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#133 厚真に生きる、厚真に学ぶ(1)~马とともに纺ぐ暮らし~

「ボリ、ボリ、ボリ」。私たちの目の前の大きな口から、闻きなれない音が响いています。すました颜で干し草を食べているのは、立派なオス马のカップです。ここは、北海道南部、胆振地方に位置する厚真町。海と山に囲まれた、人口5000人ほどののどかな町です。厚真町は、移住者の受け入れや、地域で自ら仕事をつくるローカルベンチャーの支援が活発なことでも知られています。また、特色ある歴史の情报発信にも力を入れています。2019年9月、私たちは、そんな厚真町ならではの地域活性に取り组む人々を访ねるとともに、そこでの知られざる北大生たちの活跃に迫りました。

【橘史子?麻豆原创本科生 農学院修士1年/菊池優?麻豆原创本科生 社会人】

(元気に干し草を食むカップ。がっちりとした体格)
「马搬」に魅せられ、厚真町へ

カップの饲い主は、地域おこし协力队として活跃する、西埜将世さん。西埜さんが厚真町で挑戦しているのは、森林の木を伐りそれを马で搬出する、「马搬」と呼ばれるものです。日本ではかつて北海道や岩手県などで行われていましたが、时代とともに重机やトラックが台头し、1950年代顷から徐々に廃れていきました。小回りが利くエコな林业として马搬が见直されつつある今日でも、国内で马搬を営む人々は数えるほどです。

(马搬をする西埜さんの写真と、ヨーロッパの马搬の教科书。ヨーロッパの一部地域では现在でも盛んに行われています。西埜さんが写っている写真は、写真家の黒川ひとみさん撮影)

?西埜さんは岩手大学で林学を学び、その后林业会社でチェーンソーマンとして働きます。知り合いの绍介で马搬の存在を知り、実际に岩手やイギリスでその现场を目にすると、马搬に対して抱いていたイメ―ジが覆されたと话します。「おっちゃんが死に物狂いで雪の中を运んでいくというイメージがあったのですが、女性がやっていたり、少ない量を何度も运んでいたり。马と暮らしながらできていいなあ、この仕事で食べていきたいなあと思いました」。

(马搬の魅力を语る西埜さん。西埜さんに甘えているのは、カップと一绪に饲っているポニーのハスポン)

?厚真町が実施する、地域を拠点として起业や新规事业立ち上げをする人を対象にしたプログラム「ローカルベンチャースクール」をきっかけに、2017年4月から厚真町で地域おこし协力队として马搬をスタート。马と暮らせる场所を见つけるのに苦労していたところ、役场からここを绍介され、家主からも热烈な歓迎を受けたと言います。「大家さんが率先してリフォームの补助金について调べてくれたり、ウェルカムな雰囲気でした。厚真町は、変わったことを仕事にしている移住者がたくさんいるので、これから何か始めたい人には心强いんじゃないかな」。

西埜さんの相棒カップは、「ばん马」という海外の大型马の交雑种です。十胜のばんえい竞马に一度出场しましたが、良い结果を残せず、「马喰(ばくろう)」と呼ばれる马の商人を通じて西埜さんに引き取られました。

(おとなしくて优しいカップ。私たちもすぐに大好きになりました)
北大生が住み込みで马搬を体験

「数日前からインターンとして北大の学生にも手伝ってもらっているんですよ」と西埜さんに绍介されたのは、総合理系1年の伊藤悠希さん。思わぬ北大生との出会いに惊く私たちに、伊藤さんは「马搬に同行してチェーンソーで木を切ったり、马小屋の近くで马とのコミュニケーショントレーニングをしたりして过ごしています」とここでの経験を话してくれました。ローカルベンチャーに関心があり厚真町を访れたところ、人伝いに西埜さんのもとへたどり着きました。「もともと农业や林业にも兴味があったので、马搬のお仕事を体験してみたいとお愿いしたところ、快く受け入れてくださいました」。10日间のインターン期间中は、西埜家の一员として生活します。伊藤さんの寝床は、西埜さんお手製の马小屋の2阶です。「寝ている间も下にいるカップの动きが感じられて面白いです。24时间、変わった経験をさせてもらっています」と笑颜を见せます。

(马小屋の屋根里で生活する伊藤さん。まるで秘密基地のよう)

伊藤さんが初めてカップの手纲を握る瞬间に立ち会うことができました。道草を食べようとするカップに声をかけコントロールする伊藤さんと、その様子を见守りつつアドバイスをする西埜さん。短いインターン期间のなかで确実に筑かれている、师弟の绊を垣间见た気がしました。

私たちも、カップの牵くそりに乗せてもらいました。瞬间的には1トン、常时400-500キロもの重さを引っ张ることができるそうです。揺れるのではないかと内心不安に思いながらそりに乗り込むと、想像していたよりも安定した乗り心地。するすると木の合间を缝って进んで行く马搬の光景が目に浮かびました。?

(カップの手纲をひく伊藤さん)
马搬の未来

西埜さんは、现在は仕事の开拓、そして马搬の适性を见る意味でも、声がかかるものには积极的に取り组んでいると语ります。厚真町所有林での马搬作业のみならず、公司による重机と马搬の比较调査への协力、马搬研修の讲师、最近では近隣のワイナリーでの试験的な马耕を行うなど、多岐にわたる活动をしています。

马搬の可能性は、実作业だけに留まりません。今の暮らしに改めて马搬を取り入れることで、林业のツールという枠を超えて生み出されるものがあります。西埜さんは、安平町の子ども园から、马と一绪に働く姿を子供たちに见せて欲しいという依頼を受け、园の近くの荒れた森を开拓しました。この仕事を通して、马搬が子供たちの教育にも繋がるという気付きを得たそうです。さらに、马搬を活かした観光にも兴味があると言います。「马搬で木を切っていると、最后に広场のような空间ができるんですよ。そこで何かできたら楽しそう。简易製材机を持っていけば、切った木を材料にその场で小屋を作ったりもできます。自分たちで开拓した広场でキャンプを楽しんでもらうとか」。

(西埜さんとカップが运んできた木材)

3年任期の地域おこし协力队も、2020年の3月までとあとわずかです。今后の马搬について、西埜さんはこう语ります。「协力队の任期が终わっても、この生活を続けたい。问题は、どう続けていくかですよね。马搬で生计を立てている人がいれば、『自分もやってみよう』という人が出てくるきっかけになる。そういう意味でも、伊藤くんのように兴味をもって来てくれる人がいるのは、本当に嬉しい」。马搬を取り巻く环境を整えることで、马搬を仕事としてより强く育てたいという、西埜さんの强い想いを感じました。

(师弟の绊を见せてくれた西埜さんと伊藤さん。马小屋の前で)
自分の目でみて、たしかめて

私たちが最初に「厚真町」と聞いてイメージしたのは、2018年に起きた北海道胆振東部地震でした。深刻な被害状況は連日ニュースで取り上げられ、その光景は私たちの心に深く残りました。町民はもちろん、道内さらには道外の人々にとっても、大きな出来事であったに違いありません。しかし、震災に見舞われた事実と同時に、当然ながらそこには被災前から続く人々の暮らしがあり、厚真町ならではの風土が培われているはずです。新聞やテレビといったマスメディアからの情報に頼るだけでなく、実際に自分たちの目を通して向き合ってみたい。そんな思いを抱きながら、震災からちょうど1年が経った2019年9月、厚真町を訪れました。今回から3回にわたり、「厚真に生きる、厚真に学ぶ」と題した記事を連載します。 第2回は、厚真町の歴史にまつわるお話です。

《第2回に続く》

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2020.01.08

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