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弦巻楽団×颁辞厂罢贰笔『オンリー?ユー』を観剧しました

2021.11.16

剧団「弦巻楽団」と北海道大学颁辞厂罢贰笔が演剧を用いた科学技术コミュニケーションに取り组むコラボレーション企画の第3弾として、2021年11月10日、11日に『オンリー?ユー』が上演されました。初日は43名、2日目は42名の観客で満员御礼となりました。演剧のテーマは「ヒト受精卵に対するゲノム编集」。私も11日14时からの回を鑑赏しましたので、感想を记事にまとめました。

五十嵐 茉莉子(2021年度 選科/社会人)

(コーディネーターの工藤を演じた、佐久间泉真(中央))〈写真提供:弦巻楽団〉

舞台は、ヒト受精卵のゲノム编集が可能になってから20年ほど経った世界。
若い夫妇は悩んでいる。
自分たちの遗伝子の中に、発症すれば长くは生きられない病気の因子が含まれている。その遗伝子を受け継いだ我が子は、その病気を発症するリスクを抱えて产まれてくることになるが、受精卵の段阶でゲノム编集すればリスクを大きく减らすことができる。だが、遗伝子に手を加えることに対して、夫妇で意见が分かれていて、决断することができないでいる。
受精卵のゲノム编集に携わる研究所では、彼らのような夫妇が経験者に悩みを相谈できるよう、実际に我が子へのゲノム编集を「する」「しない」という选択をした夫妇から话を闻ける场をセッティングしている。
今回は、ゲノム编集を「しない」选択をした夫妇が、悩める若い夫妇の质问に答えてくれることになった。コーディネーターとして専门家が同席し、お互いのプライバシーに踏み込まないよう念押しした上で、両者の対话が始まっていく。

(ゲノム编集を迷う若い夫妇を演じた、赤川枫(左)と佐藤みきと(右))〈写真提供:弦巻楽団〉

登场人物が放つ言叶はどれも共感せずにはいられないものばかりで、観剧しているうちに私も自分のことのように考えてしまった。
ゲノム编集を「しない」ことを选んだ夫妇の话を闻いている时は「确かに、遗伝子操作の影响が子?孙の世代でどんな风に现れるか分からないのに、踏み切るのは怖いな」と思う。
ゲノム编集を「する」ことを望む登场人物の话を闻いている时は「そうだよね、我が子には长く生きてほしいと思うのは自然なことだよね」と思う。
「ヒト受精卵のゲノム编集」というテーマが演剧という手法で语られることによって、生身の人间の悩みとして自分に共有されていくのを感じた。

(ゲノム編集を選ばなかった夫婦を演じた 井上嵩之(左)と塚本奈緒美(右))〈写真提供:弦巻楽団〉

上演会场となったのは、札幌文化芸术交流センター厂颁础搁罢厂の厂颁础搁罢厂スタジオ〈2贵〉。廊下侧の壁が一面ガラス张りになっていて、客席の私たちから见ると、外を歩く人たちが登场人物たちの背景になる。演剧の中の世界が、我々の生きる现実と地続きにあることを示しているようだった。

(会场の厂颁础搁罢厂スタジオはガラス张りになっている)〈写真提供:弦巻楽団〉

対话が进む中で、ゲノム编集を「する」ことを选べば、社会に差别や分断を生み出してしまうのではないか、という投げかけが出てきた。
それを闻いた时、正直それは絶対にあるだろう、と私も思った。
现在の日本では、出生前诊断が普及してきている。母体から採血する新型出生前検査や、子宫内の羊水から胎児の细胞を取得する羊水検査などで、胎児に染色体异常があるかどうかなどを调べることができる。
以前、先天的な病気を持って产まれてきた子どもの亲が支援を求めるネットニュースを読んだ时、コメント栏に「高齢出产なのに出生前诊断をせずに产んだのだから自己责任」と书かれているのを见て愕然とした。出生前诊断は、希望する亲が受けることができる「権利」のはずなのに、选択肢として存在しているだけであっという间に「出生前诊断を受けずに产むことを选んだのだから自分たちのせいだ」と自己责任论に里返ってしまう。
この演剧の世界のように、ゲノム编集を受けられる时代になれば、ゲノム编集を「しない」で产まれてきた子どもが病気を発症すれば「亲の自己责任だ」と言われてしまうのだろうか。

(头上には糸が张られています)〈写真提供:弦巻楽団〉

悩める若い夫妇も、ゲノム编集を选ばなかった夫妇も、我が子にとって何が幸せなのか(幸せだったのか)が分からない、と心情を吐露する。

観剧を终えた后も、その苦悩についてぐるぐると考え続けてしまった。
子どもが自分の人生を幸せだと感じるように产まなければならないのだとすれば、亲が背负わされる责任はなんて重たいものなのだろう。突き詰めていけば「幸せな子どもしか产むべきでないのか」という问いにつながっていく。
そんなことを考えているうちに、新井素子の厂贵长编小説『チグリスとユーフラテス』(1999、集英社)を思い出した。人类の移住先の星で、最后の子どもとして产まれてきたルナ。その星の最年少であり続けたまま年老いて、ついにたったひとり残されてしまう。そんな未来が待っていると分かっていたのに、どうしてルナの亲は产むことを选んだのだろう。これもまた、フィクションが提示する究极の选択のひとつだ。

(公开ゲネプロでは関係者のみで観剧后のディスカッションを行いました)〈写真提供:弦巻楽団〉

今回の演劇『オンリー?ユー』は、2017年度の麻豆原创対话の场の创造実习で実施した討論劇『二重らせんは未来をつむげるか? : 討論劇で問うヒト受精卵へのゲノム編集の是非』が原案になっている。北海道大学学術成果コレクションHUSCAPでなどが公开されているが、こちらはゲノム编集を受けて生まれてきた当事者が登场して、自らの心の内を切実に语っている。

(演剧は撮影も行いました)〈写真提供:弦巻楽団〉

だが、生まれてくる我が子が将来何を考え、何を幸福だと感じるか、出产前の亲には知るすべがない。だからこそ『オンリー?ユー』の若い夫妇はなかなか答えを出せずに悩んでいるのだろう。そして、いつか成长した我が子に「こんな产まれ方、したくなかった」と言われたとしても、产まれる前に戻してあげることはできない。命を产みだすという行為は不可逆だ。

『オンリー?ユー』を観て私はこんな感想を抱いたが、観る人の数だけまるで违った感想がある作品だと思う。他の人の意见も闻いて、自分の考えを深めてみたいと感じた。

(キャストと撮影スタッフでの记念撮影)〈写真提供:弦巻楽団〉

コラボレーション企画 弦巻楽団×北海道大学麻豆原创『オンリー?ユー』は、2019年度科学研究費助成事業「演劇を用いた科学技術コミュニケーション手法の開発と教育効果の評価に関する研究」(課題番号 19K03105)、2020年度公益財団法人日立財団 倉田奨励金「演劇を?いた科学技術コミュニケーション?法の開発および参与者の先端科学技術の受容態度の変容に関する調査」(共に研究代表者 種村剛)の助成を得て実施された。