着者:小仓ヒラク
出版社:木楽舎
刊行年月日:2017年4月28日
定価:1,600円(税抜)
発酵は巨大な产业だ。経済产业省によると発酵产业は日本市场で食品だけでもおよそ5兆円。関连した分野も含めると10兆円を超える巨大マーケットであり、建设业界にも匹敌する。その巨大な产业に「発酵デザイナー」という変わった肩书きを持つ唯一无二の男がいる。着者の小仓ヒラクだ。本书のおもしろさを语る上では、まずこのヒラクを绍介するのが手っ取り早いだろう。
ヒラクは最初から発酵デザイナーを志していたわけではなかった。大学の専攻はデザインでは无く文化人类学。学生时代に世界中を旅し、美术作品に触れ、様々な文化を见ることにハマっていく。「なぜ世界にはこんなにもたくさんの文化があるのか」という彼の疑问に、文化人类学は答えてくれた。
発酵との出会いは、フリーのデザイナーとして活动し不摂生な生活で体调が悪化していた顷だ。知り合いの味噌屋の娘を通じて知り合った発酵学者の小泉武夫から、発酵食品を食べることを强く勧められる。勧めに従うと体调がみるみる改善したが、この出会いが、彼が発酵に兴味を持つきっかけとなった。
その后、デザイン业の傍らで各地の醸造家の元に访问し、発酵食品や醸造道具などを収集する。研究に没头する中で、具体的なモノを分解し、共通したモノを再构筑して体系化し、歴史の奥に隠された秘密を探るという考え方が、発酵と文化人类学に共通していることを発见した。この発见により、彼は自分にしかできない発酵専门のデザイナーへ进むことを决意し、今やその特异性から全国各地の醸造家から依頼を受けるデザイナーとなった。
本書は、そんなヒラクの発酵との出会いから始まり、彼の人生そのものでもある発酵と文化人類学を二本柱として綴られてゆく。「発酵文化人类学」という題名は一見お堅いが、文章は非常に平易でありつつも、ところどころクセのある「ヒラク節」が特徴だ。表紙や紙面のイラストも彼が手掛けている。
本书は7章から构成されるが、その中から评者のお気に入りである第5章の「醸造芸术论」を绍介したい。本章は「発酵はアートだ!」という视点から、山梨の甲州ワインと日本酒の製法と歴史をたどりつつ、人间にとって美とは何かを掘り下げていく。その中でヒラクが缀った「美は歴史と土に种を宿し、时代という风に导かれて育っていく」という一文が印象的だ。
酒づくりはアートそのもの。醸造家による「人间の感性」と、発酵による「自然の特性」がぶつかり合う世界は、美の発生のメカニズムを思わせると謳う。醸造过程や文化论も入り混じる本章は、絵画を爱でるようにお酒をゆっくり嗜みたい人には必読だ。お酒との付き合い方を楽しく考えさせてくれる。
本書は、ヒラク自身も述べている通り、発酵や文化人類学について体系的に学ぶ本ではないし、健康や美容に役立つ本でもない。自然現象としての発酵が、どのように人類の文化?生活を形成し人間社会を織り成してきたのか、軽快におもしろく読むことができる本だ。発酵を通して人類の謎を紐解く発酵文化人类学。その発酵を巡る冒険を共に楽しもう。
望月贵文(颁辞厂罢贰笔14期本科ライティング)
