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モジュール4-2「『闻く』ことによる合意形成」(10/18) 宫内泰介先生讲义レポート

2025.11.10

川邊真理(2025年度 选科叠 受講生)

モジュール4では、科学技術と社会との接点に生じる多面的課題についての具体的な事例を通して、課題解決のためのヒントを探っていきます。第2回は、北海道大学大学院文学研究院教授の宮内泰介先生に「『闻く』ことによる合意形成」というテーマでご講義いただきました。

颁辞厂罢贰笔受讲生は自然科学を学んできた人も多いのですが、讲义では社会学などの人文科学に触れる机会も多く、多様な考え方を知り、课题を别の视点で捉えるよい机会になっています。

1.科学の不确実性と社会の复雑さ

「自然は保護するものだ」という考え方は、もはや私たちにとって常識ともいえるかもしれません。しかし、アフリカには、自然保護政策によって住んでいた土地を追われ、生活が困難になっている人々が多くいます。それが「自然保護難民(conservation refugees)」です。自然保護難民が生まれるのは、この地で自然保護政策を進めてきた人々が、科学の不確実性、社会の複雑さを忘れているからだと先生はおっしゃいます。

「森がサバンナ化しているから人を追い出して緑を増やそう」といったとき、果たしてそれは真実でしょうか?调査の结果、実は人间が住んでいるからこそ森が形成?维持されてきたとわかったら?自分の常识に照らして见えていることがいつも真実であるとは限りません。――アザラシによる渔业被害についても、同じことがいえます。そもそもアザラシの総数は増えているのか减っているのか、科学的に头数调査をすることは可能ですが、把握できた头数がすべてなのかはわかりませんし、年によって増减もあるでしょう。渔业被害が少なかったとしても、その年の渔果が芳しくなかったために渔をやめてしまったのかもしれません。被害额が少ないからといって问题が解决したわけではありません。ですから、社会课题は复雑で、解决が难しいのです。

讲义では、今年特にホットな话题でもあるクマ被害について、架空の市の状况を踏まえてどのように解决していくかをグループで议论し、多様な视点、解决の困难さを実感しました。

2.合意形成って何だ?

社会课题には、科学的な解というものはありません。科学的な知见を积み上げ、多様なステークホルダー(利害関係者)が集まって合意形成をした结果が解(社会的解)となります。

しかしそもそも、合意形成とは何でしょうか。多様な意见を持つ人々の意见を一致させることなど不可能です。先生は、合意とは多角的なコミュニケーションに基づく纳得であり、合意形成とは纳得へ向けた多角的なプロセスの束であるとしています。ワークショップなどでの话し合いにとどまらず、反対运动、调査、日常的な会话、共同作业などさまざまな手法を组み合わせることで、「ここまで话し合ったし违う意见も理解できた」「意见は违うけれども反対はしない」という状态(=合意形成)を目指すというものです。これらのプロセスに含まれる重要なものとして、「闻く」という行為があります。

3.闻くこと?质的データの重要性

社会の复雑さ、やっかいさは、人々の意味世界が复雑に折り重なっていることによって生まれています。人々が见ている世界=意味世界は言叶で形成されており、他人の意味世界を理解するためには、その人の言叶を「闻く」必要があります。これは人々が构成する社会についても同じです。何か问题を感じている人がいるとき、何が问题なのかは外から见ているだけではわかりません。その人に近づき観察し、话しかけ、闻くことで、何が问题なのか、何をもって解决といえそうなのかが见えてきます。

社会を调べることは、すなわち「言叶(=质的データ)」を集めて调べること、「闻く」ことです。闻くことによる质的调査は、単なる蚕&补尘辫;础ではなく、対话的に行われることが重要です。例えばインタビュー调査をする场合、観察によって立てた仮説に基づき质问し、その回答を分析することで问题の构造化がなされ、仮説がアップデートされます。次はアップデートされた仮説に基づき质问し、回答を得て问题の构造化を行います。これを繰り返すことで、1回のインタビュー调査の中で、问题の轮郭がわかってくるのです。

合意形成の作业は、社会学の调査における「闻く」作业と同じかもしれません。解决策を见出そうと话し合うとき、私たちはただ自分の意见を言うだけではなく、共同でデータを分析しているのです。「闻く」という作业の累积、継続が合意形成の本质であり、それこそが科学の不确実さ、社会の复雑な问题を解くプロセスだろう、远回りで面倒だけど有効な策だろう、と结びました。

さいごに

私たちが今直面しているさまざまな问题は、自然科学的な発见や技术の进歩があればすぐにすべてが解决する、というものではありません。社会问题には、人々の気持ち?想いが深く関わっています。正解のない问题を解决していくために必要なことは何か。「闻く」ことの重要性とともに、刻々と変化する想いを闻き、考え続けていくことの重要性を强く感じた讲义となりました。