越後谷 駿(2017年度 本科/学生)
今回は吉岡恭子先生(株式会社ARTCOCO代表取締役)をお招きしました。吉岡先生は、建築の中にアートを使って、公共空間を利用する方々の心をつないでいます。このような環境づくりは、アートに対して身近ではない方を対象とします。また、利用者や設計者など多様な方々との対話が必要であり、科学技術コミュニケーションと共通点があります。この讲义では、医療施設を例にコミュニケーションの目的や環境づくりで大切にしていることについて話して下さいました。
アートを使って利用者の心のトーンをあげる
中东远総合医疗センターの例を见ていきます。まずは医疗関係者、设计者といったそれぞれの立场で建物内の改善点など、自らの想いを共有します。コミュニケーションは、异なる想いを共有することが目的であり、异なる感覚や认识を合わせていく最强のツールだと言います。
コミュニケーションを通して共有されたアイディアから、小児病栋の入り口には大きな木の作品を取り入れることになりました。亲に连れられた子供が、何もない真っ白な空间に入るのはとても怖いものです。この作品は、子供が入り口の大きな木を见て、少しでも楽しいと感じてもらいたい、という想いで设置されました。そして子供が描いた絵を掛けられたり、クリスマス用に饰りができたりと入院后も生活の楽しみとなります。
またエレベーターホールのような特徴のない迷いやすい场所にも、アートが取り入れられます。例えば「この作品の隣にはエレベーターがある」というように、利用者が感覚的に场所を认识してもらうことを目的としています。饰るだけではない、空间に役割を持たせるアートです。
明快でブレない提案
まだ実在しない企画を共有する际のコミュニケーションで最も大切なことは、提案する侧が明快でブレないことです。そうすれば、闻き手も理解しやすくなり、他者を巻き込むことができます。そのためにアートコンセプトを决めます。新小山市民病院ではアートコンセプトを「ここでしかできないグリーンホスピタルをつくる」としました。そこで、緑に囲まれた病院の外にある、ここでしか採れない植物や叶の模様を患者支援センターの仕切りガラスと柱にデザインします。このおかげで、入りにくさを軽减することができました。
地域にあるものを生かした环境づくり
広岛修道大学の环境づくりを见ていきましょう。広岛県の产业シェアが大きい布地と、大学のスクールカラーである青色とをかけて、地元产の布地を使った蓝染めのワークショップを大学で行いました。完成した布地を丸いレリーフに仕上げ、公共空间の壁に利用します。このように驯染みのあるものを生かし、公共空间に取り入れることで利用者の心をつなぎます。
今まで见てきた事例は、公共空间にアートを入れることが目的ではありません。アートは手段で、心のトーンをあげることが目的です。自分がやりたいことに対して、手段が目的となってしまいがちです。そのため、目的と手段の区别を明确にしておくことは重要だと吉冈先生は言います。
そしてこのようなアイディアは自分自身が見たこと、経験したこと、考えたことからしか生まれません。そのため、自分の中の引き出しを増やし、客観性を意識しながらひたすら考えるという、自分自身との対話も行ってほしいと讲义を結びました。
吉冈先生、ありがとうございました。


