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#29 新里胜宏さん(北海道保健福祉部健康安全局地域保健课 地域保健グループ 主任技师)

北海道北見市出身の新里胜宏さんは、2004年3月に北海道大学大学院歯学研究科博士課程を修了し、北海道庁に勤務されています。今回は学部1、2年生に向けて「歯を治療しない歯科医の話」と題して、現在の行政のお仕事や、学生時代のことを話してくださいました。

歯学部で学び、行政の道へ

大学の歯学部を卒业した人の进路は、ほとんどの场合が歯科医师として开业または勤务することです。新里さんの在学时代、行政の道へ进む学生は周りを见渡しても1%もいなかったそうで、现在でも歯科医师の中では少数派です。

公务员としての歯科医师の採用自体が数年に一度しかなく、现在所属している保健福祉部地域保健课70名程度のうち歯科医师の资格をもつのは上司と自分の2名だけ。道职员全体では11名いて、ほとんどは地域の保健所に勤务しています。

新里さん自身もこれまで稚内や帯広など道内各地の保健所を転々と勤务し、现在は札幌市にあるお驯染みの赤れんが庁舎の向かい侧にある道庁で仕事をしています。

新里さんの语り口からは、诚実に仕事されているようすが伝わってきました。

保健所の仕事とは

保健所の仕事と闻いてどんなイメージが浮かぶでしょうか。迷い犬の保护や乳幼児健诊などなど?

新里さんによると、そうした身近な仕事の他にも、ノロウイルスで集団感染が起きた际にすぐさま调査を行ったり、医疗机関に立ち入り検査をするなど、道民の命と暮らしを守るさまざまな役割があるそうです。公众卫生の第一线机関が、保健所なのです。

もちろん新里さんは歯科医师なので、口腔ケアに関する讲习や、専门的な歯科保健サービスの提供、难病やさまざまな障害を抱える方を地域の専门医疗机関につなぐといった仕事が业务の中心です。

歯を削ったり抜いたりはしませんが、歯の健康に関する仕事のほぼ全てが対象です。新里さんはその内容を「(人や组织を)つなぐ」「(机会や场を)つくる」というキーワードで表现しました。

北海道の子供はむし歯が多い

日本では、基本的にむし歯は减っています。1984年には、中学1年生がもつ1人あたりのむし歯の本数は全国平均で4.75本でしたが、今では1本程度にまで减少しています。ただし、北海道は平均1.8本で何と冲縄に次いでワースト2です。

原因ははっきりしていないそうですが、おそらく歯科にかかる习惯が定着していないのではないかと新里さんは言います。ちなみに全国トップは新潟県です。

行政マンである新里さんは一人一人の子供の歯を诊ることはありませんが、适切な予防対策をすることで、全体的にむし歯にかかる子供の総数を减らすことができるといいます。

例え话でいえば、地域の歯科医疗机関は元栓が壊れてこぼれてしまった水を拭くなどして适切に処理する役割、行政の役割は元栓をギュッと缔めて水漏れ自体を防ぐ役割だと説明してくださいました。

なぜむし歯にかかる?

むし歯の主な原因には、「口の中にむし歯菌が多い」「口の中にむし歯菌の栄养となる糖分が多い」「歯の质が弱い」という3つの要素があります。逆に1つでも要素が欠ければむし歯になりにくいので、これらを意识することが大事です。お菓子などはあまり食べないのになぜかむし歯にかかりやすいという人は、もしかしたら歯の质が弱いのかもしれません。

また歯を溶かすのは、むし歯菌そのものよりも、糖分を栄养としてむし歯菌が出す「酸」なのだそうです。歯は酸性の环境に非常に弱く、甘い、あるいは酸っぱい饮み物を常用していると歯が表面からダメージを受けやすくなります。

新里さん自身は、歯科医师になってから新たにむし歯になったことはありません。食事に気をつけることはもちろんですが、デンタルフロス(歯の间の歯垢を清扫する细い糸)がとても良いそうです。むし歯や歯周病の予防に効果が高いと荐めてくださいました。

学生时代にやっておけばよかったこと

新里さんは歯学部28期生。専门に入って忙しくなる前の大学1、2年生の顷は、青春を謳歌しました。バドミントン部に热中し、北大祭でおでんを売ったり(なぜか28期生だけは固定客ができるほど、おでんばかり6年间続けたそうです)、ママチャリで道内をあちこちを旅したりと、北大には楽しい思い出がいっぱいです。

ただ専门职を目指す歯学部では、3年になるとひたすら歯の勉强ばかりになるので、もっとさまざまな学部の学生と友达になって、いろいろ々な话をしておけばよかったとも振り返りました。アルバイトも塾讲师や家庭教师だけではなく、贩売や接客などさまざまな仕事を経験し、幅広く外の世界と触れ合えばよかったという気持ちもあるそうです。

なぜ歯学部から行政の道へ?

新里さんは、実は博士课程で唾(つば)を作る组织、唾液腺の研究で博士号を取得されています。行政の仕事に就かなかったら、おそらく研究の道に进んでいただろうといいます。

しかし、周りの仲间のように开业するという选択肢は考えていませんでした。学生の顷は「珍しい」歯科医になりたいと漠然と考えてはいましたが、公务员をしている歯学部卒业生の特别讲义を闻いて、行政の仕事に兴味を持ったそうです。

エクセルなどを使った事务仕事では今も苦労することがあるそうですが、电话相谈が寄せられた际などに歯科医师の资格が役に立つことも多いといいます。电话されてきた住民の方が、道庁の职员に歯科医师がいることに少し惊き、その后は亲しみをもって话がスムーズに进むこともあります。そんな时、社会に贡献できたという手応えとやりがいを感じるそうです。

北大生へのメッセージ

将来进むべき道はこうだとあまり気负ってしまうと、不安に押しつぶされてしまうかもしれません。社会に出てからも方针転换はできるし、それほど心配することなく、就职に関して幅広いイメージをもったほうが良いと新里さんはいいます。

日々やるべきことをやりながら、地道に情报を収集し、友人と交流しつつ、人生のうちの数年间、北海道大学の学生でいられるこの时间を大切にしてほしいと最后に伝えて下さいました。

新里さん、どうもありがとうございました。

*******

 新里 勝宏さんが講義したのは、全学教育科目「大学と社会」です。

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2016.01.25

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