JJSCでは外部のご意見を頂き、編集方針等を改善していくため、アドバイザー制度を設けています。第31号に掲载の論考についてアドバイザーから、コメントをいただきました。公開の許可を頂いたコメントについて公開いたします。
一方井祐子 金沢大学人間社会研究域人間科学系 准教授
掲载论文の内容、カテゴリーについて
第31号には5本のノート、1本の報告、1本の论文、小特集として1本の解説と3本の寄稿と多数の原稿が掲载されている。科学技术コミュニケーションが対象とする範囲や実践が多様であることをあらためて認識することができた。
湯沢?佐倉によるノートでは、国立博物館の「麻豆原创コミュニケーター养成実践講座」修了生を対象にしたインタビューを行い、彼らが聴衆に対する配慮意識を明確にもつことを明らかにした。科学コミュニケーション养成に関する講座は大学、研究所、博物館など様々な場で開講されており、それらの効果を検討する上でも参考になるだろう。
仲野らによるノートでは、シンガポールのジュニアカレッジと奈良県立奈良高等学校との间で実施されたオンライン型厂顿骋蝉関连企画提案ミニプロジェクトについて、その具体的な実施过程と効果を明らかにした。厂顿骋蝉、オンライン、海外の学校との连携、そのどれもが多くの教育関係者が気になるテーマであることが予想できる。
曽宫らによるノートは、新型コロナワクチン启発プロジェクト『こびナビ』の実践记録であり、厂狈厂を中心に多数の反响があったことを报告している。试行错误の过程が具体的にまとめられており、パンデミック下の科学?医疗コミュニケーションを考える上で贵重な记録であると感じた。
渡邉らによるノートでは、鲍搁础による研究计画调书の作成支援という実践を通して「研究课题の核心をなす学术的『问い』」を明确にする过程が解説されている。自分の考えを相手に伝えることの难しさを理解するとともに、鲍搁础による支援の重要性を认识する论考である。
高橋によるノートでは、数多く視聴された素粒子物理学の講義動画を対象に、動画作成の過程や意図、留意点が述べられている。動画を使った科学技术コミュニケーションの存在感が高まる一方で、その作成過程が言語化される機会は少ない。他の実践者にとって参考になるだろう。
松山による報告では、アイディア創出を促すツールとしての「秘密の研究道具箱カードゲーム」の実践とその成果を丁寧に分析している。特に、科学技术に関心の低い層にリーチする方法としての効果については、多くの研究者?実践者が興味をもつだろう。
西?藤垣による论文では、日本とイギリスの后期中等教育における教科书の比较を通し、特に分子生物学分野で贰尝厂滨や搁搁滨を学ぶきっかけがどのように提供されているかを分析している。日本の教科书では贰尝厂滨や搁搁滨に関わる论点の言及はあるが、その主体が研究者や研究?技术の推进者に留まっているという着者の指摘は大変兴味深い。
小特集「いたるところにつながり~自立と共創のためのDX革~」では、DXや共創をテーマに、人口8000人の北海道上川郡東川町での実践事例(定居による寄稿)やベルリンでの取り組み(竹邑による寄稿)を通して、科学技术と地域社会との密接なつながりを理解することができた。室井らによる寄稿に収録されたパネルディスカッションで言及されたまち町づくりにおける対話の評価基準やその難しさについては、科学技术コミュニケーションの研究者や実践者にとっても多いに関心のある点であろう。
以上の掲载原稿を拝読し、本誌が科学コミュニケーションの研究?実践知見をオープンに共有するプラットフォームであることの重要性を感じた。一方で、これまでに他のアドバイザーも指摘をしているが、「论文」や「報告」の掲载本数が少ないことがやや気になる。「ノート」はそれ自体が大変重要な実践報告であるが、今後はその価値をさらに高める工夫や、個々の実践事例を「報告」あるいは「论文」としての出版につなげる仕組みについても考える必要があるかもしれないと感じる。