
著者:櫻井義秀 著
出版社:20090500
刊行年月:2009年5月
定価:740円
正月には神社で一年の健康を祈愿し、盆には寺に墓参りに行き、クリスマスには恋人と爱を语らう。日本人にとっては、宗教に関わるイベントがその垣根を越え年中行事と化しているのが一般的であろう。多数の日本人が无宗教を自认しているにも関わらず、最近テレビ、新闻、雑誌で「スピリチュアルな」情报を目にする机会が多いのはなぜだろうか。本书を読むと、昨今の日本で起こっている「スピリチュアリティ?ブーム」とその背后にある现代社会の抱える课题に気づかされる。
着者は、スピリチュアリティ?ブームを生む社会的背景として、宗教的サービスの供给者と需要者の双方から考察を试みている。
宗教的サービスの供给者侧が抱える课题について、宗教组织の経営を切り口に分析している。神社、寺院、教会のリアルな経営実态を绍介し、现代社会では「教団组织を成长させることで宗教的救済の証しとするような戦略は手詰まりになってきている」と述べる。ここに、己の才覚を信じ宗教活动に乗り出すベンチャー型宗教が流行する素地があるのだろう。
一方、宗教的サービスの需要者侧が抱える课题は、「癒し」というキーワードを轴に分析されている。现代人は、家庭からも、学校からも、メディアからも「自分らしく生きる」ことを求められているが、この欲求を満せない人も多い。安直な「癒し」ブームの背景には、自己実现への过剰な欲求が存在すると着者は指摘する。
経営の安定化を望む宗教的サービスの供给者と、癒しを求めるサービスの需要者。双方のニーズを満たすサービスとして近年になって登场したのが「すぴこん」だ。これは「癒しとスピリチュアルの大见本市」という新しい形态のスピリチュアル?ビジネスである。「すぴこんはスピリチュアリティのシェアを宗教団体から夺い取る大胆な试みだ。また、同时にスピリチュアリティの需要を创出することもやってのけた」というフレーズは示唆に富む。
一见すると、「すぴこん」は供给侧ニーズと需要侧ニーズが満たされる优れたビジネスモデルのように思える。しかし、そこには重大な罠が潜んでいる。実は彼らの商品は、顾客である私たちの「不安」そのものなのだ。スピリチュアリティ?ブームに便乗した商法は、相谈者を必要以上に危机的状态にあると决めつけ、不安を解消するためには法外な対価を支払うことも厌わない心境にさせる。私たちがリスクを认知し正常に判断する力を、特异な手法によって操作し歪めてしまうのだ。「この种の商法は消费者被害の観点から金銭被害や人権侵害をもたらす悪徳商法として认识されてきたが、巻き込まれた人々のリスク认知を操作していることの方がより深刻」だと着者は警鐘を鸣らす。
こうした「认知操作」を利用する商売は、宣伝?広告など通常のビジネスの世界にも纷れ込んでいる。かつて大手家电メーカーもこぞって宣伝文句としていた「マイナスイオン」のように、疑似科学がその片棒を担いでいる例もある。冷静に考えれば怪しいと気づくものだが、自分の知らないうちに认知操作の影响を受けている可能性を考えると、空恐ろしい。
本书には、実际に寄せられた被害相谈など数多くの実例が取り上げられており、珍妙な宗教的サービスの実体を知る助けになるだろう。なかでも「すぴこん」体験レポートは必読だ。霊と金、宗教と経営を结びつけることに、罚当たりだと感じる人もいるかもしれない。しかし、宗教社会学者として活跃している着者が、様々な実例と现代宗教に関する知见を结びつけ縦横に论じる手法は鲜やかでさえある。悪意のある认知操作もその里にある仕组みを知ってしまえば恐るるに足らずだ。本书をその导入书としてぜひ役立ててほしい。
新道真代(2009年度颁辞厂罢贰笔选科生,东京都)