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#86 カバが説く生命の不思议

私たちは人间で、人间は哺乳类です。では、その哺乳类の体はどのようにしてできるのでしょうか。かつて受精卵というたった1つの细胞だった私たちは、细胞分裂による増殖に加え、さまざまな种类の细胞に分かれる「分化」という过程を経て体を形成します。ある时期までの受精卵は、顕微镜で见ても全く区别がつかない细胞の集団ですが、突然、见た目でもはっきりと异なる2つの细胞系统に分化します。この最初の分化に関わっていると考えられるのが、「贬颈辫辫辞(カバ)」とよばれるシグナルです。

「カバ」と名付けられたこのシグナルは、「细胞の密度を感知する」というまさに「そんなカバな!」という机能を持っています。私は现在、そんなカバの「细胞密度感知能力」に着目して、ウシの胚発生について调べています。

【山村颂太?农学院修士1年】

カバとの睨み合いの毎日(イメージ図)

生物の不思议さ

「唯一生き残るのは変化できるものである」(チャールズ?ダーウィン{※後世で創作された言葉と言われている})、「生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」(リチャード?ドーキンス)、これらは私のお気に入りの名言です。いずれも生物の不思议さに対する答えを探そうとしたものでしょう。生物の分子レベルでの解析技術が著しく発達した現在でも、「生物の不思议さ」は、その一端が解明された段階に過ぎないといわれています。

小さい頃から「生物の不思议さ」に対して興味を持ち続けていた私は、北海道大学に入学して、ウシの胚発生を扱っている研究室を選びました。たった1つの細胞である受精卵が、非常に複雑で組織だった体を形成する胚発生過程は、私が最も不思议だと思っていたことの1つだからです。

カバとの出会い

私は以前から、一個の細胞が何かをキッカケにして分化していくことを不思议に思い、それを「遺伝子のはたらき」という言葉だけでは終わらせたくないと考えていました。その私が「そんなものがあるのか!」と心踊らされたのが、「Hippoシグナル」でした。

ショウジョウバエのある遺伝子の機能を失わせたところ、頭の部分がシワだらけのカバの鼻元のような外見になったことから、この遺伝子はHippo(カバ: Hippopotamus)と名付けられました(図1)。現在では、Hippo遺伝子に関連するさまざまな因子が判明し、その全体をHippoシグナルと呼ぶようになりました。

贬颈辫辫辞シグナルがどうして私の心を跃らせたのかというと、この贬颈辫辫辞シグナル、なんと「细胞の密度」によって制御されるという一风変わった特徴を持っているのです。

 


図1&苍产蝉辫;野生型ショウジョウバエ(上)、&苍产蝉辫;贬颈辫辫辞変异ショウジョウバエ(中)、カバ(下)

(ショウジョウバエは Nature Cell Biology (2003 Udan RS ら)より引用)

カバがウシの最初の分化を制御!?

 

私は现在、ウシ胚の最初の细胞分化と贬颈辫辫辞シグナルの関係を研究しています。ウシ胚の最初の分化も「细胞密度の差」と関连している可能性があり、そこに着目したからです。

ウシ胚の最初の分化に「细胞密度の差」が関わっているとはどういうことでしょうか。ウシ胚は最初の分化によって2种类の细胞(胎児を形成する细胞种と、胎盘を形成する细胞种)をもつ状态(図3右:胚盘胞期胚)になります。この最初の分化が起こる直前の胚は、桑の実のような见た目をしていて(図3左:桑実期胚)、どの细胞も同じように(区别がなく)见えます。个々の细胞の见た目は同じですが、「细胞密度」はいかがでしょう?内侧と外侧で「细胞密度の差」が生じているように见えませんか?私はこの桑実期胚の「细胞密度の差」によって贬颈辫辫辞シグナルの活性状态が変わる、という仮定で研究を行っています。つまり、细胞分化直前の细胞间の「密度の差」がキッカケとなって贬颈辫辫辞シグナルの活性状态が変化し、それが他の遗伝子のはたらきかたに影响を与え细胞分化が起こるのではないか、と考えているのです。


図3 ウシ 桑実期胚(左)と胚盤胞期胚(右)

桑実期胚の内侧の细胞群は赤丸で囲った细胞(胎児を形成)に分化し

桑実胚の外侧の部分は外侧を包みこむ细胞(胎盘を形成)に分化する???

ダーウィンもリチャード?ドーキンスも、学生时代に名言を残してはいません。私も现时点では、何も成し遂げてはいませんが、将来「カバがウシ分化の始まりである」と言い残す日が来ると信じて、日々の研究活动に取り组んでいます。


顕微镜操作が研究の醍醐味です

※ ※ ※ ※ ※ 

この记事は、山村颂太さん(农院修士1年)が、大学院共通授业科目「大学院生のためのセルフプロモーションⅠ」の履修を通して制作した作品です。

山村さんの所属研究室はこちら

遺伝繁殖研究科 生物資源科学専攻 家畜生産生物学講座

遺伝繁殖学研究室(川原 学 准教授)

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2017.09.11

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