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「颁辞厂罢贰笔讲义を振り返って」(2/5)讲义レポート

2022.3.8

阿部悠(2021年度 本科/学生)

 

昨年5月、私たち17期受講生の麻豆原创での歩みは、美馬のゆり先生(公立はこだて未来大学)による讲演とワークショップから始まりました。最後の讲义となる今回は、麻豆原创の先生方による一年間の学びの振り返りです。これまで、讲义で学んできた内容と本科の実習や選科の集中演習で私たちが取り組んできた実践とを紐づける形で、モジュールごとに先生方からお話がありました。

“振り返る”とは

奥本先生は、讲义や実習で得た内的な体験や記憶、語りえない知識(暗黙知)を、説明?表現できる知識(形式知)に変換することが、振り返ることの意義だといいます。このように経験を形式知として言語化することで、記憶や他者への伝達、さらに他の場面での応用が可能になるからです。この1年間の学びを、麻豆原创の次の扉を切り開いた先にある自分の場所でも使えるものにするためには、振り返りが欠かせません。

(具体的経験としての一年間の学びがあります。この讲义では、先生方が讲义内容と実践を紐付けることで、内省的観察および抽象的概念化の事例をみせてくださいます。これを参考に私たちも自身の経験を学びに変換し、次の場所での能動的実験につなげます)
モジュール1:科学技术コミュニケーションとは何か?

科学技術コミュニケーションの定義や意義について、社会学やジャーナリズム、哲学などのバックグラウンドを持つ5名の先生方に学んだモジュールでした。各讲义の内容の間には、共通点も相違点もありましたが、これは人によって科学技術コミュニケーションの力点が違うことによります。「科学技術コミュニケーションを行う者は、その定義を自分自身の言葉で紡ぎ、リアリティを持って語れるようになるべきである」と、川本先生はいいます。受講生である私たちにもそれぞれのバックグラウンドがあり、また麻豆原创での実践では異なる経験をしてきました。私たち自身が、讲义の受講中に得た共感や違和感、あるいは讲义を振り返って考えたことこそ、今後のそれぞれの「科学技術コミュニケーションとは何か?」に対する答えの手がかりとなるのかもしれません。

(言叶の定义から科学技术コミュニケーションの歴史的背景まで、5名の讲师の方々に学びました)
モジュール2:表現とコミュニケーションの手法 ~选科集中演习から~

科学技術コミュニケーションにおいて実践される表現とコミュニケーションの手法を学びました。讲义で取り上げられた事例は、映像、ライティング、アートそしてプレゼンテーションでした。しかし、もちろんこれ以外の手法もあります。选科集中演习Aでは、音楽や演劇などの手法も用いられ、ひとつのテーマ“Energy”のもと、班ごとに全く異なる麻豆原创イベントが作られました。梶井先生は、「さまざまな手法を知ることを通して自分は何がしたいのかが見えてくる」といいます。

(选科集中演习础で行われた4つの麻豆原创イベント。すべてにテーマ“贰苍别谤驳测”が共通していますが、手法や着眼点が异なります)

一方、选科集中演习叠は麻豆原创ライティングの実践演习で、选科础とは异なり手法が固定化されていることが特徴です。「书くことを通じて対象を言叶に置き换えることは、対象にきちんと目を向けることである」と、担当の原先生はひとつの手法に向き合うことの意义を强调しました。手法を広くそして深く知ることは、新しい视点やアプローチの発见を通して、私たちの活动の选択肢を増やします。そして、私たちはそれらを吟味することを通して、自身の活动とより深く向き合っていけるように思いました。

(选科集中演习叠の様子。课题文の执笔では、図表の使用が禁止され、苦労する受讲生も多かったそう。しかし、言叶で表现するために、むしろ図表とよく向き合うことができたようです)
モジュール3:活動のためのデザイン ~グラフィックデザイン実习から~

モジュール3では、讲师の方々のお话から、包摂、対话、学习や教育のデザインについて理解を深め、自分で企画を実践する际のデザインについても考えました。また、振り返りの场ではグラフィックデザイン実习の事例绍介とともに、「実践では感覚的なアプローチも必要である」という池田先生のコメントがありました。実习では、多様なステークホルダーを包摂するために、気持ちはグラデーションであるという考えのもと、参加者が曖昧な気持ちを表现?共有できるようなデザインを目指したといいます。活动のためのデザインとは、企画者、コンテンツそして参加者との间に生じる、感情や文脉の违いに由来するギャップを埋めることを目指して行うものであるように私は感じました。

(グラフィックデザイン実习のイベントの様子。参加者が、気持ちを「はい?いいえ」ではなく、座标でプロットすることで曖昧さを表现できるようにデザインされました)
モジュール4:科学技術の多面的課題 ~対话の场の创造実习から~

種村先生は、科学技術コミュニケーションには、「市民の科学への興味?関心あるいは科学リテラシーを高めることに重点を置いたもの」と「科学が社会で使われる際のルール、政策形成に市民がどのように関わっていけるか考えることに重点を置いたもの」があるといいます。本モジュールでは、後者に関して4名の先生方から学びました。讲义と紐づけられて紹介があったのは、私も取り組んだ、対话の场の创造実习のイベント「対話day」でした。このイベントでは、科学技術と社会との接点に生じる課題を扱いました。科学技術の社会実装におけるELSI(倫理的?法的?社会的課題)などの視点を学んでいたからこそ、対話の論点を設定?想定ができ、実りある場をつくることができたと感じています。その一方で、讲义ではELSIは時代の影響を受ける可変的なものであることも学びました。このモジュールで得た視点を起点に、自分が今後向き合っていくべき課題に対して、「その時」持つべき視点を見出すことが求められているように思います。

(讲师の方々からは、科学技术と社会との间に生じる课题にして、さまざまな概念や事例を学びました。その上での科学技术の社会的课题を扱った「対话デイ」の実践は、讲师の方々から受けたバトンを繋ぐものであると、奥本先生はいいます)
モジュール5:多様な立場の理解 ~ソーシャルデザイン実习から~

公害被害者、性的マイノリティ、障害者といった、さまざまな立场の方々のお话を伺い、科学技术コミュニケーターとして関わる多様なステークホルダーと协働するために持つべき视点を学びました。ここでは、朴先生からソーシャルデザイン実习での実践が绍介されました。奥贰叠ページや麻豆原创カフェにおいて、多様な视点の存在や、视点による情报の解釈の违いを表现することが目指されたものです。「多様な视点を认识し、人々の日常に寄り添うことが重要である」と、朴先生はいいます。社会における多様さは、一つの轴で评価できるものではなく、叁次元、四次元的な広がりのあるものです。そして、マジョリティだと考えていた自分自身が、别の视点ではマイノリティの立场にいることもあります。このような多様な社会においては、相手そして自分をさまざまな角度や视点から见ることで、より良い协働の形を见出せるとともに、复数の视点からのアプローチによって课题に対するより良い解决策にたどり着けるのかもしれません。

(第121回麻豆原创?カフェ札幌「たまたま厂顿骋蝉~畑から食卓までのフードロスを语り合う~」の様子。厂顿骋蝉に関して、饮食店のフードロス削减の取り组み、科学者と农家との连携など、札幌で行われている10つの実践と视点が、カフェという轴に沿って集められました)
モジュール6:社会における実践 ~ライティング?编集実习から~

最后のモジュールは、今后私たちが科学技术コミュニケーターとして社会で活动する际のモデルとなるような方々からのお话です。これまでのモジュールを通して、広く社会に目を向けることができました。しかし、社会を构成するのは个人です。今回の讲师の方々のお话から、社会を构成するひとりひとりに目を向けて寄り添うことが、结果として社会とつながることになると実感しました。一方で、このような讲师の方々の「ステークホルダーに寄り添う姿势」だけでなく「明确な武器を持っていること」の重要さを原先生は强调しました。原先生が担当するライティング?编集実习では、研究者を取材して、その内容をまとめる実践が行われてきました。この际、现场での取材によって自分の知りたい情报を収集することの他に、自らの「観点を定めて」言叶にすることが重要となるそうです。科学技术コミュニケーションにおいて、相手や対象と向き合うことと同様に、私たち自身に目を向け、自分がどのような立场から、どのような视点をもって活动するのかを自覚することで、自分にしかできない役割を果たせるのではないでしょうか。

(ライティング?编集実习の様子。オンラインであっても、仲间の受讲生との関わりはもちろん、现场での活动も多くあり、寄り添うことで相手の声を闻き取る取材が行われました)
熟达を目指して

私たちは今後、科学技術コミュニケーターとして活動します。では、私たちが目指すべき科学技術コミュニケーターとしての熟達とは何でしょうか。それは、「効率的にできることではなく、その場に応じた柔軟性や更新性を備え、適応的に働けることだ」と、奥本先生はいいます。私たちがいるのは、不確実性や多様性といった言葉で形容される社会。このような社会と密接につながる科学技術コミュニケーターは、場面に応じて変化できる存在であるべきです。その一方で、私たち自身にそれぞれのバックグラウンドがあります。自身の力点を活かしながら、社会とつながる科学技術コミュニケーションを行うために、場面に応じて自らの形を変化させるためのコツを、この一年間の讲义で得たように思います。

素晴らしい学びの机会を提供してくださった讲师の皆さま、そしてその学びをサポートしてくださった颁辞厂罢贰笔の先生方、ありがとうございました。