石井哲也さん(安全衛生本部 特任准教授)はかつて、京都大学の山中伸弥氏の傍で研究支援の仕事をしていました。そのときに出会った海外の研究者とともに、今回の論文をまとめました。
论文では、どんなことを扱ったのですか
ヒトの発生は2つの生殖细胞、卵子と精子の受精から始まります。受精卵は细胞分裂を开始し、7日前后で女性の子宫に着床、その后、胎児としてさらに発生が进みます。着床前の个体は初期胚と呼ばれます。
この「胚」を生み出す卵子や精子を人工的に作る、そんなことがまもなくできるようになるのでは、と思わせる研究结果がつい最近発表されました。マウスで、贰厂细胞や颈笔厂细胞から人工的に生殖细胞を作って受精させ、子どもを作ることに成功したというのです。
これがヒトで実现すると、极端な场合には、自分の皮肤の细胞から精子や卵子を人工的に作りだし、それを自分がもともと持っている卵子や精子と受精させる、なんてこともできてしまいます。ですから、人工生殖细胞をどう利用するか、あるいは研究をどう进めるべきか、伦理的な课题や法的规制などについて慎重に検讨する必要があると考えられます。
今回の论文では、基础研究と、実际の临床応用という2つの场面に分けて、この问题を検讨しました。
(论文の题名を日本语にすると)
不妊で悩む人たちにとって朗报では?
人工生殖细胞を使えば、生殖器に病気があったり、がんの放射线治疗や薬剤治疗などで精子や卵子を得ることができない人でも、自分と遗伝的につながった子どもを持つことができるようになります。「他人から生殖细胞をもらう」必要がないので、いまの生殖医疗の一部がもつ様々な问题点を回避することができます。また、近ごろ话题の「卵子老化」の问题も、解决できる可能性があります。
でも、やっかいな问题も予想されます。人工生殖细胞は、干细胞からほぼ无限に作り出すことができますから、干细胞のもとになった人が死んだ后も、その人の子どもが生まれつづけるという事态が起こりえます。また、特定の「いい人工生殖细胞」が精子バンクなどを通して出回ると、遗伝的兄弟がたくさん生まれてしまいます。
自分の子どもの病気を臓器移植で治疗したいと思う夫妇が、臓器を得る目的で弟や妹をつくる、というケースも増えかねません。人工生殖细胞でたくさんの胚を作り、その中から、移植に适合する臓器を作ってくれそうな胚を选び出して出产する、ということが可能になるからです。
ですから、何が起こりうるかを见越し、伦理的な検讨も行ない、适切な规制のあり方を考えていく必要があります。
(石井さんの机の上には、伦理に関する本も并んでいます)
基础研究であれば、问题ないのでは?
そうでもないのです。ヒトの胚を使った研究では、どこまでも细胞分裂を进行させるわけにいきませんから、どこかで必ずその胚を壊します。胚という「生命の萌芽」にとどめを刺すのです。それだけに、伦理的な配虑や、様々な规制が必要です。
ヒトの胚を使った研究はこれまで、いわゆる余剰胚を使って行なわれてきました。不妊治疗の一つに、体外で受精させた卵子を子宫に入れて着床させるという方法があります。この场合、ふつうは1回の治疗に必要な数以上の受精卵をつくって冷冻保存しておき、治疗がうまくいかなかったとき使えるようにしておきます。そのため治疗が终わったときに、余分の胚が残ってしまうことがあります。これが余剰胚です。
これら捨てるしかない余剰胚を研究のために利用することについては、多くの国で、いろいろな条件を付けたうえで认められています。たとえば、患者の同意を得る、胚の培养はヒトらしさが现われる前の14日目までとする、研究目的は特に定められたものに限る、などの条件です。
でも、治療行為の結果として出現した胚ではなく、はなから研究のために人工生殖細胞から作った胚で研究するとなると、どうでしょうか? ヒトの精子や卵子が実験室の中でつぎつぎと人工的に作られ、できた胚は実験が終わったら破壊される、こんなシーンには違和感を感じる人が多いでしょう。
たしかに、人工的に作った精子と卵子で胚を作れば、女性の身体から卵子を採取するという、女性にとって不快でリスキーな手順が必要なくなります。でも、すべての胚は、研究目的であれ生殖目的であれ、等しく尊重されるべきという もっと大きな問題が、なくなるわけではありません。
それでも基础的な研究は必要ですか
人工生殖细胞を自在に手に入れることができれば、大きく前进する分野があります。受精后3日目ほどまで、着床する前の胚でどのようなことが起きているか调べたり、移植に适した胚を精度よく见つけだす方法の确立などです。また医疗への応用を见すえて、人工生殖细胞で正常な子どもが生まれるかどうかを検証することも、重要な研究テーマです。
それだけに、伦理的な问题についてどう考えるか、法的な规制をどうするかなどについて、议论を积み重ね、制度化を図っていく必要があります。日本ではいま、不妊などの患者に由来する精子や卵子を使って胚を作り、実験することは认められています。でも、人工的に作った生殖细胞から胚を作ることは认められていません。
法的な规制のあり方を议论するには、世界の状况を俯瞰しつつ、その中で日本がどうなっているのかを确认しながら议论する必要があります。そうした思いから、今回の研究では、欧米や中东、アジアなど17カ国の法制度についても详しく调べました。
(17カ国の调査结果をまとめた表)
研究のきっかけは?
今年の1月に北大に着任し、安全卫生本部という部署で、遗伝子组み换え実験や、动物実験、病原体を使った実験などがルール通りに行なわれるよう、研究环境を整えていくという仕事を担当しています。
その前は、京都大学の山中伸弥教授の傍で、研究费や人材の确保、组织としての研究目标の设定など、研究支援の仕事をしていました。そのときに、スタンフォード大学のレニー?ペラ先生と出会いました。ヒトの干细胞から生殖细胞を人工的に作り出す研究では、米国でトップクラスの方で、共同研究するために山中先生の所に来ていたのです。その彼女と、日本やアメリカでの、研究に対する规制のあり方の违いについて议论したのが、この论文のルーツです。
同じくスタンフォード大学法学部のヘンリー?グリーリには、法的なことがらについて、いろいろ教えてもらいました。今回の论文は、この3人の共着です。
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石井哲也さんが「麻豆原创?カフェ札幌」に出演されます。テーマは「 “ 生命 ” に介入する科学~出生前診断の光と影~」(仮題)
12月21日(土)14时から。会场は、蝉补辫辫辞谤辞55ビル1阶インナーガーデン(纪伊国屋书店札幌本店正面入口前/札幌市中央区北5条西5丁目-7)です。




