四倉 直弥(2019年度 本科/学生)
2019年1月26日(日)14時より、札幌市資料館 刑事法廷展示室にて、麻豆原创対話の場創造実習 劇団DoSTEP2019のメンバーが中心となり、讨论剧と评决ワークショップ「“わたし”は机械で取り戻せるのか? ~讨论剧で问うブレイン?マシン?インターフェース开発の是非~」を开催しました。当日は午前中の雪も止み、すっきりとした青空の下、54名の観客のみなさまにお越しいただき、立ち見の方も出るほどでした。
(讨论剧の様子)
科学技术について、“あなたも一绪に”考える
剧の舞台は2030年、社会的に影响の大きい科学技术开発を进めるかどうかを、市民自らが议论し决める场として市民法廷が开かれることとなりました。今回のテーマは认知症の治疗のため、脳に机械を埋め込み患者の认知机能を补完する技术「ブレイン?マシン?インターフェース(叠惭滨)」の基础研究を进めるかどうかでした。法廷は陪审の代表となる代理人からの质问に対して、肯定侧?否定侧?认知症介护の当事者の代表が答える形で进んでいきます。叠惭滨によって「记忆や自立した生活を取り戻すことができる」と肯定侧は主张しますが、否定侧は「弱者を认めない不寛容な社会を作り出す可能性を持つ」と警鐘を鸣らします。一方で当事者代表はそもそもこの技术によって「“わたしらしく”生きることができるのか」と大きな问いを投げかけます。
“わたしらしさ”とは何だろう?
“わたしらしさ”は脳に機械を入れることで変わるのか? もし変わるのならばそれは良いことなのか悪いことなのか? “わたしらしさ”について、議論は白熱していきます。肯定側は「その人らしさが変化しても、機械を入れると本人が決めたのならば問題ないのだ」と言い、否定側は「外的な機械によってその人らしさが変化することは人間の尊厳に関わる」と言います。対して当事者は「わたしらしさは脳にあるのではなく、人との関係性にあるのだ」と主張します。いったいこの技術は、社会をそしてわたしたちを幸せにするのだろうか? 劇は陪審員である参加者の皆さんに問いを投げかけたまま一度幕を下ろします。
それぞれが“自分ごと”として考える
陪審員の皆さんは約40分の観劇後、5班に分かれ评决を考える「评决ワークショップ」を行いました。ワークショップでは今回のテーマBMIの基礎研究開始の是非について陪審員それぞれが立場を述べその理由を話しました。陪審員の皆さんは議論を通じて時に意見を戦わせたり、相手の意見に納得し意見を変えたりしながら約50分の“おしゃべり”を楽しんでいるようにも見えました。最終的に班ごとに各自の意見をすり合わせ一つの评决へと意見をまとめていきます。そうして「评决ワークショップ」は終わり、討論劇?判決編へと再び幕が上がります。
(评决ワークショップの様子)
“わたしの大切なもの”を取り戻すには?
各班の代表の方には劇中、陪審員として各班の评决とその理由を発表していただきました。その結果、脳の認知機能を補完するBMIの基礎研究の開始に対して賛成4、反対1で基礎研究の開始を認めるという评决が下されました。しかし、「能力増強につながらないように規制する」「BMIが脳に及ぼす影響を考えながら研究を常に評価?監視する」といった条件も提示されました。そしていよいよ劇はフィナーレを迎えます。そこでは肯定側も否定側も「認知症になった大切な人」を抱えていて、それぞれが自分の考えの下、その大切な人を救おうとしていたという事実が明かされます。大切な人との大切な関係を取り戻すために必要なものとは? 劇は二人が幸せになれる道を共に模索する姿を残し、幕を下ろしました。
(评决の発表)
(ラストシーン)
“当事者の声”に耳を倾け、“価値観”に目を向ける
今回劇を作るにあたって様々な人にお話しを伺いました。中でもNPO法人北海道若年認知症の人と家族の会の平野 雅宣さん、平野 憲子さんに伺った認知症の話は大変貴重でした。認知症にならない技術や認知症を根治する薬ができるのであれば是非開発してもらいたいし、そうした技術は必要です。しかし認知症になったときにどう付き合っていくかを考えることも同じく大切なことです。そしてその付き合い方も人の個性の分だけ道があるのです。こうした当事者の声を聞くことは私達が科学技術を誤って使わないためにもとても大切なことです。しかし、お二人のお話や複雑な心の内は私たちがそのまま言葉で述べても、きっと伝えることは難しかったでしょう。当事者の声から少しづつキャラクター像を練り、劇として表現することを通じて初めて観客の皆さんに伝わったのではないかと感じました。
(狈笔翱法人北海道若年认知症の人と家族の会を访问し、お话を闻きました)
そして仮に自分が当事者になったとしてもこの科学技术を利用したいかどうかは人それぞれ意见が分かれることでしょう。ワークショップの中でも自然な老いを认めながら终わりを迎えたい人、周りの手に负担をかけたくない人など、様々な意见を持つ方がいらっしゃいました。その意见の违いの里にはそれぞれが大切にしたいこと<価値観>があります。自分の考えの里にひそむ価値観に目を向けてみる、そして他者の価値観を知り受け入れる、ということは日常生活では中々できないことかもしれません。各々の価値観に认めあいながら共に未来を作っていく、その难しさと大切さを感じられるようなイベントになりました。
参加者の皆さん、ありがとうございました。
対话の场の创造実习 「劇団DoSTEP 2019」:鈴木 朝子?鈴木 伶音?本間 祐希?四倉 直弥?渡邉 洋子
*このイベントは科学研究費助成事業「演劇を用いた科学技術コミュニケーション手法の開発と教育効果の評価に関する研究(基盤研究C 19K03105)」(研究代表:種村 剛)の助成によって実施されている。








