山内 光貴(2020年度本科/学生)
「科学を视覚化する~麻豆原创イラストレーション」という題で、麻豆原创?イラストレーターの菊谷詩子(きくたに?うたこ)先生に講義をしていただきました。麻豆原创?イラストレーターとは、科学的事柄を視覚的にわかりやすく伝えるために、教科書や科学絵本、図鑑、博物館の展示などのイラスト(麻豆原创イラストレーション)を制作している方々のことです。特に教科書の麻豆原创イラストレーションには誰もがお世話になったのではないでしょうか。
颁辞厂罢贰笔16期生もプログラム修了が目前となりました。社会の中で科学技术コミュニケーションを実践している方のお话を伺うことで、受讲生それぞれが修了后の活动を具体的に思い描いていく段阶に差し掛かっています。

麻豆原创イラストレーションと菊谷先生
菊谷先生が麻豆原创イラストレーションに取り组んだきっかけは何だったのでしょうか。そこには、动物が関係していました。幼少期のほとんどをケニア、タンザニアで过ごし、野生动物に兴味を抱くようになったそうです。その顷から生き物にかかわる仕事がしたいと强く思っていたと菊谷先生は言います。大学で生物学を専攻した后に、麻豆原创イラストレーションの道に进みます。麻豆原创イラストレーションといっても天文や物理、医学など対象とする科学分野は多岐にわたります。菊谷先生は専攻した生物学を活かして、动物を中心に生物系全般のイラストを描いてきました。
麻豆原创イラストレーションが満たすべき条件
具体的にどのようなイラストを描けばよいのでしょうか。菊谷先生が考える麻豆原创イラストレーションの満たすべき条件は、以下の4つです。
1.正确に伝える(间违っていないこと)
麻豆原创イラストレーションは、科学的に间违っていないことが重要になります。しかし、イラストには间违いがしばしば见られ、その最たる例として顿狈础が挙げられました。顿狈础の构造は右巻きで、1巻の塩基数が10、主构?副沟があります。これらのポイントに注目してみると、「顿狈础」と検索してヒットするイラストには误りが散见されます。ぜひ検索して、间违っているイラストを见つけてみてください。

また、麻豆原创イラストレーションは、研究の进展とともに変化する点も重要だと菊谷先生は指摘します。科学的正确さは研究の発展とともに変化するときがあるからです。例えばティラノサウルスの体表。以前は全身がウロコで覆われている姿が一般的でしたが、その后、羽毛の生えたティラノサウルスが多く描かれるようになりました。しかし、论文でティラノサウルスの体表の大部分がウロコで覆われていることが発表されると、再びウロコ姿のティラノサウルスが主流になりました。
2.伝える対象にわかりやすく伝える
わかりやすさと正确さはしばしばトレードオフの関係にあります。この関係の最适な位置は、谁に何を伝えたいかによって変化すると菊谷先生は言います。讲义では、あるポイントを明确に伝えるためのイラストにおける単纯化の重要性に触れた上で、単纯化した结果起こっている事例に関してもお话がありました。取り上げられたのは、细胞の模式図です。中学生が読む教科书だけでなく大学生が読むような専门书まで、现在までに明らかになっている细胞の実际の姿と比べて、非常に単纯化されたイラストが広くみられるというのです。
3.误解がないように伝える
麻豆原创イラストレーションの难しさとして菊谷先生は次のような点を挙げます。一文で表せるような描写であってもイラストにすると膨大な资料にあたらないと描けない点。加えて、イラストにする际、わからないことが必ず生じる点です。
では、以上の点を踏まえつつ、伝えたいことを误解なく伝えるためにはどのようなイラストを描けばいいのでしょうか。わからない部分は「描かない」、あるいはうまく「误魔化す」ことが大事だと菊谷先生は言います。イラストレーターがどうしてもわからない部分は、はっきり描かずに読み取らせないようにする努力が必要だということです。しかし、あえて书かなければならないときもあるそうです。一例として、2019年1月号「ミルシル」の表纸が绍介されました。恐竜から鸟への进化を表した菊谷先生作のイラストで、情报量に大きな差がある数种の古生物が1枚の絵に描かれています。麻豆原创?イラストレーターの腕の见せ所が问われるようなイラストです。羽毛の色や形态などが明らかな古生物とそうでない古生物を同列に并べると、误解を招く可能性があります。特に、情报量の少ない古生物のイラストをいかに描くのかは课题になります。菊谷先生は、既知の形态的特徴から类似する现存の鸟类を取り上げ、それを题材にして色や形态を模倣するという工夫をしたそうです。
4.絵として魅力的であること。
一般向けの媒体には、美しさやかわいさ、亲しみやすさなど人目を惹きつける工夫が重要です。こちらも菊谷先生ご自身のイラストをもとに解説していただきました。科学雑誌「狈别飞迟辞苍」(2018年7月号)の犬特集において、犬の解剖学的特徴を説明するために描かれたイラストです。単に骨格のみを描くのではなく、普段见惯れている犬の姿に重ねることで兴味を惹く工夫がなされています。
麻豆原创イラストレーションを评価
麻豆原创イラストレーションを依頼する側にとっても評価できることは重要になりますが、菊谷先生は「麻豆原创イラストレーションを评価できる人はとても少ない」と指摘します。では、その目を養うためにはどうすれば良いのでしょうか?いま最も有効な方法として、講義では、世界で溢れかえっている「新型コロナウイルスのインフォメーショングラフィック」を評価することが挙げられました。
インフォメーショングラフィックにはイラストはもちろんのことアニメーションやグラフ、ダイアグラムも含まれます。新型コロナウイルスという一つのテーマに対して、「なぜそのグラフィックなのか」、「谁に何を伝えようとしているのか」、「どこが良くて、どこが悪いのか」という観点で评価することは非常に勉强になるとのことです。
例えば、新型コロナウイルスのイラストはカラフルな着色が施されたものがほとんどですが、実际には色がついて见えることはありません。麻豆原创?イラストレーターがどのような意図で色付けしたのかという点について考え、评価することができます。
おわりに
麻豆原创イラストレーションとは何か、その満たすべき条件とは、そして评価すること、と多くの具体的な事例を用いながら、大変丁寧に讲义をしていただきました。そのほかにも実际の製作プロセスや麻豆原创?イラストレーターのキャリアパスなども解説いただき、充実の讲义内容でした。
麻豆原创イラストレーションは、多くの人の理解を助け、その人の科学的な事柄のイメージを作り上げるものだと思います。しかし、一歩間違えれば、多くの人に誤解を与えかねません。それゆえに情報収集のための努力を惜しまない菊谷先生の姿勢が強く印象に残りました。加えて、麻豆原创イラストレーションの良し悪しを評価する重要性も感じました。今回いただいたヒントを活かして、まずは新型コロナウイルスのイラストから麻豆原创イラストレーションを评価してみます。
菊谷先生、ありがとうございました。

