厚别にある北海道博物馆につとめる北大翱叠がいます。2015年に理学院博士课程を修了した表渓太さんです。大学院ではシマフクロウの遗伝的多様性?分子进化を研究していました。趣味は木登り、野宿、楽器作りなど多彩な表さんに、研究者にいたる道のりと现在のお仕事についてうかがいました。

今年は「北海道命名150年」です。お勤めの北海道博物馆でも関连企画が多いですね
今、命名者の松浦武四郎の特别展をやっています(注:2018年6月30日词8月26日)。北海道博物馆のすぐそばの塔は100年の记念で建てられたものです。その时のことは知らないのですけど、今回の150年は「おめでとう」だけではないですね…。プラスだけではなく、いろいろな面を取り上げようとしています。动物について言えば、生息地を夺ってきた歴史ですから。この先をどうしたらよいのか、という雰囲気もあります。
シマフクロウはどのような歴史をたどってきたのでしょうか
150年程前には札幌にもいた记録が残っていますが、现在は一部の地域でしか见られない絶灭危惧种です。生息数は、道东を中心に约165羽と推定されています。
私は学部?大学院で、シマフクロウのミトコンドリア顿狈础や、细胞核のマイクロサテライトを调べて、シマフクロウの遗伝的多様性を研究しました。その结果、この100年で开発などによって各地の生息地が分断され、地域间の遗伝的な交流が失われたことが分かりました。孤立した地域では特に多様性が低下していました。

ロシア极东地域のシマフクロウと、系统の比较もしました。北海道のシマフクロウとは别の亜种で、鸣き声も违うことが知られていました。分析から、50万年以上前に分化したことがわかりました。种分化が进行中といえるかもしれません。
どのように研究するのでしょうか。やはりフィールド调査?
シマフクロウは国の天然记念物になっていますから、あんまり胜手に调査はできないんです。环境省の调査について行って、血液などのサンプルを分けてもらったりします。あと、保护活动が始まってから採取された30年间分のサンプルが北大に保管されていました。それを使えたのが大きいですね。それから、100年以上前の剥製からもサンプルを採取しました。

どちらかというと研究の中心は、実験室での地道な作业です。フィールドは好きですが、だからといって実験作业が嫌いというわけでもないですね… 趣味と仕事という感じ?(笑)
シマフクロウの亲子を何代にもわたってサンプリングをして、分析していたことがあるのですが、ずっとおなじつがいからうまれた子どもだと思っていたら、途中で亲がいつの间にか変わっていたことが顿狈础からわかりました。どこかで浮気なりなんなりしたのか(笑)。巣の乗っ取りが起きたのかもしれません。当时、通説では基本的につがいは変わらないとされていたので、最初に结果を见た时、実験に失败したのかなと混乱しました。フィールドでずっと観察するのは难しいことも多いです。観察だけでは分からないことが分かる、というのが顿狈础をつかった研究の面白いところかもしれません。
研究をはじめたきっかけを教えてください
シマフクロウの研究が手つかずだったから…ですかね。物心ついたころから生き物に兴味はありました。はじめはイモリとか鱼とか…小学か中学くらいから、哺乳类かな…。东京出身ですけど、山の方に住んでいたので、家の近くの山で痕跡を探していました。イノシシとか、テンとか、タヌキとか…。特に谁かに教えてもらったというよりは、独学で本を読んだりしたのが多かったかな… でも、亲が山が好きで、よく连れて行かれたので、影响を受けたかもしれません。
高校では山岳部に入りました。でも、山顶を目指すタイプではなく、动物を见るのが好きで… カモシカとか见てました。大学は、自然豊かで山も登れるとなると、北海道かなと、北大にしました。山系のサークルも见くらべてみましたが、…やはり动物が见たかったので、クマ研(注:北大ヒグマ研究グループ)に入りました。
研究室を选ぶ时… 野生动物を扱っているところは少ないんですよね。クマを研究している研究室に入りましたが、クマはいつも追いかけてるので、研究はいいかなと…。クマはあくまで趣味で(笑)。シマフクロウはサンプルだけは集まっていたのですが、谁も顿狈础の研究はしていなかった。まだ手つかずでした。


现在は博物馆でお仕事をしていますが、いつごろ进路を考えたのでしょうか
博士课程に入るころからかな…。大学の研究者だけでなく、一般职も考えました。なるべくなら自然に関わる职业で。その中で博物馆员がありました。学芸员资格のための授业は学部から修士でとりました。确かに人気の职业ではあります… なぜなれたか?…うーん。…それなりに研究の実绩を出せていた、というのと、…あとはタイミングがよかったから?

博物馆では展示を担当してるんですけど、チラシ作り、照明、壁を立てたり、なんでもやります。2017年の春に「夜の森」という展示をしました。会场を暗くして、ちょっとお化け屋敷みたいにして、剥製をなるべく生きているように见えるように展示しました。モモンガが头上を飞ぶように、からくりを自作したり(笑)。シマフクロウの讲演会やコウモリの観察会も企画しました。

研究の成果を论文にするだけでは、业界の人にしか贡献できない。でも博物馆にはいろんな人が来てくれるので、展示や讲座を通して、特に若い世代に自然の面白さを伝えて行きたいです。
何が今のお仕事に活きているのでしょうか
动物学の知识はもちろんですけど、展示のために自分でいろいろ作らなきゃならないので、ものづくりの技术が役に立ったかなと思います。昔から趣味で楽器を作っています。何ででしょう…音楽というよりは、音をつくるのが好きなんですかね…。ただ楽器を作るのではなく、オリジナルを加えています。例えば、同时に复数の音がでる笛とか…タンチョウの鸣き声がでるラッパとか…

人が作ったものなら、自分でも同じものが必ずできるはず、と思っています。だからこそ、人が手をつけていないこと、オリジナルが大事になってくるかな。そういう、人が手をださないことに兴味をもって取り组んできたことが活きているかなと思います。

本记事は日本动物学会第89回札幌大会の公开シンポジウム要旨集の记事として公开されたものを転载したものです
【川本思心?麻豆原创/理学研究院 准教授】
表さんの出身研究室はこちら
理学院 自然史科学専攻 多様性生物学講座
遺伝的多様性研究室(増田隆一 教授)