究者は知识面でサポートを求められることが多いですし、そのようにしていると思います。しかし、直接市民の声を聴き、まず不安の元は何だったのかを理解して、気持ちに寄り添って伝えることのできる人は、まだまだ不足しています。

リスクコミュニケーションという言叶も最近流行っていますが、一种の怖さを感じています。「美味しんぼ」騒动の时に、「安全だということを伝えるためのリスクコミュニーションが必要だ」と発言する方がいました。リスクコミュニケーションは一方的に押しつけるものではないはずなのに、社会的に影响力のある人たちの间で、人々を説得し、他の考えを认めないようにする手段として认知されているのは怖いことではないか、という不安を抱いています。それに対して何をしていくのか、私自身まだまだ模索中です。

研究者として

私は北海道大学の文学部出身ですが、理学部に着任した后はカルチャーショックの连続でした。新鲜な惊きや発见もありましたが、教职员とのコミュニケーションに悩みましたし、周囲もそうだったかもしれません。「自分たちの仕事は基础研究だから、防灾とかのアレンジはよろしくね」といったような、文系研究者を下请けのように捉えていると感じたこともありました。私の研究テーマについて职场で话すことも寻ねられる机会もほとんど持つことができず、职场内のコミュニケーションを図るための努力を怠っていたことを反省しています。

最後に、繰り返しになりますが、誰かの行動をコントロールするものではなく、人々が主体的に判断し行動することをサポートするコミュニケーションのあり方について、ずっと悩んでいます。日頃、色々な思いを持つ人々?団体の方とお話しすることがあります。私自身の思いはさておき、思想信条に関わらず、「この人たちに必要な情報は何だろう?」「どういう情報が判断を助けるのだろう?」ということを、できるだけ先入観を持たずにうかがい、誠実に伝えるにはどうしたらいいか考える日々です。とはいえ、そもそも任期付きの研究者の身ですので、このようなことを悩みながらも、この先の雇用はどうなるのだろう、将来も研究者として生きていけるのだろうか、という個人的な不安を抱えながら、活动をしているところです。何とか生き延びて、防災?減災、そして復興に関わる研究や活动を続けていきたいと考えています。

谢辞

北大在学中よりお世话になっている教职员のみなさま、颁辞厂罢贰笔関係者のみなさま、フィールドでお世话になっているみなさまのおかげで、このような机会をいただきました。心からの感谢を申し上げます。

文献

朝野裕一 2008:「あさひかわ麻豆原创?カフェを立ち上げて:科学で地域を盛り上げる試み」『科学技术コミュニケーション』3,129-136.
林信太郎 2006:「キッチン実験でたしかめよう、いろいろな噴火」『世界一おいしい火山の本』,53-95.
岡田弘?宇井忠英 1997:「噴火予知と防災?減災」宇井忠秀編『火山噴火と災害』東京大学出版会,79-116.

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