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#160 モデルバーン彻底解剖! ~バルーンフレーミングとは何か?~

(移筑后のモデルバーン)

北大のキャンパスの一角、北18条には、国の重要文化财に指定されている「札幌农学校第二农场」があります。札幌农学校第二农场は、今でも、広く市民に公开されています。そこには、コーンバーンや、円筒形石造サイロとしては现存する日本最古のサイロ、牡牛舎など、普段は目にすることのない、明治期の建物がたくさんあります。その中でも「モデルバーン」は非常に有名で、第二农场のいわば「花形」です。

(移筑后のコーンバーン)

しかし、「モデルバーンって何?」と闻かれても、即座に答えられるひとはそれほど多くはないでしょう。试しにモデルバーンの説明を、资料からピックアップしてみましょう。

「奥?厂?クラークが前任のマサチューセッツ农科大学で1896年に建设した畜舎に倣って札幌农学校第2代教头奥.ホイラーの基本设计、开拓使工业局の建筑技术者安达喜幸の実施设计により1877年に建设されました。〔…〕床と小屋组みは、一般にバルーンフレームと呼ばれる2インチ厚の板材で造られています〔…〕。」 1)

今回私たちは、モデルバーンの説明にたくさん登场するこの「バルーンフレーミング」とは何かといった観点から、モデルバーンとはどのようなものなのかを説明しようと试みました。

協力していただいたのは、北海道大学大学院工学研究院助教の池上重康さんです。池上さんは、これまで、第2農場に関するさまざまな資料を読解し、再構成することで、北大第2農場にある建造物の歴史について研究されてきました 2)。今回は、池上さんのお力を借りて、「バルーンフレーミング」についての最新の調査結果についてご教示いただきました。

【内田明希?総合理系1年/玉川和贵?総合理系1年/松村竜之介?総合理系1年】

1. モデルバーンの歴史
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まずはモデルバーンの歴史をざっと振り返りましょう。

(1899年ごろ モデルバーン前の洋牛と家鸭の群れ)
〈北海道大学附属図书馆所蔵〉

北海道大学のモデルバーンは、マサチューセッツ农科大学に作られたモデルバーンを踏袭して、北海道大学の前身である札幌农学校に作られたと言われています。现在残されている第二农场の施设は、1909年から1911年にかけて移筑または新筑されたものです。明治10年に建筑された移筑前のモデルバーンは、一阶には牛房が、二阶には乾草库が、地下には豚房がありました。また、二阶へつながるスロープが土で作られていて、乾草を运び込めるようになっており、二阶から一阶へ乾草を落として牛に给饵をしていました。当时も、夏季は放牧が行われており、牧草を刈り取ってモデルバーンに运び、冬季はモデルバーンのみで饲育されていました。

现在も北海道大学の中央ローンなどの多くの部分にはクローバーなどの牧草が生えています。当时は绞られた牛乳の多くがチーズやバターの製造に使われ、副产物として生产されるホエーが豚に与えられるのが主流でした。

开拓がまだ十分になされていなかった北海道における殖产兴业の方针を决めるため、北海道开拓使の次官を务めていた黒田清隆が1871年にアメリカ合众国へ渡りました。その后、アメリカ农务局の局长を务めていたホーレス?ケプロンをはじめとする一団が日本に访れました。そして、北海道を3年ほど调査したのち、开拓の方法には畜力?机械を用いた畑作や畜产がよいと提案しました。黒田清隆は稲作を中心に生活してきた入殖者达にこうした案を受け入れさせる目的で、マサチューセッツ农科大学の学长を务めていたウィリアム?スミス?クラークを中心とするお雇い外国人を、札幌农学校に招きます。

(开拓使顾问ケプロンその他の御雇アメリカ人たち(复製)左から2番目がケプロン)
〈北海道大学附属図书馆所蔵〉

札幌と同じ気候帯で畜产を行っている场所はヨーロッパにも多くありましたが、冬の降雪量が札幌と同等である场所は少なかったため、そのひとつであるマサチューセッツ州のアマーストにあるマサチューセッツ农科大学で学长をしていたクラークが选ばれたと推察されます。その后クラークらによりマサチューセッツ农科大学のバーン(1869年建设)を规范としたモデルバーンが1876年に建设されました。

(札幌に於けるクラーク先生)
〈北海道大学附属図书馆所蔵〉

マサチューセッツ农科大学のバーンと札幌に建てられたモデルバーンですが、それらは壁の建筑构法が违います。マサチューセッツ农科大学のバーンでは、壁も屋根もバルーンフレーミングを用いて建てられていました。それに対して、札幌に建てられたモデルバーンでは、壁に在来の构法を、屋根にはバルーンフレーミングを用いて建てられています。これは、建设を请け负った安达喜幸がバルーンフレーミングに抱いた不安から、壁にのみ在来构造を用いたと推察されます。

実は札幌にモデルバーンが建てられる前の1870年に、マサチューセッツ农科大学のバーンは暴风で倒壊し、その后クラークらにより改良されました。つまり、札幌にモデルバーンが建设された当时、クラークらは改良前と改良后、いわば旧式と最新式のモデルバーンがあることを知っていました。ところが、札幌农学校では最新式のモデルバーンを建筑しなかったのです。つまり、クラークは最新式のモデルバーンについて知っていたにもかかわらず、旧式のモデルバーンを札幌农学校に建设することに决めたのでした。

それがなぜなのかは明らかになっていませんが、池上さんは「その后すぐに、改良されたモデルバーンのシステムが陈腐化し、取り壊されたことから、何らかの欠陥があり、クラークはすでにそれを知っていたのではないか」という仮説を提示されていました。

また、现在のモデルバーンは1910年に移転改筑の际に、スロープと地下层を取り払い、4本の换気烟突を新设するなど、畜舎の形式の変更が行なわれました。したがって、厳密には「モデルバーン」と呼べる形式にはなっていませんが、创建时の呼称が现在でも用いられています。

2. バルーンフレーミングの歴史

では、このモデルバーンに使われている「バルーンフレーミング」とは何なのでしょうか。バルーンフレーミングとは、19世紀後半から20世紀半ばにかけて、アメリカやカナダで住宅を建てるために使用されていた木造建築の一形態です。下図 3)のように細く薄い柱を並べて板を作り、床板に接続して起こすことで壁を作ります。

「トムとジェリー」などのアメリカのアニメで、家の内側で何かが爆発すると、四方の壁が外側に向かってバタンと倒れる描写が見られるのをご存知でしょうか。あのように壁が倒れる理由は、このバルーンフレーミングによって建てられた家だからなのだそうです。一方、日本従来の設計方法(=在来構法)では、下の図 4)のように、長い柱の間に「間柱」と呼ばれる柱材の半分ほどの厚さの短い板のような柱を入れることで壁を作っていました。さらに、在来構法では熟練の技術が必要となる継手や仕口を用います。したがって、このように建てられた日本の家はアメリカの家のような倒れ方はしないのです。

この复雑な在来构法に比べ、バルーンフレーミングでは、钉さえ打てれば谁でも家を建てることができ、圧倒的に简単な构法でした。バルーンフレーミングの起源はアメリカ开拓の时代まで遡ります。当时、开拓者の中には、十分な人数の熟练技术者が存在していませんでした。したがって、西へ西へと开拓を进めるうちに技术者が足りなくなると、复雑な建て方ではなく、高い技术を必要としない建筑方法が求められたのです。そこで考案されたのがバルーンフレーミングでした。ちょうどシカゴあたりまで开拓が进んだ际に考案されたため「シカゴ建筑」とも呼ばれます。

つまり、バルーンフレーミングとは、特别な技术を必要としない、建造物の建て方として、开拓を进めるアメリカ人たちに注目された构法だったのです。

3. まとめ

今回札幌农学校第二农场のモデルバーンについて调べましたが、私たちは入学するまでこのような文化财が北大构内にあることを知りませんでした。今回の调査で、北大の础を筑いたクラークの研究内容や活动について知ることができ、たいへん兴味深かったです。现在の北海道大学は総合大学となっていてクラークの存在は知っていても、彼の研究内容までは知らない学生が多く、贵重な経験となりました。

今回记述したモデルバーンは移筑前のものなので现在では见ることはできませんが、改良がくわえられて移筑された数々の施设はまだ北18条に残っています。さらに、当时使われていた农业机械や明治时代に日本各地で実际に使われていた锹など贵重な资料が展示されています。この记事を読んで兴味を持った方はぜひ実际に见に行ってみてください。

注?参考文献

1) 柴田洋一、小澤丈夫、近藤誠司編「重要文化財「札幌農学校第2農場」」北海道大学総合博物館(2017年)、2頁、太字は引用者による

2)?

  1. 池上重康(2015)「マサチューセッツ农科大学のモデルバーン(1869年建筑)について」、『北海道大学大学文书馆年报』第10号所収、25-36页

3)?O’brien, Michael J. (2010) “Hybrids on the way to the western platform frame: two structures in western virginia”, in?Preservation Education & Research, pp. 37-52, p. 41.?

4) 後藤治『日本建築史(建築学の基礎6)』共立出版(2003)、227頁

※ ※ ※ ※ ※
この记事は、内田明希さん(総合理系1年)、玉川和贵さん(総合理系1年)、松村竜之介さん(総合理系1年)が、全学教育科目「北海道大学の”今”を知る」の履修を通して制作した成果物です。

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2020.09.11

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