前半では、加藤英介さん(農学研究院 准教授)の苦味研究について見てきました。苦味は口だけで感じるという認識は実は少し違っていましたね。後半では、加藤さんがこれまでどのような道を歩んで今に至ったのかを聞いていきます。また、苦味と糖尿病、肥満との関係についても探っていきます。この記事を読み終わったころには、苦味を違う視点から捉えられているでしょう。

【安藤正太?総合理系1年/樱井明澄美?経済学部1年/瀧田枫?総合理系1年】
高校生の时にはどういった将来?キャリアを考えていましたか?
高校の时には正直何も考えていませんでした。ただ化学や物理が好きで、特に化学が好きだったので、理工学部の化学科を志望しました。なので、その时点では将来何がやりたいとか特に考えてなくて、もう単纯に化学が好きだから、そこに行こうと考えていました。と言うと、多分総合理系とかで入った学生さんには怒られるかな(笑)

影响を受けたのは大学生时代の先生だそうですね
そうですね。僕が今やっている研究は食品化学なんですけど、僕のルーツは天然物化学なんですよね。天然物化学は、いろいろな生物が持っている化合物に注目して、その化合物がどんな働きを持っているのかを探っていく学问です。庆应义塾大学に入って学年が进んで研究室を选ぶときに、天然物化学が専门の上田実先生がいた。そのお话がすごく面白くて。それがきっかけと言えます。その研究室では植物の动きを研究していました。植物の动きって何かっていうと…マメ科植物の就眠运动です。
就眠运动…?
マメ科の植物のうちいくつかは夜になると葉っぱを閉じるんですよ。それを就眠運動というのですが、上田先生に初めて教えてもらって、そんな動きがあるんだ!とすごく兴味を持った。それでその研究室に入って、そのうちに天然物化学という、植物内にあるいろいろな化合物の働きを調べていくことに兴味を持ちました。

食べ物の研究をはじめたのは北大に来てからなんですね
これも怒られるかもしれないけど、実は、最初に北大に来たときですね…食べ物自体にはそれほど兴味がなかったんですよ。ただし、食べ物の成分について研究している研究室だったので、そこには兴味を持っていた。つまり、食の研究に兴味を持ったというよりは、最初は植物の成分に兴味を持って、植物繋がりで食べられる植物の成分に兴味を持って、食の研究に入ったというわけです。
やっぱりやっているうちにどんどん兴味が出てくるもので、今は食べ物の健康機能がどうやって発揮されているかに非常に兴味を持ってます。人によっては、小さい頃からこれに兴味があってその道をどんどん進むという人もいて、そういう人はすごいなと思いますけど、僕はだいぶその辺適当です(笑)。

加藤さんが苦味受容体に注目した理由はなんですか?
実は、研究のきっかけに苦味受容体は全然関係ないんですよ。もともとやっていた研究は、食べ物や薬用植物の成分で、脂肪细胞に与えると脂肪の蓄积を抑制したり、分解を促进したりする成分を探索するというものです。その研究をしていたところ、トンカットアリという东南アジアの薬用植物の苦い成分が脂肪细胞に作用してその分解を促进するという働きを见つけて、更にその后、アタンシという别の植物の苦い成分でも同じような働きを见つけました。そうすると、苦みには何か重要な存在意义があるのかなって疑问を持ちますよね。
确かにそうですね
それで色々调べてみると、苦い成分が脂肪细胞、肥満に効くという报告が结构あったんです。そうすると苦味だから、苦味受容体じゃんっていう话になって、そこから苦味受容体の研究を始めました。
当时は苦味受容体なんて知らなかったので、苦味だから口の中にしかないのかなって思って调べてみると、口の中以外の苦味受容体に関する研究がポツポツありました。じゃあ脂肪细胞でもあるんじゃないのかというのが、脂肪细胞の苦味受容体を研究しようと思ったきっかけです。実は当时すでにヒトの脂肪组织にも苦味受容体があるのは知られていましたが、その机能は全く调べられてなかったので、じゃあ自分でやろうと思って研究を始めました。
なるほど、肥満の研究から派生して苦味受容体の研究を始められたんですね
ただ、これ実は、结构苦労したんですよ。もともとやっていた植物の成分の研究っていうのは、有机化学の研究なんですよ。一方で、苦味受容体の研究は、遗伝子とか、分子生物学とかの分野の研究なんですよね。全然违う分野だったので、最初は研究方法を一から调べるところから始めました(笑)

糖尿病の研究もされていますが、苦味受容体や肥満との関係は?
苦味受容体と糖尿病の関係は、恐らく肥満を介しているんじゃないのかなと思っています。今のところ苦味受容体と糖尿病を直接结びつける报告はないんです。ただ、肥満は糖尿病诱発のリスクを高めるので、そこから繋げられるだろうとは思ってます。
楽しみですね。肥満を研究しようと思ったきっかけはなんですか?
糖尿病は生活習慣病で肥満は健康問題で生活習慣病につながるから、そこから派生してはじめたのがきっかけですね。もちろん自分でも太りたくないですし、最近特にちょっとおなか周りがやばいんだけど(笑)。やっぱ自分が兴味あることをやるのが一番いいんですよね。苦味受容体もやっぱり食べ物なので美味しいもの食べたいなってとこから始めたりしました。

では、食や苦味の研究でどのような思いを大事にしていますか?
美味しいもの食べると确かに幸せなんですけど、食べ过ぎると駄目ですよね。だけど、食べたいですよね。矛盾ですよね。これを同じ食べ物で何とかしたいな、という思いがあって…。
皆さんは緑茶饮んだり、チョコレート食べたりしたときに、まずいと思わないですよね。でもあれも苦いもの入ってるんですよ。苦いものは毒っていう一般认识があって、みんな嫌いなはずなのに、カカオやお茶は嫌いじゃない。そうすると、苦いものって本当は毒なだけじゃないのかなっていう考えが浮かんでくる。
もし人间に好きな苦味があるならそれを使ってあげれば苦くても美味しいものを作れますし、さらにその好きな苦味が体の中で结构良い効果を持ってるとしたら美味しいものを食べながら、健康にもいいっていうことになるかもしれない。こんな発想で、実は、苦味受容体の研究をやっているんです。
ありがとうございます。では最后に、北大1年生に向けて一言いただければと思います
学科选びや学部选びですごく迷うと思うんですけど、正直に言うと意外とどこ选んでも変わらないかもしれません。やっぱり今、総合入试だと成绩が良くないと好きなところに行けないから勉强ばっかりやってる人もいるけど、そこであんまりこだわらなくても、入ってやってみると面白いことはたくさんあります。僕もやり始めてから面白くなったっていうことばっかりなので。
つまり何事にも挑戦してみればいいっていうことですね!
はい、多分、いい言叶で言うとそんな感じです(笑)。
わかりました。ありがとうございました!

この記事は、安藤正太さん(総合理系1年)、櫻井明澄美さん(経済学部1年)、瀧田楓さん(総合理系 1 年)が、一般教育演習「北海道大学の”今”を知る」の履修を通して制作した成果です。