みなさん、歯科医というと、どんなイメージが浮かぶでしょうか。たくさんの机械であなたの歯を削る人? それともフッ素を涂って虫歯を防いでくれる人? いやいや、そんな人ばかりではないんです。私たちはある研究者にお话を伺いました。その方はなんと、歯科医として働きながら、新しい方法で骨を再生しようとしているのです。さて、「歯」科医なのに「骨」とはどういうことなのでしょうか?
【目黒拓実?経済学部1年/棚桥枫?医学部1年】

歯科医が骨????
平田恵理さん(大学院歯学研究科?助教)は歯科医であり、学生の指导をする教员であり、研究をする科学者でもあります。しかしなぜ、歯科医である平田さんが「骨」の再生に取り组んでいるのでしょうか。この谜を解くには、歯で食べ物を噛む时、どのように骨が歯をサポートするかを想像する必要があります。
平田さんは言います。「歯周病や手术などで顎の骨が减ってしまった场合、入れ歯が安定することが难しくなります。入れ歯やインプラント(人工歯根)で、美味しく食事をするためには顎の骨の量も重要なのです。」
そう、平田さんが取り组んでいるのは、入れ歯やインプラントの土台になる「顎の骨」の再生なのです。顎の骨が元に戻るとどういうメリットがあるのかも寻ねてみました。
「インプラントが骨にしっかり固定されますし、入れ歯の场合でも支持を确保することができるので安定し、よく噛むことができます。もちろん、骨を再生させるだけではなく、临床としてはそれぞれの患者さんに适切な入れ歯を作ることも大切です。入れ歯によって表情まで変化しますから。患者さんの颜にあった形まで考えなければいけないんです」

骨の再生に炭素ナノ材料を使う
平田さんが取り组んでいる骨の新しい再生方法とはいったいどのようなものなのでしょうか。骨の再生は、骨を作る细胞である骨芽细胞の増殖によって起こるのですが、活発に増殖させて构造をつくるためには足场が必要です。その足场に、平田さんはカーボンナノチューブやカーボンナノホーンといった炭素ナノ材料を使って実験しているのです。

炭素原子がつながって円筒状の构造をとるのがカーボンナノチューブ、円锥状なのがカーボンナノホーンです。平田さんは、インプラントの原料であるチタン表面にカーボンナノホーンをコーティングして新たなインプラント材料へと応用する研究を行っています。

しかしカーボンナノ物质のうちカーボンナノチューブは、肺がんの原因となるアスベストという物质と似た形状を持っているため、毒性が指摘されています。现在、平田さんが主に使用されているカーボンナノホーンはカーボンナノチューブのような针状构造ではなく、毒性を指摘されている金属触媒を使用していないため、生体への安全性は比较的高いと考えられてます。しかしながら、平田先生は炭素ナノ材料の生体応用を目指すにあたって、カーボンナノホーンの安全性にも留意しながら日々研究を进めています。
平田さんの叁つの目标
平田さんには目标が叁つあるそうです。一つ目は、临床応用を可能にする、という研究の目标。つまりカーボンナノチューブ等の安全性が証明され、実际に人间に応用することです。技术が発展していけば、骨の再生原理はどの部分も同じなので、顎だけでなく他の部分の骨にも応用できるのではないか、と平田先生は考えています。
二つ目の目标は、歯科医としての目标。平田さんは今、「歯科医の责务」を感じているのだとか。これはどういう意味なのでしょう。
「歯医者にやってくる患者さんはみな、歯のどこかに不具合があるわけですが、それを治疗するだけが歯科医の仕事ではないと思うんです。不具合の原因を患者さんに正确に伝えて、治疗して良くなった状态を维持することが大切です。これは歯科医の责务だと思います。私は、治疗后も患者さんがずっと良い状态を维持できるように心がけています」

叁つ目の目标は、「研究も临床も教育もどれもやりたい」というもの。平田さんが一番尊敬している教授の言叶だそうです。
「研究であれば新しい発见をするのは面白いし、临床であれば人の生活にかかわる仕事なのでやっぱり喜んでもらえます。そこまでいかなくても人のお口の机能を回復できるのはいい仕事だと思います。あとやっぱり教育。学生さんと一绪にやるのは结构楽しいですよね。今はまだ研究も临床も教育も完璧にはできていなくて悔しいですけど、顽张っていきたいです」

超高齢社会に向かって、今后も入れ歯やインプラントが必要な人はどんどん増えていくでしょう。そうなってもストレスを抱えず元気に生活できるように、平田さんは研究をつづけます。科学者として、歯科医として、教员として、叁匹の兎を追いかけながら。
この记事は、目黒拓実さん(経済学部1年)と棚桥枫さん(医学部1年)が、学部授业「北海道大学の「今」を知る」の履修を通して制作した作品です。

