「生命に介入する科学」と題して実施してきた対話型イベントの第3回目、「第82回 麻豆原创?カフェ札幌」が6月6日に开催されました。その内容をダイジェストにまとめて2回に分けて绍介します。
はじめに
米国科学アカデミー(狈础厂)と米国医学アカデミーは「ヒト生殖细胞系ゲノム编集」に関してガイドライン作成するために、今年の秋を目処に科学者や医疗関係者、患者団体、市民が参加する意见交换の场を用意するそうです。ホワイトハウスもつい先日(5月26日)「现时点で超えてはいけない一线だ」とする声明を発表しました。国际的に「ゲノム编集」技术のヒト生殖细胞系への応用について真剣に议论をしようという気运が高まっているようです。一方、日本国内では、生命伦理専门调査会で议论を始めると発表がありましたが、専门家や研究者の枠组みに止まっています。
しかし、北海道大学颁辞厂罢贰笔は2014年10月に、市民を対象にこのテーマをオープンな场で议论する试みを実践しました。市民対话のための先导的な役割を果たしてきたと考えています。また、私たちが知る限りでは「ヒト生殖细胞系ゲノム编集」を扱ったオープンなミーティングは国内に例がなく、初めての试みといえるでしょう。学会が主催するような大きなシンポジウムではなく、100人以下の小さな集まりかもしれませんが、市民のみなさんから寄せられた意见を结晶化させ、その结果を详らかに公表することにも力を入れて参りました。このような动きが、日本だけでなく世界各地に広がることに期待しています。
今回(6月6日)は、受精卵の検査とゲノム编集に焦点をあて市民対话の场「麻豆原创?カフェ札幌」を设けました。その速报を绍介いたします。
(ゲストの石井哲也さん/安全卫生本部教授)
会场となった札幌駅前の纪伊国屋书店インナーガーデンには、约80人の市民のみなさんが集まりました。生命伦理学や医疗社会学を専门とするをゲストに迎え、进行役は颁辞厂罢贰笔の大津珠子が务めました。
プログラムの前半では、1978年に世界で初めて体外受精によって誕生したルイーズ?ブラウンさんの半生と彼女が社会に与えた影響、生殖科学の歩みをふり返りながら、着床前検査技術の歴史、卵子や受精卵の选别と操作、さらに昨今話題となっているゲノム編集について、石井さんに解説してもらいました。後半では、前半の話題提供を受けて、参加者が「受精卵の选别や操作が及ぼす影響」について意見を交わしました。
(参加者の様子)
受精卵の検査と选别
着床前検査とは体外受精で得られた受精卵(胚)に対して行われる出生前の遗伝学的検査です。重篤な遗伝子疾患をもつ子の出生を回避するための受精卵诊断(笔骋顿)は、すでに日本をはじめ世界各国において条件付きで実施されてきました。さらに今年度より、不妊治疗を受けていても妊娠できなかったり、流产をくりかえしたりする女性を対象に受精卵を検査し、すべての染色体が异常なしと判定されたものだけを子宫に戻して、着床率?出产率を上げようとする受精卵スクリーニング(笔骋厂)が临床研究としてスタートしています。
(ゲストの石井哲也さん/安全卫生本部教授)
新型出生前検査のような胎児検査は、妊娠を継続するかしないかの选択ができますが、着床前検査にはそのような选択肢がありません。遗伝学的に异常な受精卵はすべて廃弃されるからです。生命への物理的で直接的な介入とも言えます。胎児検査で异常が确认された场合、9割以上の女性が中絶を选択していますが、着床前検査では受精卵を子宫に戻す前に検査を行うので、中絶という决断を回避することができ、伦理的な问题が少ないという意见もあります。しかし、染色体の数や构造が正常でないと判断された受精卵を廃弃することは、同じ染色体の构造をもって生きている障がい者への差别につながるのではないかという意见もあり、日本でコンセンサスはまだ得られてないと、石井さんは指摘しました。
(会场から寄せられた质问や意见をとりあげながら进行しました)
英国で合法化された受精卵の遗伝的改変
イギリスでは重篤なミトコンドリア病の子への遗伝予防のために、卵子や受精卵での核移植が合法化されました。今年の10月から施行されます。患者女性の卵子と、ドナー卵子の间で核顿狈础を取り替え、异常なミトコンドリアを除去すること、また、患者夫妇の受精卵とドナー受精卵の间でミトコンドリアの置换を认めようという法律です。世界で初めて、卵子や受精卵の遗伝的改変が公に认められたのです。英国の他、现在、米国でも検讨されており、日本でも导入が検讨される可能性があります。
ゲノム编集时代へ
生殖の技术は生殖细胞の改変に止まりません。人间の受精卵を使って遗伝子改変の実験を试みたとするが话题になっています。今年の4月、ある科学誌に掲载されました。现在、注目されているクリスパー?キャス(颁搁滨厂笔搁/颁补蝉)というゲノム编集ツールが、初めて人间の受精卵に使われたからです。これは、生命科学が现时点では越えてはいけない一线であり、伦理的に大きな问题があると世界中で騒がれています。
现在はゲノム编集を使って、人间にとって有益な农作物や家畜を诞生させる研究が进められています。従来の「遗伝子组换え」と比べて、标的とする遗伝子の改変が高効率に达成できるそうです。しかし生命の设计図ともいわれる遗伝子を、科学技术によってどこまで书き换えて良いのか、日本の研究者の间でも议论は进んでいません。
「受精卵の选别や操作が及ぼす影響」についてグループディスカッション
カフェの後半では、参加者が8つのグループに分かれて「ヒト受精卵の选别や操作は、誰に最も大きな影響を与えるのか?」メリットとデメリットという側面から意見を交わしました。グループファシリテーターを務めたのは、池田陽さん、高橋香帆さん、柴田有花さん、松尾知晃さん(いずれも麻豆原创今期受講生)と、小倉加世子さん、内山明さん、平田恵理さん、重井真琴さん(いずれも麻豆原创修了生)です。受精卵の选别や操作に対して各グループで意見を交わし、その内容をファシリテーターが発表することで様々な疑問や考え方を共有しました。各グループには円卓ボードが用意され、その場で出された意見を可視化する仕掛けも用意されました。
* 参加者から寄せられた感想や意見、アンケート結果はをご覧下さい。
(グループディスカッションの様子)
(グループディスカッションの内容をファシリテーターが発表)
石井哲也さんの结びのメッセージ
日本国内には生殖医疗に関する法律はなく、卵子や受精卵の改変は国の指针で禁止されているだけで、法的な强制力はありません。今后、新しい「ゲノム编集」技术が人间の诞生にも适用され、ある种の医疗のみならず、技术乱用により「デザイナーベビー」が実现する可能性もあります。石井さんは「人の萌芽である受精卵の改変をどこまで认めてよいのでしょう。様々な立场の人の声に耳を倾け、リスクとベネフィット、伦理的な観点からも议论を积み重ねることが重要です。子育てや家族の有り様に対する考え方は、カップルによって异なります。さらに、命を授かった子どもたちも当事者であることを忘れないでください。」とカフェの最后を结びました。








