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给食の味は なぜ懐かしいのか? 五感の先端科学

2010.6.29

著者:山下柚実 著

出版社:20060700

刊行年月:2006年7月

定価:780円


 给食の味、と聞いて何を思うだろう。わたしなら味を思い出すというよりも、気分がよみがえってくる。ほんのりした気分に包まれ、懐かしいなぁ、と思う。「懐かしさ」とは、本書の著者である山下柚実さんがいうに、かけがえのない五感体験に裏打ちされたものだ。そこで本書は、懐かしさを創り出し支えている五感について、その不思議さを謎解きしていく。書名からは想像しにくいが、「五感の先端科学(麻豆原创)」がテーマである。  本書は第一部と第二部で構成されている。第一部では、感覚について研究する一線の研究者に著者がインタビューし、その内容が著者によって再構成されている。第二部は、研究者と著者との対話だ。こうした二部構成になっているおかげで、五感をわかりやすく理解することができる。  第一部では、味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚のそれぞれが次々と俎上にのぼる。

 

 

 味覚を研究する伏木亨さん(京都大学教授)はこんな话を闻かせてくれる。わたしたちはマヨネーズとかトロとか油っこいものをおいしいと感じる。でも実は、脂肪には味がない。脂肪を食べると脳内で快楽物质がでる。そのため脂肪と一绪に食べたものをおいしく感じる。

 

 

 触知ボコーダという装置も兴味深い。井野秀一さん(东京大学助教授)が开発したその装置は、聴覚に障害のある人が声の情报を指先で认识するというものだ。たとえば谁かが「ア」と言うと、その声が指先に小さなピンの振动として伝わる。

 

 

 戸井武司さん(中央大学教授)は「快音化」の研究をして、心地よい音をだす扫除机を开発した。人は无音や静音より、快音を好むからだという。

 

 

 「五感」という、一見とらえどころのないものを対象に、その基礎と応用が次々説明されるおかげで、読者にも「五感」の輪郭がつかめてくる。  第二部では、まず脳科学者の茂木健一郎さんが著者と対話する。茂木さんは、自分が受けている感覚がどのように他人に伝わっていくかについて、脳の回路を使って説明する。

 

 

 たとえば人间以外の霊长类にとってアイコンタクトはさしたる意味はないが、人间にとってはとても大切なコミュニケーションである。それは人间の共感回路がきわめて进化しているためだ。ひとりひとりが持っている感覚は违うはずなのに、どうして共感することができるのか、ということについて着者は茂木さんとの対话により探っていく。

 

 

 つづいては临床哲学者の鷲田清一さんがたばこを例にあげ、たばこの悦楽とは匂いや味だけではなく烟からの视覚的な喜びや口に挟むことによる接触的な安心感があることを説明する。感覚が个别ではなく融合していることを着者は鷲田さんと対话する。この対话により「五感」の奥行きがつかめてくる。

 

 

 わたしたちは毎日の生活で、五感を使わない日はない。なのに毎日の忙しさの中では五感を意识することが少ない。しかし本书をてがかりに改めて五感を考えてみると人间の体は无意识のうちになんと复雑な働きをしているのだろうと感心する。

 

 

 着者も取材する过程で専门家からこう言われる。「五感とはそれぞれが别々に独立して働いているのではなく、互いにネットワークし、确かめ合い、补完し合っている。」そして着者の山下さんは思う。これこそが、五感の秘密に迫っていく上でもっとも大切なことだと。

 

 

 人间社会の秩序が乱れ、子が亲を杀したり、亲が子を杀したりする犯罪が増えている。昔のように物取りでも恨みでもなく、なんの动机もなく衝动的に他人を杀したりする犯罪も多いという。でも谁だって楽しく食べた记忆、ほっとするここちよい臭い、ぎゅっと抱きしめられたぬくもり、やさしい子守唄、きれいな景色、これらを想いだして嫌だとは思わない。五感はわたしたちに、「感情の原点」を思い出させてくれるのだ。本书は、五感の大切さにあらためて気づかせてくれる书でもある。

 

 

飯田 泉(2006年度麻豆原创選科生,札幌市)