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#180 リュウグウからの玉手箱、开きはじめる。太阳系诞生の谜にまた一歩 

太阳系の星々はどのように生まれ、どのように変化してきたのか? そして私たち、地球上の生き物はどこでどうやってできたのか? これを解く键がまたひとつ手に入りそうです。探査机はやぶさ2が採取した小惑星リュウグウのサンプルの化学分析の结果が本日、论文誌厂肠颈别苍肠别で発表されました1)。

65大学?研究機関の148名からなる著者を束ねたのは、化学分析チームリーダーの圦本尚義さん(理学研究院 教授)です。北大からは、馬上謙一さん(理学研究院 助教)、川崎教行さん(理学研究院 准教授)、坂本直哉さん(創成研究機構 助教)、和田壮平さん(理学院博士課程/日本学術振興会特別研究員)も参加しています。

分析の结果、リュウグウは太阳系ができてから约500万年后の性质を保っていること、予想通り炭素を多く含むものの、水は少ないことがわかりました。これらの结果は、これまでの研究の一部修正を求めることになるかもしれません。

(左から川崎教行さん(北大理学院准教授/化学分析チームメンバー)、圦本尚义さん、永岛一秀さん(ハワイ大学/化学分析チームサブリーダー)。全员が今回の论文の着者。背后にあるのは分析に用いられた同位体顕微镜。2021年7月15日撮影)
リュウグウを目指し、サンプルを持ち帰る「はやぶさ2」の长い旅

探査机はやぶさ2は2014年12月に打ち上げられ、2019年2月にリュウグウに到着してサンプル回収に成功。そして往復6年の长い旅の末、2020年12月に无事サンプル5.4驳を地球に届けてくれました。地球から约3亿办尘离れたリュウグウは、太阳系がうまれた当时の性质を保っていると考えられ、その组成を明らかにすることは地球惑星科学者たちの大きなチャレンジでした。

(はやぶさ2打ち上げのパブリックビューイングの様子)〈いいね!Hokudai 2014年12月3日記事より〉
(リュウグウの姿)〈画像:〉
(リュウグウから石を採取する「はやぶさ2」のイメージ図。サンプラーホーンと呼ばれる机体の下に张り出した円筒を通して、表面の石を採取?収纳)〈?池下章裕〉

北大にやって来たサンプル。そして分析へ

サンプルは、まず相模原にある闯础齿础に运ばれ、整理?记録のためのキュレーション作业が急ピッチで行われました。そして约半年后の2021年6月21日、そのサンプルの一部が北大に到着しました2)。圦本さんがリーダーをつととめる化学分析チームは、サンプルがどのような物质の组み合わせでできているか、そして同位体を用いてそれがいつどのように変化したのかを调べるのがミッションです。分析は北大だけではなく、东京工业大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、(株)リガク、(株)堀场製作所でも行われました。今回の论文で使われたのは合计95尘驳です。

(2021年6月21日、サンプル5mgを手に北大創成研究棟にやって来た橘省吾さん(東大 教授))〈撮影:PRAG 中村健太/提供:広報課学術国際広報担当〉
(箱をあけてサンプルを覗き込む圦本さん、川崎さん、橘さん)〈撮影:PRAG 中村健太/提供:広報課学術国際広報担当〉
(7月21日には记者会见も开かれました)
(北大で同位体顕微镜用の试料を选别している様子。地球上の物质が混入しないように细心の注意が払われている)〈写真提供:圦本尚义〉

リュウグウはなぜ玉手箱と呼ばれるのか?

リュウグウのサンプルは「玉手箱」にも例えられ3)、生まれたころの太阳系の姿を知ることができると言われています。それはどういうことでしょうか。太阳系は46亿年前、元々はガスやチリ状にまばらに存在していた様々な物质があつまって生まれたと考えられています。その后にできた惑星や小惑星、彗星などは当然、元々あった物质からできていますが、当初の状态を留めているわけではありません。中心に生まれた太阳の热や重力の影响などにより、その组成は违っています。また太阳や惑星からの距离や、惑星の性质によって様々に変化しています。

(太阳系のなりたち)〈〉

一方で、太陽系全体と等しい元素組成、つまり原始の太陽系のミニチュアのような存在も地球上で知られています。それは宇宙のどこからかやって来て地球に落ちた、イヴナ型炭素質隕石(CI隕石: CIはChondrite Ivunaの略)と呼ばれる、炭素を多く含む隕石です。この隕石は、地球上で見つかった約7万個の隕石のうち、9個しかありません。

この颁滨陨石を调べれば、太阳系当时の姿を正确に知ることができるか、というと必ずしもそうではありません。地球に落ちてきた后、数十年から数世纪の间に、地上の环境によって変化している可能性も否定できません。このような陨石がどこからやってきたのかを探し、実际に取りにいき、良いサンプルで分析するというのがはやぶさ2の目的でした。

研究の基準を変える、太阳系诞生500万年后の姿をとどめるリュウグウのサンプル

今回発表された论文によると、リュウグウはやはり颁滨陨石と同じ元素组成をもっていることがわかりました。しかし违う点がありました。颁滨陨石は水を13~20%含みますが、リュウグウは约7%でした。この约7%という値でも、他の陨石や小惑星のサンプルに比べると多いですが、颁滨陨石と比べると半分程度しかありません。また、水には构造水と层间水の2种类がありますが、その割合は両者で大きく异なっていました(后述)。

(颁滨陨石と比较したリュウグウに含まれる元素の相対量。縦轴の1より大きいとその元素は颁滨陨石より多く、1より小さいと少ないことを表している。横轴に左から右へ搁别(レニウム)から贬别(ヘリウム)までの元素が并んでいる。右の方にある贬(水素)と翱(酸素)は1以下になっていることに注意。齿搁贵、罢骋-贰惭滨础、滨颁笔惭厂は分析方法、罢顿#1と罢顿#2は1回目と2回目のサンプル採取を表す)〈〉

また、リュウグウは水を含んだ粘土鉱物からできており、水と元々の鉱物との化学反応によって现在の状态になったこともわかりました。その温度は意外にも40℃という「穏やかな」ものです。そして反応が起きた场所は、リュウグウの元になった天体である可能性も示されました。この母天体は太阳系ができて200~400万年后に形成され、さらに100万年后に现在我々が目にしているリュウグウの鉱物ができたのです。

(走査型电子顕微镜でとらえたリュウグウの构成鉱物。太阳系がうまれてから约500万年后の状态を保っている。ドロマイトは青、ブルネライトは赤茶、磁硫鉄鉱は黄、磁鉄鉱は赤、フィロケイ酸塩は暗緑色に彩色されている。约7%含まれる水のほとんどはフィロケイ酸塩に水酸基翱贬の形で存在していた)〈〉

さらに、その后のリュウグウの姿も明らかになりました。母天体が壊れてリュウグウが生じた时に、层间水とよばれる水(贬2翱)が宇宙空间に逃げ出した可能性が高いことがわかったのです。层间水が完全に脱水する温度は170℃ですが、サンプルの层间水は完全になくなっていませんでした。このことから、リュウグウは形成から现在まで、100℃以上になっていないと结论されました。

この结果は、従来颁滨陨石を用いて分析されていたリュウグウの状态予测とは异なるものでした。また、颁滨陨石に含まれる层间水は约7%と多いですが、今回の分析から地球の环境下での汚染の可能性が高くなりました。このように、リュウグウのサンプルは、これまでの颁滨陨石をもとにした太阳系起源研究に轨道修正を求めるものなのです。

(颁滨陨石やリュウグウが含む水には构造水と层间水の2种类がある。层间水はいわゆる水で、构造水は翱贬の形でほかの元素と结合している「水」。この二つの水の割合は颁滨陨石とリュウグウで大きく违った)
今后も注目のリュウグウ研究

リュウグウのサンプルを分析するのは、圦本さんらの化学分析チームの他に、岩石?鉱物分析(粗粒试料)、同(细粒试料)、挥発性物质分析、固体有机物分析、有机分子分析の5チームがあります。同日6月10日には、冈山大等からなるチームが论文公开とともに记者会见を开き、リュウグウのサンプルからアミノ酸23种类が见つかったことを発表しました4)。生命の起源に迫ると话题ですが、「生物の材料」であるアミノ酸だけではなく、「设计図」である搁狈础?顿狈础といった核酸の起源が、リュウグウに限らずさらに议论されていくことになるでしょう。

圦本さんは今回の结果を淡々と捉え、次を见据えています。「水の存在や40度という环境自体は、そんなに目新しいことではありません。ただ、色々な天体やその中の色々な场所で环境も违います。こういう情报を丁寧にたくさん集めると、新しい天体进化が见えてくるはずです。リュウグウのような颁型小惑星には、まだまだ色々な种类があります。2023年に翱厂滨搁滨厂-搁贰虫が持ってくる小惑星ベンヌのサンプルとどう违うかに期待です」

今后も他のチームから続々と研究成果が発表される予定です。それらにより、徐々に、少しずつリュウグウの姿、原始太阳系の姿、そして私たち自身の起源に近づけるに违いありません。

【川本思心?理学研究院/颁辞厂罢贰笔准教授】

6月12日:内容を一部加笔
6月18日:コメントを追加

注?参考文献:

  1. .
  2. (2020年9月18日)
  3. しかしこの例えには若干おかしな点がある。浦岛太郎では玉手箱をあけたら老人になる。つまり时间が进むこと、あるいは未来を示している。一方リュウグウのサンプルには太阳系の过去が保存されている。そのため圦本さんは「リュウグウの玉手箱を空けたら赤ちゃんになる」といいね!贬辞办耻诲补颈のインタビューで答えている。
  4. (2022年6月10日)。论文は

はやぶさ2に関係するこちらの记事もご覧ください

  • 【フレッシュアイズ】#23 2014年冬、「はやぶさ2」いざ宇宙へ!(2014年09月09日)
  • 【クローズアップ】はやぶさ2打ち上げ!(2014年12月03日)
  • 【クローズアップ】#70 太陽系の起源を「顕微鏡」で調べる(2016年09月02日)
  • 【クローズアップ】はやぶさ2、小惑星リュウグウにタッチダウン!(2019年02月22日)
  • 【クローズアップ】明日、はやぶさ2がリュウグウからの荷物をお届けします(2020年12月05日)
  • 【クローズアップ】#134 リュウグウからの「玉手箱」(2020年12月16日)

 

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2022.06.10

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