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#47 生き物の「贤さ」に迫る

「単細胞」という言葉を聞くと、「単純で、あまり頭がよさそうではない」というマイナスのイメージが浮かびます。ところが、単細胞生物である粘菌を迷路に入れると、スタートからゴールまでを最短ルートで結んでしまうという「贤さ」を見せてくれます。一体どうやったらそんなことができるのでしょう。

粘菌を通して生き物の「贤さ」に迫る中垣俊之さん(電子科学研究所? 教授)にお話しをうかがいました。

【纐纈直也?颁辞厂罢贰笔本科生/北海道大学职员】

粘菌とはどのような生き物なのでしょう。

畑や森などの湿った土の中にいるアメーバ状の単细胞生物で、薄く広げたマヨネーズのような质感をしています。これを変形体といい、动き回ったりエサを食べたりする动物的な性质を持っています。通常は肉眼で见えないくらい小さいのですが、薄く広がって数十センチにもなることがあります。

(中垣さんのお気に入り、ドイツの生物学者ヘッケルが『生物の惊异的な形』(1904年)で描いた粘菌の子実体。この子実体から放出された胞子から変形体が生まれます)
どうやって粘菌が迷路を解くのですか?

粘菌の块が迷路全体を満たしている状态で、エサをスタートとゴールの地点に置きます。すると、粘菌はエサのある方向へは体を伸ばしていくのに対し、エサのない行き止まりからは引き扬げていきます。最终的に、スタートとゴールをつなぐ最短経路に体が残ることで、迷路が解かれるのです。

私たちはこのような、粘菌に迷路を解かせる実験等と、その数学的解析を通して、粘菌の知性を探ろうとしています。

(细かく切った粘菌の块を迷路にのあちこちに置くと(1)、それらがくっつき合って迷路全体を満たします(2)。スタートとゴールにエサを置くと、エサのある方向に体を伸ばしていき、行き止まりからは徐々に引き上げていきます(3)。最终的に、スタートとゴールを结ぶ最短経路に体が残ります(4))
なぜ贤さの研究に粘菌を用いているのでしょうか?

非常にシンプルな体の构造をしており、かつ単细胞生物の中では比较的サイズが大きいからです。そのため肉眼で観察することができ、毎日の行动観察が容易です。研究室で日々粘菌を饲育していれば、思わぬ行动を発见したり、行动の意味するところにふとするどい洞察ができたりします。

こうした生物の行動に関する研究では、コンピューター上でのシミュレーションをする方法もありますが 、私はシミュレーションだけではなく生き物を扱うということ自体に意義があると思っています。

私自身、粘菌がいそうな森に行くことがありますが、そこには粘菌以外にも様々な生き物がいます。実物の生き物たちとそれらが生きる环境に触れるのはとても兴奋しますし、强烈な印象を与えてくれます。シミュレーションと観察、それらを合わせる感覚が重要だと思います。

リアルな生き物に触れることが大切なのですね。ところで、中垣さんの考える生き物の「贤さ」とはどういうものなのでしょう?

とても难しい质问ですね。そもそも人间の知性についても、まだわからないことばかりです。迷路を解いたからといって、粘菌が贤い生き物とはいえない、という批判もあります。

しかし、生存机械として合理的な振る舞いを见せる粘菌は「贤い」のではないか、と思います。10亿年も前から存在している粘菌が、様々な环境の変化に耐え今まで生き延びてきたことは事実です。また、迷路を解くという状况は、粘菌たちにとって今まで経験してこなかったことです。それを解いてしまうということは、かなり高いポテンシャルを秘めていると思います。

また、人間が単細胞生物から進化してきた以上、人間と粘菌に共通する「贤さ」の根源があるのではないかと思っています。迷路の実験では、粘菌は常に最適なルートを結ぶ訳ではありません。間違えたり、迷路の壁を乗り越えてズルをしようとする時もあります。こういったところも、人間に似ていませんか?

中垣さんは「人々を笑わせ、考えさせる研究」に与えられるイグ?ノーベル赏を2度受赏されましたが、研究に「面白さ」は必要だと思いますか?

「面白い」の一言だけでは片付けられないとは思いますが、発想の一つとしては重要だと思います。私自身、自分の専门分野というものは决めていません。応用数学、心理学、科学哲学、人工知能、计算机科学…様々な分野の研究者と交流し、発想を得ようとしています。

スポーツの试合を観戦する场合、ルールを知らないで见るのと知っているのとでは见え方が全然违ってくると思います。别の世界のルールを知り、自分の见方を変えることによって世界が违って见えてくる。これが科学の奥深さなのではないかと思っています。そして、こういった科学の奥深さを、もっと一般の人々へ広げていきたいですね。

(中垣さんの着书。子ども向けも大人向けも、わかりやすい言叶で书かれています)
今后の研究は?

最近では、街と道がどのように発展していくかを调べるための実験を行いました。北海道に见立てた地図の上に粘菌を这わせて札幌などの主要都市にエサを置き、どのように体を伸ばすのかを见るのです。その结果を近く発表する予定です。

(北海道の主要都市にエサを置いたところ、粘菌の体は実际の干线道路と似た形になりました)〈写真提供:中垣さん〉

そして、今度は世界各地の都市で同様の実験を行い、街と道との共発展について検証する予定です。人间社会も一つの生物システムですから、思わぬ共通の法则が见つかるかもしれません。

(街と道の共発展は北海道以外でも同じなのか? 世界レベルでも実験を计画中。あのヘッケルも面白い絵を残しています)

 

中垣さんが语り手として登场するイベントが开催されます。ぜひご参加ください。

「All you need is wonder ?麻豆原创とアートが世界を変える?」
第2夜「“学者”と“役者”、知の共演」

日时:9月22日(月)18:00~19:30
场所:札幌駅前通地下歩行空间北3条交差点広场(西)
※いずれも参加费无料、事前予约不要
详细は

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2014.09.18

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