「君が出す研究結果は世界初だ!」と教授に言われた2023年6月、私の研究は始まりました。ハワイの最北西に位置する環礁「Kure Atoll」に生息しているサンゴの骨格を分析することで、過去の水温とその変動傾向を考察するのが目的です。Kure Atollは他の環礁とは違って緯度が高く、様々な海の流れや風の影響を受けやすいような場所にあるのが特徴です。そして、これまでここでの調査は行われたことがありません。そこに魅力を感じて、この研究を始めることにしました。
【中山梦斗?理学院修士2年】

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Kure Atoll(クレ環礁)ってどんなとこ?
私の研究を语るには、まずKure Atollとサンゴについて話しておかなくてはなりません。環礁とは、隆起してできた地形の周りにサンゴが多く生息するようになりできた島のことを言います。Kure Atollはハワイの最北西に位置します。熱帯気候の下にあり、暖かく透明度の高い海水が特徴です。また、環境保護区として2000年から人間が一切立ち入ることができなくなりました。このこともあり、この島では、現地での水温や降水量の測定が1900年までしか進んでいません。

サンゴの世界へようこそ
さて、さきほど环礁とはサンゴの岛だと説明しました。では「サンゴとは?」ときかれたら何を思い浮かべますか????海???綺丽!???南の岛!!???すべて正解です。そうです、サンゴは南の岛の暖かい海に生息している綺丽な生物なのです。サンゴの研究ときくと生态系研究のイメージが强いと思いますが、そんなサンゴを使って私は、おそらく皆さんが想像もしないちょっと変わった角度から研究をしています。サンゴは惊くべき力を持っているんです。

それは、サンゴを使用して、过去の水温や海流、降水量などを推测するという研究です。サンゴを使用して、どうやって过去のデータを推测するの?と疑问に思いましたよね?今回は、この研究の手法について、私の研究を踏まえてお话ししたいと思います。
サンゴはどんな生き物?
サンゴは、温暖で浅い海域、主に热帯や亜热帯の海域に见られ、浅瀬やサンゴ礁、岩礁、砂礁などに生息します。サンゴ自体が生物の住処になり、生态系を豊かにすることで有名です。また、サンゴには「褐虫藻」と呼ばれる藻类がすんでおり、彼らは太阳光で光合成を行いサンゴに栄养を提供します。あの鲜やかなサンゴの色彩はこの褐虫藻によるものなのですが、水温変化や日射量の低下などの环境ストレスを受けると、サンゴは褐虫藻を手放してしまいます。するとサンゴが色を失って白くなる「白化现象」が起こります。栄养の供给源を失ったサンゴは、やがて死んでしまいます。

サンゴを「测定」する
サンゴと褐虫藻の話はこれぐらいにして、さぁ、そろそろ私の研究の中身を覗いてみましょう。あらためて、私の研究は、サンゴに含まれている化学物質の量と場所を測定することで、例えばいつごろ水温がどのぐらいだったかを「復元」したり、傾向などを調べるというものです。サンゴを「测定」するには、何段階もの準備の作業が必要です。掘削→X線撮影→カッティング→ミリングという工程を経て、やっと測定できるようになります。

まず、サンゴの一部を掘り採取します。採取してきたサンゴをX线撮影し、サンゴが成长していく方向を特定してカットします。実はサンゴにも年轮があり、それを齿线撮影により観察するのです。白い线と黒い线の1セットで1年(「1バンド」といいます)とします。実际の写真がこちらです。皆さんも、このサンゴが何歳なのか年轮を数えてみてください!

この年轮から、採取したサンゴが西暦何年から何年のデータを持っているのか特定することができます。その侧面を「ミリング」という机械で0.1尘尘间隔で削って粉にすることで、やっと测定のための準备が整います。50肠尘もあるサンゴを削っていくのですが、0.1尘尘を削るのに6分かかるので???恐ろしいほどの时间がかかるのがわかると思います。
サンゴの年齢を「月解像度」で调べる
このミリングという作业が研究のミソです。计算では、1バンドにつき12サンプル以上取れれば、月ごとの测定が可能になる仕组みです。こうして、我々の研究室の最大の强みである月ごとの详しい测定、いわゆる「月解像度」での测定ができるのです。

いよいよ测定开始!!
ここまでの工程を経て、さあやっと测定に入ることができます???が、安心するのはまだ早い。ここから更なる试练が待っています。滨颁笔-翱贰厂という化学物质の量を测定する机械を使用するのですが、この机械、95サンプル测定するのに8时间もかかるんです。50肠尘のサンゴから採れる粉は5000サンプル。5000÷95???考えるだけで気が远くなりますね。

なんでサンゴの世界へ?
自然や生物が好きな人にとってきっと憧れの地、西表岛。私の将来は、この岛によって作られました。この岛でダイビングをしたことのある人なら、その理由がわかると思います。ダイビングで见られる景色は、私の中で一番だと思います。そんな中、ひときわ辉いていた美しい花のような生き物、それがサンゴでした。そんなサンゴに、ひ?と?め?ぼ?れ してしまいました。どんな生物?どんな生活史?どのように加工される?など、気づいたら陆にいる时もサンゴのことばかりを考えるようになっていました。皆さんはもうお気づきでしょう。「恋」です。
中山夢斗 23歳。あの時からずっと、サンゴに恋をしています。

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参考文献:
- John J. Rooney et al., Geology and Geomorphology of Coral Reefs in the Northwestern Hawaiian Islands (2008).
- Yves J-P Veillerobe et al., A THESIS SUBMITTED TO THE GLOBAL ENVIRONMENTAL SCIENCE(2004).
- R.W. Grigg Darwin Point: A Threshold for Atoll Formation Coral Reefs (1982)1:29-34 (1982).
この记事は、中山梦斗さん(理学院修士2年)が、大学院共通授业科目「大学院生のためのセルフプロモーションⅠ」の履修を通して制作した作品です。
中山さんの所属研究室は
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