江澤 海 (2021年度本科生/社会人)
科学館や博物館、メディア、教育機関、企業など、科学技術コミュニケーターの活躍の場は多岐にわたります。モジュール6の2回目では、科学の成果が生まれる現場である研究機関で長年広報に携わっている仓田智子先生( 広報室 特任助教)に「研究机関の広报担当?社会と研究者の间で」と題し、ご讲义いただきました。

研究機関の広报担当は発展途上
研究機関の広报担当者は、いわば研究者と社会の間の“触媒”。研究活動や研究者を理解しつつ、社会のニーズを探ることで、実りある共創の形を目指しています。
しかし研究机関によってそのポストや役割もさまざまです。仓田先生も研究成果をどのように社会に届けるか、またその研究活动をどのように社会に还元するか、何が正解かはまだ明确になっていないといいます。このような中、试行错误しながら行っている広报活动についてご绍介くださいました。
広报担当者としての倉田先生の心構え4箇条
その1:とにかく前向きに社会からの相谈内容に向き合うこと
広报担当者は社会との窓口です。窓口で拒んでしまうと、社会との繋がりは途絶えてしまうので、とにかく前向きに話を聞くことから始めます。

その2:自分の手を动かす広报
费用が発生するとなかなか行动しにくいもの。しかし、自分で手を动かすことでさまざまな施行ができます。「自分でできそうならやってみよう!」という心がけで仓田先生は动いています。
(「研究所の奥行きを见せたい」という所长のリクエストから、仓田先生自らドローンで撮影。动画编集も先生が行いました)
その3:さまざまな立场の気持ちになって考える?调整する
広报担当者は社会との窓口として、さまざまなステークホルダーと接します。例えば、研究者、記者、所長、役所の人など…… それぞれの気持ちや事情に立ってみて、「では広报担当者として何をするべきか」を考えるといいます。例えば、研究成果について記者会見を実施する場合、記者の立場に立ち、よりわかりやすく、楽しくなるような実物を用意することもあるそうです。
その4:研究者と协働する広报
研究者の時間を奪わず、かつ効果的な広報を目指しているという倉田先生。例えば、見栄えのある写真は広報上で非常に効果的です。しかし、その撮影には時間や労力はもちろん、技術や広報的な視点が必要です。広报担当者がこの部分を担うことで、研究者は時間を節約できるだけでなく、研究紹介や研究費獲得のプレゼン用に良質な素材を同時に得ることができるのだそうです。

こだわりのプレスリリースで、研究成果を社会に届ける
仓田先生が特に力をいれて取り组んでいるものが“プレスリリース”。マスメディア向けに研究成果やニュースをお知らせする文书のことです。
2006年の着任当初、基础生物学研究所にはプレスリリースの制度がありませんでした。その結果、マスメディアに取り上げられる研究者と、そうではない研究者でマスメディアとの距離に不公平さや不満が生じていたといいます。そしてなによりも「せっかくの研究成果を、専門家しか知ることができていないのはもったいない」「研究者の大切な研究成果を広く社会に届けたい」という想いを持った倉田先生は、プレスリリース制度を整えました。

オンライン中継イベントで研究所と人々をつなぐ
基础生物学研究所らしい科学技術コミュニケーション活動を模索する倉田先生。リアルな研究者の姿を多くの人々に見てもらうために考えたのが、ニコニコ生放送での長時間オンライン中継イベントでした。

年1~2回开催でシリーズ化されるほどの大人気企画となり、今では番组で得た収益を出演した研究者に研究费として还元しています。
コロナ禍における研究機関の広报担当者
2020年2月27日、安倍晋叁首相(当时)から全国の小?中学校、高校に対し春休みまで临时休校を要请する考えが表明されました。授业が无くなる子ども达のためになにかできることはないかと、翌朝、仓田先生は科学技术広报研究会(闯础颁厂罢)のメーリングリストに呼びかけました。
その呼びかけに数多くの机関が反応し、「」が立ち上がります。迅速な対応と、見応えのあるコンテンツ、各機関の広报担当者がマスメディアに一斉に情報を提供したこともあり、多くの反響があったといいます。「研究机関の広报担当者の存在感も、ちょっとだけ示せたかな?」という倉田先生の一言も印象的でした。

これからの科学技术コミュニケーション
さまざまな科学技術コミュニケーションを実践してきた倉田先生ですが、「この分野には確立した方法論はない」といいます。自分がなにを伝えたいのか、なにが得意かを考え、どんどん挑戦しアプローチすることの大切さを私たちに強く伝え、讲义は終わりました。
讲义を通じて
私も研究機関の広报担当として活動しているため、倉田先生の広報に対する心構えや、実践を踏まえた活動内容を非常に興味深く拝聴しました。科学の成果が生まれる場だからこそ、研究機関の広报担当者には、科学技術コミュニケーターの中でも、柔軟性?迅速性が求められる機会が数多くあります。社会と研究者の実りある共創の形をつくる一助となれるよう、社会との窓口として前向きに行動しようと改めて思いました。
仓田先生ありがとうございました。
