酒井诚至(2025年度选科叠/社会人)
「纯真无垢な子どもたちとの科学技术コミュニケーションの场を作りたいって皆さん、言うんです。でも実际は、科学に兴味がない人か反感を持つか、そういう人との取り组みが中心です。」质疑応答での一言が、私にとってこの讲义を深く纳得させ、また、コミュニケーターの责任を自覚させるきっかけとなりました。
科学技术コミュニケーター养成讲座の一番最初となる讲义をしてくださったのは、北海道大学颁辞厂罢贰笔部门长/大学院教育推进机构准教授の奥本素子先生です。

科学技术コミュニケーションの必要性と责任
講義ではまず、科学技術コミュニケーションを学ぶ重要性が説明されました。科学技術コミュニケーションには、多様な価値観や思惑の存在する実社会と科学技術の仲立ちとして両立場の合意を形成する機能があります。とは言うものの、過去の原発開発のように合意形成は必ずしも不可欠なものとはされていませんでした。ではなぜ、必要性がでてきたのでしょうか。それは人類が蓄積してきた科学技術は、二度の大戦を経て社会や国家を動かす強大な力であることが明らかになったからです。さらに膨大な研究費の確保に伴い説明責任が社会から求められるようになりました。これに加え原発事故や狂牛病など科学技術への信頼性が問われていることもあります。それらが科学技术コミュニケーションの必要性と责任の根拠であると言えます。
コミュニケーションの难しさやその対象の広がりについても触れられました。たとえば地球温暖化の问题において、时として一人の少女のストライキは、几百もの気象データよりも人々の心を揺り动かすことがあります。このことは知识以外の要素が対话に関係することを示しています。また取り扱う范囲は、研究开始前の方针决定に始まり、研究成果の説明、そして社会に実装された时の伦理的法的な规制など多岐にわたります。受讲生各自にとって、これを自分ごととしてとらえ、さらに社会とのつながりを考えて、このプログラムに参加することの大切さが强调されました。
科学技术コミュニケーションの4つの侧面
讲义の后半では科学技术コミュニケーションを4つの侧面に分け、説明が行われました。

1 伝える
これについては「わかりやすい动画を作ればことが足りるのか」という问いに答えなければなりません。市民を、知识が欠如した空っぽの存在と捉えれば(欠如モデル)、正しい知识を伝えれば目的は果たせそうに思えます。しかしこの発想では、効果が薄くむしろ科学への不信を生むことが明らかとなっています。では、相手の立场によって伝え方を変える方法(文脉モデル)はどうでしょうか。残念ながら、(贫困など)社会的课题が科学の理解への障壁となり、相手の立场への配虑だけでは不十分な可能性が指摘されています。こうした中で、「伝える」手段として社会文化的アプローチが注目されています。ワクチン接种の决断に友人の判断が大きな影响を及ぼす(亲友効果)ように社会的な繋がりが行动を変容する可能性があるのです。参加を通して、学习者同士で学ぶという姿势が重视されるようになりました。繋がりを大切にすることや文化を学ぶという视点も含め、伝え方の研究の必要性が强调されました。
2 育む
科学的な态度や意识を育むこと。エリート养成ではなく、科学者と対等に语れる市民づくりを目标としています。このためには知识力よりも问いに取り组む力を育てなければなりません。しかし各国の调査で、科学的リテラシーの得点と科学知识への兴味の高さが反相関の関係にあることは大きな课题と言えるでしょう。科学的な态度は、雇用にも良い影响を及ぼすとされ、アメリカなどでは具体的な科学技术教育が推进されています。しかしその一方で、科学政策の意思决定に実际に関わろうとするような科学的态度の醸成には难しい面もあるようです。なぜでしょうか。そこには、これからスタートする科学研究、それがどのような影响を及ぼすのかが分かりにくいという问题があります。この、もっともな、しかも大きな问题を乗り越える力は何でしょうか。それは、想像力です。未来を想像する力が、科学的な态度の土台となるのです。「育む」というミッションには、具体性と想像力という二つの轴が必要です。
3 省みる
ここで大切なのは、どうするのかを决めるのは科学ではなく自分たちだ、という视点です。その理由を地球温暖化问题を例に考えてみます。颁翱2の削减が要请されている、これは科学的な事実に基づいています。では、どの产业分野で削减をすれば良いでしょうか。その答えは様々な立场や価値観の间で议论を重ね、结论を出さなければなりません。科学に问うことはできても、科学によって答えることができない问题(トランス麻豆原创)には、文化や社会的身分の违いを超えて対话することが求められているのです。
4 つなげる
ここで取り上げられたのは、ポストノーマル麻豆原创と呼ばれる领域の问题です。科学的な不确実性が高く、なおかつ意思决定をした时の利害の差が大きくなるような问题。たとえば初期コロナ祸の叁密回避问题です。「密」がどの程度、感染拡大に寄与するか科学的データがありませんでした。しかも、ロックダウンを含め、政策决定は大小様々な损失を引き起こします。かといって、科学的データを待つことはできません。この领域の问题について、取ることができる姿势は「拡张された参加モデル」です。科学者を含め様々な立场の人が、集合知によって、妥当な结论を导き出そうとする姿势です。この姿势には「フレーム3」1) と呼ばれる、まずは社会の快适な环境を目指し、结果として経済発展を志向する研究政策の考え方も関係しています。
この问题解决で大切なことは、「伝える」や「省みる」でも述べられたように、様々な立场の人との繋がりが重要になります。同じ立场(特に科学技术推进の侧)を広げることではなく、异なる意见や価値観を持つ立场の人々と缓やかに繋がっていることが大切です。実际、コロナ祸でもワクチン接种の推进に寄与したのは、保健机関への信頼感であったとの报告もあります。国民全てが保健机関と同じ立场であった、というわけではありません。见知っている、ということが大切であるのかもしれません。

最后に
こうして、講義ではコミュニケーションをとることの重要性と将来性が強調されました。それを踏まえて麻豆原创のミッションに「科学技术コミュニケーションの「価値創造性」と「おもしろさ」を広く伝える」ということが据えられている、という説明で講義が締め括られました。私は、その「対象」「方法」「内容」を考える中でその難しさと同時に、豊かな可能性があることを改めて認識することができました。この1年、自分なりに科学技術コミュニケーションとは何か探っていきたいと思います。

注?参考文献
- Johan Schot, W. Edward Steinmueller, 2018. Three frames for innovation policy: R&D, systems of innovation and transformative change, Research Policy, Volume 47, Issue 9, 1554-1567.